皇帝錯乱1 ◆ll7dsHBA4Y(4-351さん)
皇帝は暇をもてあましていた。
新領土総督として、正式に挙式したアンネローゼをともなって行ってしまったキルヒアイスの統治は、口を挟む余地もないほど完璧なものであるし。
帝国宰相ロイエンタールはエルフリーデとの結婚を正式に認められ、漁色家の称号はどこへやら、今ではすっかり落ち着いた家庭人になっていて、よく皇帝を補佐するし。
メックリンガーはバーラド自治政府高等弁務官としての大役を立派に果たしているし。
ヤン・ウェンリーは美しい新妻とのんびり穏やかな年金生活を送っているし。
「つまらぬ……」
というのが、最近の皇帝の口癖であった。
ラインハルトは暇な時間の有効利用法をしらなかった。
乗馬をしたり、コーヒーをすすってみたり、本を読んでみたりするが、
いまいち面白くない。
そんな皇帝は、ふとした気まぐれから、ビッテンフェルトを伴って
古典バレエの観賞に赴いた。
それを海鷲で笑い話の種にしていたワーレンは詩の朗読会に出席するよう命じられ、
ミュラーも音楽会に招かれた。
ラインハルトにとっては暇つぶしであったが、芸術などを理解せぬ諸提督にとっては
迷惑はなはだしかった。
皇帝の前で寝るわけにもいかず、質問されたら答えぬわけにはいかないからだ。
思いもよらぬ「芸術の秋」に、帝国の誇る勇者たちはとまどった。
それが解消されたのは、冬薔薇が春風の侵略の前に庭園から撤退しようとする、
そんなころであった。
一三時二〇分。
ラインハルトは普段、エレベーターを使うが、ときに気まぐれで
階段を上り下りすることがある。
彼は秘書官と副官を伴って階段を降りていったが、眩暈がして踏み外した。
「陛下!」
何人もの叫び声が、遠く彼を呼んだ。
豪奢な金髪が、踊り場に接吻する。
周りの人間は蒼褪め、担架でラインハルトを私室に運んでいった。
ラインハルトは寝台に寝かされ、一〇分ほどして目を薄っすらと開けたが、
そのころには発熱していることが明らかになっていた。
「過労でしょう。よくお眠りになられることです」
医師たちの言葉にラインハルトはうなずき、そのまま昼寝に入る。
「あの、よろしかったら、ここはわたくしがやっておきましょうか?」
控え目ながらヒルダがそう提案し、みなもうなずいた。
エミール少年は、いつもは通信教育で勉強しているのだが、
どうしても参加しなければならない講習会があって不在である。
私室にはヒルダひとり残された。
本来ならば、未婚の女性を、若い男性の部屋にひとりでいさせることを、
騎士道精紳を叩きこまれた帝国軍人ならばよしとしないに違いなかった。
しかし、皇帝の潔癖症は有名であり、その点での心配はいらないとみな思っていた。
それもそれで臣下たちの頭痛の種ではあったが……。
一四時、ラインハルトが目覚めた。
上半身を起こし、上着を背中にかけようとするヒルダを、どこか焦点のさだまらぬ目で見やる。
「陛下、お目覚めでございますか。
昼食を持ってこさせましょう。
何かご希望はございますか?」
ヒルダはラインハルトに上着を羽織らせると、少し心配そうにたずねた。
皇帝の頬は紅潮し、息が荒い。
(発熱のせいかしら)
やや虚ろな声がたずねた。
「何でもよいのか」
「はい、何なりとどうぞ」
ラインハルトの腕が伸ばされ、ヒルダの頭を抱えこんだ。
そしてそのまま、ヒルダの顔を自分の顔に近づける。
ヒルダは勢いよく抱き寄せられ、寝台に倒れこんでしまう。
皇帝は優秀な秘書官の耳元で熱っぽくささやいた。
「予の所望はあなただ、フロイライン」
「わ、わたくしは食べ物ではありません!」
動転して裏返った声の流れだす口を、ラインハルトは思い切り貪った。
軽い接吻ののち、舌と手で無理やり口を開けさせ、熱心に蹂躙する。
技術は稚拙であったが、あまりの激しさに熱い吐息がヒルダからもれる。
ラインハルトは満足そうに笑った。
それからスカーフをほどくと、ゆっくりと首筋に愛撫を移動させてゆく。
「あっ……いや」
弱々しい声が、甘い吐息とともに流れる。
ラインハルトはスーツのボタンを外してゆく。
スーツを脱がせ終えると、もう片方の腕を背中に回し、それから手首を
ひねって胸を触った。
短い悲鳴が、ヒルダの口からこぼれ落ちる。
ヒルダは必死で遠ざかろうとしたが、所詮若い男、それも軍人として
鍛えあげられた男性に叶うはずもなかった。
むしろ、ヒルダの身体の動きがラインハルトを刺激した。
ラインハルトは接吻でヒルダの声を奪いつつ、片手をブラウスの中に入れ、
下着越しに胸を強く揉む。
(いや……何をされているの!? 皇帝ご乱心? 熱のせい?
それとも頭を打ったせい??)
亡き母の教育方針により、性交渉の知識をまったく与えられずに育った娘は混乱した。
長いキスがやっと終わり、口が解放されると、ヒルダは喘ぎながら直訴する。
「へ……いか……何をなされるのです」
明晰な頭脳と、豊かな表現力をもつ彼女であったが、
この時はこうとしか言えなかった。
「見ての通りだ」
簡潔きわまりない返答をすると、皇帝はブラウスのボタンを
リズミカルに外していく。
ヒルダは恐怖に蒼褪めつつも、必死でなだめようとした。
「陛下は、いやがる女性に無理強いなさる方ではございませんわ」
「さきほど、予の好きなものならば何でもよいといったのは
あなたではないか。
予はあなたが食べたいのだ」
スカーフを取ると、ラインハルトはヒルダの首筋に顔をうずめてきた。
穢れを知らぬ処女雪に、赤い痕跡が残されてゆく……。
ヒルダは苦痛と、それとは少し違う感覚に眉をひそめた。
ラインハルトは口でヒルダを愛撫しつつ、両手でブラジャーを外そうとしていたが、
慣れないのかうまくできない。
「あの、よろしかったらわたくしがやりましょうか?」
苛ついた表情を見て、思わず助け舟を出してしまうヒルダ。
「いやだ!」
テストで赤点を取ってしまった秀才の表情で、皇帝は乗船を拒否した。
しょうがないのでヒルダはラインハルトがホックを外し終えるのを待ったが、
短気な皇帝は結局下着を思い切りまくりあげた。
あまりの勢いに、ブラジャーのホックが壊れてしまう。
「あっいや!」
ヒルダは両手で乳房を不逞の輩の視線から守ろうとした。
それから、壊れた下着を見やる。
(お気に入りだったのに……)
ヒルダは悲しくなった。
沈んだ表情のヒルダに、責任を感じたらしくラインハルトは慌てた。
「あとで似たようなやつを買ってこさせるから……」
(まさかエミールやシュトライト准将に命じる気じゃ……)
ヒルダは顔を真赤にして下着売り場を歩き回るエミールや、憮然とした表情で
ブラジャーの清算をすませるシュトライトの姿を想像し、失笑してしまいそうになった。
ラインハルトはそんな様子のヒルダに自尊心を傷つけられたらしく、
細い腕を掴んで乱暴に寝台に押し倒す。
胸が大きく揺れ、青緑色の瞳が、怯えた光をたたえてラインハルトを映しだしている。
全身は細く、少年のようにひきしまっている。
硬質な美貌とあいまって、ヒルダは脱いでもなお活発な少年のように見えたが、
ほっそりした四肢に似合わぬ豊満な乳房が、彼女が女であることを証明していた。
心の底にあった嗜虐心を刺激され、獅子帝は目を細める。
染みひとつ見当たらぬ、純白の肌がかすかに震えていた。
「―――綺麗だ、フロイライン。
美姫の名にふさわしいのは、予の艦体とあなただけだ」
ブリュンヒルトと並べられ、ヒルダは少し複雑な気分に陥った。
が、事態は現実逃避を許さない。
すぐに、白磁でできたような手が、胸におりてきた。
(いや、何なの、お父さま助けて)
ヒルダは、はじめて与えられた感覚に戸惑っていた。
甘美な痛みと言うべきものだった。
ラインハルトの左手は彼女の両手首をおさえ、右手は胸を揉んでいる。
舌は熱心に蕾を愛撫していた。
あぁ、という、意味をなさない音声が、硬質な唇から流れでてゆく。
胸に飽いたのか、右手が腹を這い、ベルトを外す。
パンツが太股辺りまで下ろされ、そっと内股を撫であげられる。
小さな悲鳴があがる。
ラインハルトは人差し指で、そっと下着の上から愛撫した。
繊細なレースの下着は、湿り気をおびている。
ラインハルトは、ヒルダの下着が娘らしいのに驚いていた。
てっきり、黒か白の無地だと思っていたのである。
瞳と肌の色によく映える薄緑を基調とし、所々薔薇の縫い取りのある、可憐な品。
(父親の趣味か?)
真実は使用人であるシュテルツァー夫人の趣味だったのだが、ラインハルトはそう思いこみ、
なんとなく複雑な気分になった。
ヒルダは抵抗を止めなかったが、それは逆にラインハルトの征服欲をあおった。
普段の彼ならば、このような自分を肯定しえなかっただろうが、今は夢のように思考に靄がかかり、その分本性が現れていた。
しばらく下着を通して、指の腹で優しく撫でていたが、突然中に手をいれた。
下腹部にいきなり与えられた冷たさに、やっ、と、短い叫びをヒルダはあげた。
それを聞いたラインハルトは、手を下着の中から引いて、全身でヒルダに乗りかかる。
動きを完全に封じこめられた娘は、そっと主君の顔をみあげた。
戦闘に望むものとは少し違う、真剣な男の表情があった。
(怖いわ……怖いわお父さま……)
皇帝の重度のシスコンぶりに軽く肩をすくめたことのあるヒルダだったが、自身も充分ファザコンの気があることには気づいていない。
ラインハルトは、ヒルダのスカーフで両手を背中に回して拘束すると、額に接吻を落とした。
それから、ゆっくりと彼は身体をおこす。
蒼氷色の瞳に光が踊っている。
主君の視線が、真っ直ぐにふくらみにあるのを見て、ヒルダは赤面した。
「陛下は……ご無体なまねはなららない方ですわ」
自分に言い聞かせるように、ヒルダはつぶやいた。
ラインハルトは聞こえなかったのか、あえて無視したのか、何の反応もしめさない。
口の端にかすかな笑みを浮かべつつ、伯爵令嬢の半裸を観賞する。
紅淡色の蕾が、痛ましいほど上をむいていた。
肌は抜けるように白く、育ちのよさを思わせる。
そして、秀麗な顔はいまや深紅の薔薇のように紅潮し、瞳は涙をたたえていた。
「―――フロイライン・マリーンドルフ」
いつもならば、はい、陛下、と活発に反応する彼女の唇だったが、薄く開いたまま何の言葉も紡ぎだそうとはしない。
ラインハルトは、彼に似合わない、卑しい笑みを薄く浮かべる。
それはヒルダが認識する前に消え、ラインハルトは下着ごと彼女のパンツをゆっくりと脱がせた。
まるで彼女に見せつけるかのように。
そして、靴に気づき、苦笑してふたつを放り投げる。
ヒルダは、靴が床に落ちる音を聞いた。
大声を出して助けを呼ぶのもいいかもしれない。
だが、皇帝に組み敷かれている様子を誰かに、
―親衛隊員なり副官なり男性ということになるだろう―に見られるのは遠慮したいし、それ以前に大きな声が出ない。
(……お父さま)
彼女は、敬愛するひとの名を呼んだが、救助に駆けつけてくれる確立は〇パーセントに近いだろう、と思う。
ラインハルトは、太股を掴んで強引に開かせたまま固定する。
そのまま、ヒルダが物心ついてからひとに見せたことも見たこともない秘所を舐めだした。
何度も波がおそいかかる。
そのたびに、彼女の理性はさらわれそうになってしまう。
自分が自分でなくなってしまうような恐怖が、彼女の身を震わせていた。
ラインハルトは舌を使って熱心に舐めまわす。
そのたびに、ヒルダは自己の意思とは無関係に甘い声をあげてしまう。
(いや……助けて……お父さま……)
午後の気だるい日差しが、皇帝と秘書官を照らしあげる。
手首は痛みを訴えていた。
だが、快感の波はしだいに大きくなり、ヒルダの最後の自己をさらっていった。
華奢な身体が仰け反り、ラインハルトの舌に愛液が絡む。
ラインハルトは、身体を起こすと、指でヒルダの液をすくって舐めた。
それから、ゆっくりとヒルダの口にそれを持っていき、舌に押しつける。
荒い息をつく娘には、もう反乱する気力も残されていないように見えた。
ラインハルトは、ぐったりした様子のヒルダをうつむかせ、菊座に舌を這わせた。
これによって、ヒルダは頭をつけて尻をあげた格好になる。
「な、何を……うぅ……ん……」
ラインハルトは片手でわざと乱暴に恥所を掻き回す。
ヒルダはよほど今そこを触られるのが嫌なようで、残った体力をふりしぼって逃れようとする様子が、
ラインハルトの興味をひいた。
(さてさて、予の優秀なる秘書官はどうしたのか―――?)
嗜虐的な疑問が、皇帝の脳裏をかすめる。
空いた手で胸の感触の楽しみつつ、何かに耐えているヒルダの表情を観察する。
その表情が、絶望に一転したとき、彼は何を伯爵令嬢が恐れていたのか知った。
粘り気のない黄色の液体が、精液と混ざってシーツに染みをつくってゆく……。
小雨も小雨、たいていの人間は気づかず通りすぎてしまう、その程度の水量でしかなかったが、
問題は中身である。
ヒルダの全身が震えていた。
涙が溢れて止まらない。
今後とも付き合ってゆかねばならぬ上司に放尿を見られるのは、
さぞやおぞましい体験であるに違いないな、と、ラインハルトは思う。
思いながらも、愛撫を止めようとはしなかったが。
それどころか、尿を直接舐めて、
「濃いな。疲れているのではないか?」
などと声をかけるあたり、自分でも何か間違っている気がしないでもない。
国務尚書のご令嬢は、とうとう声をあげて泣き出してしまった。
「泣くほどのこともあるまい……」
抱きあげ、ラインハルトは頬の涙を優しく舐めとってゆく。
そのたびに、ヒルダは喜んでいるのか悲しんでいるのか判断のつかない喘ぎをあげた。
ラインハルトの視線が、ふと卓上にふせられたワイングラスを捕らえる。
「泣きすぎだ、フロイライン。
水分が不足する」
白い手をのばし、グラスを取る。
ヒルダは何をされるのか、いまいちわからない様子でそれを眺めていた。
ラインハルトは、グラスを横に置くと、ヒルダを仰向かせる。
それから、気だるそうな動作で、股を開かせた。
「お止めください、陛下……」
哀願の声を無視して、ラインハルトは恥所を愛撫していた。
尿意を我慢しているのだろう、皮膚が痙攣している。
クリトリスをつつくと、全身を震わせてそれに応えた。
鼻から抜けるような音がする。
「あ、あぁ……それ以上はお赦しくださいまし、陛下……」
それに対するラインハルトの返答は無慈悲だった。
「言葉ではなく行動で示してもらおう、フロイライン。
あなたの身体はもっとやってくれと言っている」
水音が部屋に響く。
黄金色の日差しが、蜜を輝かせていた。
ラインハルトの手が、ワイングラスを掴む。
そしてそれをそのまま、ヒルダの襞の刺激に使う。
「ひゃっ」
冷たさに、全身をすくませるヒルダ。
それと同時に、温かな液体がワイングラスへと降りそそいだ。
「―――いやっ!」
逃れようとするが、ラインハルトががっちりと抑えているので不可能であった。
白魚のような指で、彼はクリトリスを弄ぶ。
遊びで虫の羽をもぎとる幼児のような、残虐で楽しそうな光が蒼氷色の瞳に浮んでいた。
「止めて、止めてくださいまし!」
「ほう、止めろと言うのか。
ここで止められたらあなたも辛かろうに。
皇帝の寝台をあなたの排泄物で汚す気か?」
「それは……そんな……」
反論を封じこめられ、ヒルダは大きく目を見開いて加害者を見つめた。
青緑色の宝石のような猫目に、皇帝の冷たい笑みが映っている。
最後の一滴が、ラインハルトの手にかかった。
「美しい。
黄玉を液体化させたようだ」
ラインハルトは、ワイングラスを持った手を掲げてみせた。
零れた液体が、グラスを伝って、ヒルダの肌へと落ちてゆく。
彼女は、怯えきった表情で主君とグラスを等分に眺めやった。
陽光を透過して、グラスの中身はきらきら黄金に輝いている。
ラインハルトは、優しくヒルダの背中に腕をまわし、上半身を起こさせた。
そして、口元にワイングラスを持ってゆく。
どうやら飲まされそうだ、と気づいた伯爵令嬢は、身を震わせて顔を背けた。
「口を開けなさい、マリーンドルフ中佐」
命令されたが、ヒルダは何も答えず、幼い子どもが嫌嫌するように頭をふった。
ラインハルトは眉をしかめる。
「幼児ではないのだから、水分補給の重要性くらいわかっておろうに」
彼は渇いた笑い声をあげた。
「―――上官の命に違反するのは、軍人として失格だな。
実力行使もやむを得ず、だ」
白い指がヒルダの鼻をつまんで思い切り上を向かせた。
長い睫毛が頬に影をおとす。
ヒルダはしばらく耐えていたが、とうとう呼吸するために口を空けてしまった。
黄色い液体が、口の中に注がれてゆく。
鼻は依然ふさがれたまま。
「ふぅ……ん」
ヒルダは顔を背けようとしたが、ラインハルトは身体全体でそれを阻止した。
「あぁ……苦しゅう……赦して……んぅん」
「はっきり言ってもらわねば困る」
ラインハルトは冷笑する。
呼吸とともに、液体が喉を通過したり、口から零れたりする。
ラインハルトは時々零れた液体を指で救っては、彼女の唇に押しつけた。
グラスを空にすると、ラインハルトは耳元でささやく。
「よく味わえよ、あなたの蜜と聖水のカクテルだ」
ヒルダは泣きながら自分の尿を飲みこんだ。
ラインハルトはしばらく空のグラスを眺めていた。
それを卓上に戻すと、令嬢の肌に零れ落ちた液体を舐め取ってゆく。
それは途中から愛撫に代わり、ラインハルトはヒルダの全身をくまなく舐めていった。
あぁ、という甘いささやきが漏れてゆく。
ラインハルトはどうやら限界に達したようで、部屋着と下着を同時におろした。
凶器を目に映して、ヒルダは顔を背ける。
(いや……何をされるの?)
怯えていた彼女であったが、皇帝が何もしようとしないことを不審に思い、そっと目を開けて彼の顔を覗きみた。
「……フロイライン」
感情の消えた声が彼女を呼ぶ。
「はい、陛下」
「あなたのどこに入れればよいのだ?」
(な、何をいまさら……)
ヒルダは絶句したが、弱りきった表情の皇帝に、胸の高鳴りを覚えた。
それから慌てて首をふる。
頬は桜色に染まっていた。
(だ、駄目! 陛下はわたくしのことなんか何ともお思いではないのだから。
ああ、それより質問に答えないと……)
しかしながら、ヒルダもどこに入れてよいかわからなかったため、答えられない。
というか、男性器は女性器に入れるものだと言うことすら教えられていなかったから、彼女は困り果ててしまった。
(どうしよう……)
考えこむヒルダを尻目に、彼女の主君は唐突に手を打った。
「そうだ、入りそうなところ全部に入れてしまえば問題はなかろう」
「へっ?」
「本来ならば、正確な情報を入手して攻略するのが筋というもの。
しかし今回は時間も戦力も充分にあるし、全てを攻略することによって目的を達すればよかろう」
ヒルダは、ラインハルトはやっぱり天才だと思った。
しかしながら、敵のことを考えないこと甚だしい。
(こんなときキルヒアイス提督がいてくださったら……)
ヒルダはいつものノリでそう考えたが、キルヒアイスがいて役に立つかどうかは疑問である。
ところが、救いの手は意外な場所から現れた。
TV電話が突然作動して、軍務尚書オーベルシュタイン元帥の姿が映しだされたのだ。
「閣下、ご病気とうかがいましたが、早急に裁可を必要とする書類があり……」
そこでオーベルシュタインはヒルダの存在に気づき、冷たい義眼を彼女に向けた。
「失礼いたしました。お楽しみの最中でしたか」
悲鳴をあげてヒルダはシーツの中に潜りこんだ。
ラインハルトはそんな様子のヒルダを見てから、興ざめしたようにうなずく。
「わかった、居間で待つ」
「御意」
オーベルシュタインは敬礼した。
通信を切ると、後ろに控えていたアントン・フェルナーは顎に手をやりながら言った。
「いや驚きましたな、あの真面目な陛下がフロイライン・マリーンドルフをねぇ」
「何を言う。お二方ともはじめてだ」
フェルナーは眉をあげて上司を見た。
何で知っているんだ、という視線である。
「陛下のことだ、頭を打ったことと発熱が影響して混乱していらっしゃるのだろう。
王朝の繁栄を思うなら、ぜひこの機会に性の喜びをしっていただかねば……」
後半は独語であったが、フェルナーは力強くうなずいた。
「わかりました、オーベルシュタイン元帥閣下。
どのようなプレイにも応対できるよう、道具を取り揃えます」
オーベルシュタインはフェルナーを横目で見やり、首を傾げてからうなずいた。
「ああ、そうしてくれ。
むろん説明書もつけるように」
「はっ! ただいま」
フェルナーは退室していった。
実に面白いことになった、と思いながら。
二〇分後、オーベルシュタインが皇帝の私室に到着すると、苛ついたラインハルトがそれを迎えた。
「遅いではないか、オーベルシュタイン。
早急に裁可を必要とする、と言ったのはお前だぞ」
「申し訳ございません」
書類を処理すると、オーベルシュタインは一礼した。
「それはともかくとして、陛下。
私事ながら、陛下に献上したいものがございます。
むろん、賄賂というわけではございません」
「卿が賄賂などをよしとするほど殊勝ではないことを、予は充分過ぎるほど知っている。
して、何だ?」
珍しい軍務尚書の申し出に、興味をひかれたラインハルトは尋ねた。
オーベルシュタインが指をならすと、フェルナーが部下と一緒に二〇箱に及ぶダンボール箱をもって入り、
それらを置いて敬礼して退室していく。
「……?」
「陛下、ご覧になればすべてわかりますゆえ、臣はこれでさがらせていただきます」
「ん、ああ」
ラインハルトはオーベルシュタインが退室したことを確認してから、箱を開けた。
そのころ、ヒルダはびくびくしながら「陛下」の帰りを待っていた。
スカーフで口を封じられ、スーツで両手を拘束されていたから、動くことも助けを求めることもかなわない。
ラインハルトが退室してから四〇分後、扉が開かれた。
「フロイライン・マリーンドルフ。
すまんが風呂にでも入っておいてくれ」
口と両手を自由にされ、ヒルダは驚いた表情で主君を見上げる。
彼はヒルダを抱きあげて浴室にもってゆくと、彼女をひとり残して鍵をかけた。
「どうされたのかしら」
軍務尚書に何か吹きこまれたかな。
ヒルダは身体を洗いながら、考える。
(問題はこの錯乱が一時的なものであるかどうか、よね……。
頭を打ち、発熱したせいで混乱をきたし、自由意志でない心神喪失状態であったとするなら、わたしは耐えましょう。
そして陛下が謝罪してきたならば、赦してこれまで通りお仕えしよう。
どちらにせよ裁判にもっていくことなんて不可能なのだから。
でも、もしも頭部の打撲と発熱が原因ではなく、発端であったとするなら?
陛下がサディストで、しかも相手の合意をえない行為に性的興奮を覚える方であったら?
性的奴隷として仕えることを強要されたら?
そのときは……)
ヒルダが決意をかためる一方、ラインハルトはキスリング親衛隊長に言いつけて、ダンボール箱をすべて寝室に運ばせた。
それから、通信を音声だけの設定に変更する。
ラインハルトはダンボール箱の中身をすべて確認していった。
軍務尚書の指示か、説明書が送付されている。
それを一時間かけて全部読み終えると、ラインハルトは嘆息した。
「あの男、よくやる……」
オーベルシュタイン元帥はくしゃみして、鼻をかんだ。
「風邪ですか? お気をつけになりませんと」
フェルナーは礼儀上そう言った。
「……いや、そうではあるまい。
しかし、あの量はいささか多いように思えたのだが」
「いえいえ、まず衣装が三箱になりましてな。
まず基本である透けるドレス数十着に、それに合わせる下着でしょう。
それに、
・猫耳(犬耳と兼用)+ふわふわの下着(尻尾つき。茶と白とピンク)
・(クララから安く譲ってもらった)看護婦の白衣
・(ケスラーと物々交換の末手に入れた)セーラー服
・(普通に入手)レースクイーン
・(補給部隊の同期に言ってもらってきた)帝国同盟ともに階級ごとの軍服一着づつ
・レースたっぷりメイド服&エプロンなどなど。
それにボンテージ類を少々。
アクセサリーは首輪・足輪など基本から、豪華な宝石の指輪など多々揃えました。
縄や鞭や猿轡も数十種類、色違いもちゃんと揃えています。
バイブ・ローターは数百種類。
それにアナルのことも考えまして、浣腸を五種類ほど用意し、アナルボールも何個かいれておきました。
さらに、薬につきまして、媚薬は当然としても、声を奪う薬(むろん解毒剤あり)や、
動物の鳴き声しかでなくなる薬(動物の種類は犬・猫・豚など)や、心そのものを動物に変身させてしまう薬など、さらには」
「……もうよい」
いつまでもつづきそうな弁舌を、オーベルシュタインは遮った。
(皇帝の寝室盗撮でもして、ヒルダ親衛隊の面々に売ったら儲かるかな)
などとプレイ道具を箱につめこみながらフェルナーは考えたが、ばれたら色んな意味で怖いのでやめて置いた。
ちなみにヒルダ親衛隊とは、同盟(バーラド自治政府)のフレデリカファンクラブに競争心を刺激された帝国軍人の有志たちがつくりあげた隊で、
むろん非公式である。
ヒルダ護衛隊を務めたリリエンクローンが今回も隊長である。
同じような意味合いで「獅子帝ラインハルト陛下を愛し奉る会」や「ヤン・ウェンリー信仰会」なども存在し、前者はビッテンフェルト、
後者はユリアン・ミンツとフレデリカが書記長を務めている。
完全を期したフェルナーであったが、実は重大なミスを犯していた。
これを彼の失策と言うのはあまりに酷だが、さまざまな体位を説明した本は入っていても、肝心のどこにどう入れるのが
正常だと言う説明はなかったのである。
「とりあえず、口前後が基本らしいが」
ラインハルトは首をひねった。
そこで、ヒルダをずっとほったらかしにしておいたことを思い出し、とりあえず浴室に向かう。
ヒルダはゆっくりと湯につかっていたが、突然ラインハルトが入ってきたので驚いて悲鳴をあげた。
「すまん」
と、引き返したカイザーであったが、もとの目的を思い出して苦笑した。
ラインハルトは、ヒルダに首輪を付けてみることにした。
(予が目指すのは完全勝利である。
つまり、降伏も逃亡も認めず、完全に撃破し支配下におくことだ。
となれば、逃げ道をふさぐための拘束具は必要であろう)
という、戦略的判断によるものである。
鈴のついた赤いリボンか、金剛石の飾りのついた黒い堅いものかさんざん迷ったが、結局後者にすることに決めて、
ラインハルトは嫌がるヒルダの首に無理やり首輪を取り付ける。
「あの、これは……」
困惑したヒルダに、優しく微笑む皇帝ラインハルト。
「首輪だ」
「いや、それはわかるのですが」
「ならば問わずともよかろう」
(こういったときは首輪をつけるものなのかしら)
ヒルダは首をかしげたが、首輪につけられていた鎖を思い切り引っ張られて悲鳴をあげた。
そのまま浴槽の中に立たされる。
「あっ……何をなさいますの」
「気をつけ!」
強い言葉を投げかけられ、思わず直立して手を横に真っ直ぐしてしまうヒルダ。
全裸を異性の前にさらし、彼女の乳首は痛いほど立っていた。
「陛下……恥ずかしゅうございます、恥ずかしゅう……」
「いまさら何を言う」
ラインハルトは自分のものが立ちあがるのを感じた。
湯につかっていたせいか、肌はまるでミルクに紅薔薇の花弁を浮かべたような、想像を絶する美しい色合いになっている。
しっとりと肌に吸いついた髪は、少年のような、と評される女性の美貌を艶やかに見せていた。
ラインハルトはそのまま鎖をひくと、浴室の中にあった椅子に座る。
ヒルダは転ばないように、慌ててついてきた。
「あの、陛下……?」
困った顔の令嬢を尻目に、息も荒くカイザーは下半身を脱いだ。
きゃっ、と短い悲鳴をあげて、ヒルダは目を閉じ、顔を背ける。
「そのようなつれない反応をするものではない」
鎖を片手に巻きつけると、もう片方の手でラインハルトはヒルダの頭髪を握り、逸物へ近づける。
「舐めてくれ」
嫌嫌するように頭をふるヒルダ。
命令を聞き届けられなかったカイザーは、不機嫌になって、無理やりヒルダの口を開かせると咥えさせる。
「歯はたてず、舌で優しくするように」
もうどうしようもないと悟ったヒルダは、大人しく命令に従う。
従順になったヒルダの様子に満足したラインハルトは、下半身の刺激をたんのうした。
技術は稚拙もいいところだが、初心な様子が彼の心を打ったのだ。
(……ま、不味い)
ヒルダは顔をしかめながらも、ラインハルトの命令にとにかく忠実であろうとした。
臣下として、というよりは、刃向かったらどうなるかわからなかったためである。
(で、でもまさか、これで赤ちゃんが出来るなんてことはないわよね?
もしできたら……ああ、お父さまごめんなさい!)
涙が頬を伝う感触がしたが、ヒルダは気にせず必死でラインハルト自身を舐めていた。
いよいよラインハルトのものが怒張をまして、ヒルダの口の中に襲い掛かってくる。
「ふわ……」
口を離しかけたヒルダであったが、ラインハルトは頭を押さえこんでそれを止めさせた。
「味わって飲みこめ」
何しろ二三年間溜めこんできたものが一気に排出されたのである。
量の多さにヒルダは戸惑ったが、口を押さえられていては満足に呼吸もできなかったので、必死で飲み下していった。
(不味いよう……お父さま助けて)
何度目かわからぬ言葉を思いながら、ヒルダはごくごく飲んでいった。
粘つきのある液体で、ヒルダは喉にかかるのを感じたが、力をこめて胃に送りこんでゆく。
ようやく排出を終えると、ラインハルトは満足げにヒルダの頭髪を放す。
ヒルダは、疲れて床に臥していた。
ラインハルトは息を整え、鎖を壁の飾りに巻きつけておくと、いったん退出した。
彼に今まで戦略的な構想があったわけでもなく、「高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処」……つまり行き当たりばったりで
きたので、そろそろ真面目に構成を練ろうかと考えたのである。
興奮を排出して落ち着いたので、そんな余裕ができたとも言える。
「とりあえず、これで一つ目の孔は終ったわけだ。
問題はあとの二つだが……前から後か、後から前か……。
ふぅむ……。
しかし前の方は、さきほどさんざんかやったし、しばらく間をあけて、その間に後を済ませてしまおう、それがよい」
とりあえず基本的な流れは定まった。
「ええっと、確かこの辺りに説明書があったはずだな」
と、ダンボール箱をごそごそと漁りだすラインハルト。
皇帝の威厳はどこかへ消えてしまったようである。
ヒルダは、やっと少し体力と気力を回復していたが、次に何をされるのだろうかと怖かった。
これが通常のラインハルトならば、安心しきって身を任せるのだが。
(熱と頭をお打ちになられたことで少しおかしくなってしまわれたのだわ)
ということで、あいかわらず不安に打ちひしがれていた。
ラインハルトは潔癖な少年であったので、二三年間あまりこういった行為をしてこなかったのだろう。
それが一気に放出されてしまった。
どうなるのか、ヒルダにもわからない。
(付け加えれば多分ラインハルト自身にもよくわかっていない)
で、そのラインハルトが戻ってきた。
「フロイライン、いや、ヒルデガルド。
こういった行為の前には準備がいることをご存知か」
「……いいえ、存じません」
「そうか」
ほっとする笑顔を浮かべるラインハルトにつられて、ヒルダも短く微笑してしまう。
が、その微笑も、ラインハルトの持っている道具を見て吹き飛んだ。
液体の入った、注射器とも少し違う物体。
「あの、それは何でございましょうか」
悪寒が背筋を走る。
ラインハルトはわくわくした様子で回答した。
「ん、後の孔を使うときには、こういったものを使用するらしい」
ラインハルトは、そういい終えると、突然ヒルダの体を抑えにかかった。
びっくりしたヒルダは、まるで歯医者から逃れようとする患者のごとく、逃げまどう。
「少し大人しくしてくれ」
ラインハルトは、拘束具を使ってヒルダの両手を縛りあげると、尻をあげた形で足も固定した。
じっくりと尻に視線を這わせられて、ヒルダはあまりの恥ずかしさのあまり顔を真赤にする。
年頃の娘にしては、ヒルダのヒップは豊かではない。
が、ラインハルトはあまり気にしなかった。
中性的な雰囲気のヒルダが、ラインハルトのお気に入りだったからだ。
(まぁ、男を知って多少は女性らしくなるかもしれないが……。
それはそれで見ものかな)
それから、ラインハルトはゆっくりと尻を開かせ、グリセリン液を挿入していった。
ヒルダは入ってきたもののおぞましい感触に、身を震わせた。
(なんだかお腹が痛い……)
ラインハルトはすべて入れ終えると、ヒルダから離れて、椅子に座る。
教師を相手に悪戯をしかける悪童のような、極上の光を瞳に浮かべて、小さく震えるヒルダをつぶさに観察していた。
ヒルダは、急に便意をもよおして、とまどっている。
(な……この二日間ずっと便秘気味だったのに……。
だ、駄目。陛下にそんなこと知られるなんて)
恥ずかしさに耳まで赤くなりながらも、ヒルダは尻のあたりに意識を集中させる。
「あ……ぅんん……」
必死に肛門に力をいれ、ともすれば暴れだしそうになるのを我慢していたヒルダであったが、とうとうそれも限界点に達しそうになっていた。
「……陛下、その、お、お願いがあるのですけれど……」
うめくようにして、ヒルダはそう告げる。
「うん、何かな」
ラインハルトは計算されない優雅さで首をかしげた。
「その、身体を自由にしてくださいまし……」
「なぜそのようなことを頼む?」
意地悪なラインハルトの言葉に、顔を赤く染めて、ヒルダは説明する。
「あの、お、お手洗いに……いきとうございます」
「ほう? さきほど出したばかりであろう」
ヒルダはにやにや笑っているラインハルトを見つめた。
彼はそんな表情を浮かべてもなお美麗であったが、悪魔の微笑のように今のヒルダには映る。
「だ……大きい方でございます……」
「大きい方というのは?」
ヒルダは目を潤ませ、全身を真赤にして答えた。
「その……あの……た、大便のことなのですが……」
「ふぅむ、大便か。もう少し率直に言うべきではないのか?」
ヒルダは喘いだようだった。
「……あ……その……うんち」
最後は消え入りそうなほど小さく、彼女は発音する。
「聞こえぬ」
「……うんちがしとうございます」
泣きながらヒルダは、少し大きな声で言ったが、ラインハルトは首を横にふる。
「駄目だ、フロイライン。それは許可せぬ」
「ああ、陛下、お願いですわ、陛下……」
ヒルダは泣いて哀願したが、ラインハルトはゆっくり首を振った。
「別にここでしてもよかろう。
後始末はしてやるから」
「そんな、陛下の御手をわずらわせるのは……」
「予がいいと言っておるのだ。従え」
ヒルダは絶望したようにうつむいた。
ラインハルトは、性的高揚感に全身がつつまれているのを感じた。
ヒルダの恥ずかしがる様子が、なんとも新鮮に映ったのだ。
この女性はこんなに弱く、そして美しかっただろうか。
少年のような体躯に美貌、そして唯一女性らしさを象徴する胸。
姉に抱くものとは違う、禍々しい愛情を、ラインハルトはヒルダに対して抱く。
ラインハルトにとってさえ高嶺の花といえたヒルダが恥辱に耐える様子は、彼を興奮させた。
伯爵令嬢としてひとり娘として、また、亡き妻の忘れ形見としてヒルダを大切に育ててきたであろう
マリーンドルフ伯フランツに対する罪悪感も、ラインハルトの興奮を高めるのに役立った。
(マリーンドルフ父娘には迷惑な話であるが、そもそも君主が絶対者として他人に迷惑をかけようが何をしようが赦されるのが
専制国家というものなのである。
ヒルデガルドはラインハルトを専制国家の王にと望んだのだから、好き勝手やってもらって本意であろう―――
と、後世の歴史家(女性不信の民主主義者)は皮肉交じりに書いたが、この記述は多くの自称良識人
(古きよき時代の帝政をなつかしむひとびと)から批判を受けた)
もともと注入した液は、適量よりも少ないほどであった。
ラインハルトも初めての経験だったので、少し怖かったのもある。
もともと、ゆっくり見物して楽しみたかったので、その意味では適量と言えたが。
全身を桃色に染め、唇を噛み、必死にヒルダは我慢していた。
(陛下の前で排便なんてできるものじゃないわ)
尻が震えているのを、ラインハルトは見ていた。
汗が真珠のように肌を飾っている。
視姦に飽いたのか、ラインハルトは優雅に立ちあがり、ヒルダに近寄った。