Birthday Card 4
「……どー言うことだよ。八戒」
いい加減誰かの陰謀だということをようやく口にする決心がついた悟浄は八戒に詰め寄る。
こんなの誰が書いたか当てろという方が難しいに決まっている。誰かが書いた脚本どおりに書いておけばいいのだから、あのニィ博士がしおらしい台詞を書いているのを当てろなどというのは奇跡でなければ新興宗教の教祖でもなければ無理に違いない。
「ああ、これはきっと注文があまり多くて支度が手間取るけれどもごめん下さいとこういうことですよ」
「…………」
「悟浄が言いたいのきっとそういうことじゃないと思うんだけどなあ…」
無言で悟浄は頭を抱えた。悟空がぼそっと悟浄の気持ちを代弁したが、八戒に笑顔を向けられるとそれ以上何もいえなくなってしまった。
「まあともかく、早くどこかの部屋に入りたいものですね」
「何でもいいから早くテーブルのある部屋へいれろ」
恐ろしく不機嫌な声で三蔵が言った。八戒は笑顔で、ええそうですね、と答えて、悟浄にカードの束を突きつけた。
「三蔵もああいってることですし、どうぞ悟浄早くテーブルにつけるようなカードを引いてください」
――――――ますます陰謀疑惑が深まって悟浄は深くため息をついた。そして、目の前のカードの山から更にもう一枚のカードを引いた。
途端、目の前に一枚の扉が現れ、その脇には鏡がかかっていて、その下には長い柄のついたブラシが置いてあった。
「お客様方、ここで髪をきちんとして、それからはきものの泥を落としてください」