ねじれた話/1


なぜこんなことになったのだろう?
少女の乳房を吸いながら、ユリアンは自分の行動の理由を探した。
彼の体の下には紅茶を薄くいれた色の髪の少女が
いつのまにか抵抗することをやめて喘いでいた。

スパルタニアンの格納庫を通りかかったユリアンの聴覚に女性の悲鳴が響いた。
急いで中に足を踏み入れると一機のスパルタニアンの下で一人の女性士官が
男性士官に組み敷かれていた。
その女性士官が紅茶を薄くいれた色の髪をしているのを見て
ユリアンは後に振り帰ってみても驚くほどの瞬間的な怒気を覚えた。
 「何をしている!」
 走っていってやめさせるよりここから怒鳴ったほうが早い。
ユリアンの怒声が響くと男性士官は驚いて顔を上げた。
一瞬の隙を見逃さなかった女性士官
カーテローゼ・フォン・クロイツェル伍長は彼の股間を蹴り上げ、顔を横から殴りつけた。
苦悶に喘ぐ男性士官を尻目に立ち上がってさらに蹴りを5発程度食らわすのを見るとさすがにユリアンは彼に同情したが許せることでもない。
しかし男性士官がうめきながらも懲りずに彼女に手を伸ばすのを見て、ユリアンは持っていたファイルを正確に投げつけた。
彼の手が彼女に届く前にそれが頭部に命中する。
ユリアンが確認できたのはそこまでだった。
気が付くと彼の腕の中に少女の感触が広がっていた。
手を伸ばしてきた男性士官に怯えたらしい彼女が自分に向かって逃げてきて抱きついた。



ユリアンの心臓は怒りとは違う鼓動を抱えた
 自分でもどうしたらいいのか解らなかったが、反射的に腕を少女の背中に回した。
脈打つ鼓動を我慢しながらとりあえずようやく立ち上がれるようになった男性士官に注意した。
自分のやったことは棚に上げたような非難の眼差しを向けてくるので厳しく言い放つ。
 「ここは引くんだ。そうしなければあなたを婦女暴行未遂罪で逮捕することになるし、
僕にはそれをさせるだけの力がある。」
彼のほうがユリアンより年長だったが官位はユリアンのほうが上だ。
士官は苦々しげな視線をユリアンに向け、
少女に対しては立腹と未練を混ぜ合わせた瞳を向けながら去っていった。
 夜の格納庫は誰もいない。いるとしたらユリアンと、そして腕の中の少女だけだった。
 腕の中に収まる少女の体をどうしていいのかわからなかった。
紅茶を薄くいれた色の髪の感触を顎のあたりに受けて意識がどこか判然としなかった。
 「大丈夫かい?クロイツェル伍長。」
 収まりがつかなくなると無難なことしか言えないのが彼だった。とりあえず誰もが言い得る簡単なことだけ言いながら、ユリアンは腕の中の少女を覗きこんだ。
するといきなり顔を上げた少女の驚いた顔とぶつかった。次の瞬間、少女は若者の胸を突き飛ばして体を離した。
さらにわけが解らなくなって少女を見つめるユリアンの瞳に、
髪とほぼ同色に染まった少女の頬が映った。


「女性が嫌がっているように見えて実は喜んでいる淫乱な動物なのが悪いんじゃないか。」
 カリンの腕を掴んでユリアンは平手打ちを阻止した。
少女の怒りを宿した瞳が燃えるようにユリアンを射抜いた。
 「まさか僕だってこんなことを本気で思っているわけじゃない。今のは君の論法を使っただけだ。
確かに君の言い分に該当する男が世の中にいるのは認めるけど、だからって
そんな言い方されて怒らない男がいるわけがないだろう!
君のそんな態度が男を煽っているてどうして解らないんだ!」
 カリンは目をむいて若者を睨んだ。
ユリアンの発言が正論であると解ると余計に気に食わなくて許せなかった。
 「あたしが誘っているっていうの!?そんなの勝手に煽られる男がいけないんでしょう!?」
 父親からも師匠からもヤン・ウェンリーからも可愛がられて
自分より優秀なうえに自分と年が近いくせに大人なのが許せない。
 どこかで彼を認めていて、どこかで彼に惹かれていて、
彼を無視できない自分はもっと許せない。
 「あんたもイヤらしくて低俗動物だから男の気持ちが解るのね!
みんなワルター・フォン・シェーンコップと一緒なんだわ汚らわしい!」
 ユリアンは手を振り上げた。反射的にカリンは目を閉じる。
少女の心がまったく解らない訳ではない。生まれつきに美しいうえに
父親譲りの色香を持っているのだからさっきのような事も一度や2度ではないのだろう。
それでも男を悪者に仕立て上げて塗りたくる子供地味た言い方が看過し得なかった。


平手打ちを覚悟していたカリンの頬が痛みを感じることはなかった。
ふいに握られていた腕を引っ張られたカリンはなすすべもないまま若者の口付けを受けた。
 「!?」
 青年の端正な顔が目の前にあるのだけ見るとカリンは呆然と立ち尽くした。
何が起こっているのか解らなかった。
 事の次第がわかっていないのはユリアンも同じだった。
怒りはしたが女の子を殴るわけにはいかない。
そこまでは記憶にあってもそれから先の自分の行動はわからなかった。
何故か少女を引き寄せて小さな唇に口付けていた。
ただ事でない感情が渦を巻いて少女めがけて流れていく。
彼女の唇が目に入ると思いのはけ口をそこに求めて吸いついてしまった。
勢いで舌を入れようと思ったが
想像していたよりも少女の唇が柔らかくて心地よかったのでそのままにした。
 しばらくして口を離すとカリンの顔には驚き以外の表情はなかった。
カリンにとってこれが最初の口付けであったが、そんなことに気は回らなかった。
ただ予想もしていなかったし望んでもいなかったのに不快でもなかった。
 ユリアンも混乱はしていたが彼女が怒らないのを見ると再び口付けてしまった。
自分でも驚くほど優しく口付けていた。



カリンはユリアンの唇が優しく自分の口を覆うのでつられるように瞳を閉じた。
 さっきの男は肩に触れられただけで虫唾が走ったのになぜ今は抵抗しないのだろう?
そう思いながらもカリンの意識はだんだんとぼやけていく。
カリンがさしたる抵抗を見せないのを不思議に思いながら、ユリアンは口付けを続けた。
柔らかくも弾力のある少女の唇に我慢ならなくなって舌を差し入れる。
少女の体が震えるとさらに我慢できなくて舌を口内に這わせた。
 「ンッ!んふぅっ・・・・ふぅ〜・・んっ!」
 大人しかったカリンもさすがに身を硬くする。
ユリアンは彼女が逃げられないように強く抱きしめた。
ユリアンの舌が口内を縦横無尽に駆けずり回る。
息が苦しくなってカリンは唇から逃れようとした。
 「ふっアッ!・・・ハァ・・・やめっ・・・ふぅ・・。」
 ユリアンの舌が歯を舐めはじめるとカリンは恐ろしくなって渾身の力で彼を突き放した。
 非難するようでいてどこか困ったような顔をしているカリンを見て、
ユリアンはようやく自分のやったことを知った。
万人に非難されるだろう事をしたのはこれが初めてで、彼はその事実に打ちのめされた。
 カリンは息を整えながら、抵抗しなかった自分を認められなくて苦し紛れに彼に叫んだ。
 「やっぱり・・・・あんたもイヤらしくて低俗動物で汚らわしい化け物なんじゃない卑怯者!!」



 自分の行動をどう説明するか、あるいは彼女にどうやって謝罪しようか
模索を始めていたユリアンは再びどうしようもない怒りを覚えた。
生まれてこのかた『化け物』などという不当な言葉など投げられたことはない。
そうでなくとも悪口を言われる理由もほとんどもたない彼だ。
後になってみれば「自分の行動を棚に上げている」と解るものだが、
「化け物」だの「卑怯者」だの
圧倒的な雑言に衝撃を受けたその時の彼にはそこまで頭は回らなかった。
 いきなり腕を捕まれ、それが信じられないほど強い力を持ってなされているのでカリンは驚いた。
 「なっなによ!」
ユリアンは彼女の手を引っ張ったままスパルタニアンの梯子を上り
カリンを無理矢理コクピットに押し付けた。
 「きゃっ!!なっなにをするのよ!?」
 彼女の不平を無視してユリアンは狭いコクピットに自分も入り
シートに座らせられたカリンの上にのしかかった。
瞬間的に恐怖を感じたカリンだが座席を倒されて水平に寝かされると勢いで再び唇を奪われた。
 「ンンッ!ンゥーーーーー!」
 強く吸われて窒息しそうになる。
今度ばかりは抵抗するカリンだがユリアンはものともせずにコクピットのハッチを閉めた。
コクピットが閉ざされてしまうとこれから犯される少女の悲鳴が格納庫に響くことはなくなった。



「ふぅっ・・・ふっーーー!ンウッ!」
 ハッチが閉まる音を絶望的に聞きながらカリンは口を吸われた。
体が密着して怖かったが、どこか抵抗しきれない
余地があってそれが余計彼女を戸惑わせた。
怖いのだが、さっき別の男に押し倒された時のような
虫の巣に突き落とされるおぞけが今はない。
抵抗しようとしながらいつのまにか
眉間に熱が集中し始めるのをじわじわと感じていた。
しかしユリアンの大きな手が軍服の上から胸を掴んでくると
初めて味わう感触に恐怖が滲んだ。
 「いやぁ!」
 咄嗟にユリアンを殴ったカリンだがどこか力が入らなくて弱々しかった。
ユリアンは抵抗するカリンの両手首を掴んで
彼女の頭の上に持っていくと片手で押さえつけた。
女性とはいえ軍人のカリンだがユリアンに彼女の力が及ぶことはなかった。
彼には彼女の父親に鍛えられた肉体があった。
 ユリアンは彼女の唇を吸い始めると止まらなくなってしまった。
こんなことをしてはいけないはずだ、そう思う普段の自分が
今の自分を脅迫してくる。
そう感じるたびカリンが吐いた「化け物」という言葉が蘇る。
ユリアンはカリンの胸を強くつかんだ。
 「ひっ!いやああっ!」
 悲鳴が鼓膜を打つとおかしくなってもっとキツク揉んでやる。
あれだけの態度をとっておいて男に「貶めたい」「辱めてやりたい」と
思わせずにいられると思う彼女の無知が許せなかった。
それとは別に口内を蹂躙するたびに香ってくる
うっとりするような少女の匂いが頭を麻痺させた。
 「やだっ!いやっ!ふぐっウッンウーーーー!」


カリンにとって他人に胸を触られるなど初めてのことだ。
自分でだってまともに触ることはない。
痴漢がいても手厳しく撃退してきた。
軍服の上からでは直接的な感触はないので
『揉まれている』といってもぐいぐいと押し付けられているようなものだが
それでも初めての感触の恐ろしさに変わりはない。
なにか力の塊のようなものが胸にへばりついている感触がカリンの全身を硬くした。
そのまま心臓でも掴まれるような錯覚がおこるほど
彼女の中にある本能的な女の恐怖が圧倒的にえぐられた。
 「イヤッ!・・ふぐっ・・・ンアッアッ!」
こんな密室で男にのしかかられる恐怖に怯えているのに逃げることはできなかった。
自分の腕ときたら彼に頭の上にまとめられて、
たった一本の腕にさえかなわないのだ。
それよりも彼女が動けない大きな理由として、彼の舌が存在することが頭を混乱させた。
ユリアンの唇が自分のそれを覆って、舌が口の中を占領する。
彼の舌はまるで始めからその大きさで生まれてきた虫か生き物かという具合に
カリンの口の中を好き勝手に蠢きまわった。
 「ウンッ・・・ふぅっ・・・ふあっアッ・・。」
しかし不思議なことにそれが不快でない。
口内の天井といえる部分をユリアンの舌がぞろり、と舐めて
そのまま軽く吸い上げる。
そうされるとどういうわけかそのまま気絶しても構わないような
なんともいえない痺れが脳髄にまで伝わった。
 「ンゥゥ!フゥンーーーンンッウンッ!」
これを他の男にやられたら、と思うと死んだほうがマシな気がした。
それもおかしな話でとりもなおさず『ではユリアン・ミンツなら良いのか?』という
ことになってしまうが、そこまで考えるには彼女は子供でこの状況に混乱していた。
それに今の彼女がその事実をつきとめてしまえば、彼女は動揺で頭が破裂したに違いないのだ



 カリンの唇は小さかった。
いつだったか、まだ自分が幼い憧憬に夢を見ていた頃
ヘイゼルの瞳の女性の外見をつぶさに観察せずにはいられない時期があった。
ユリアンがその金褐色の年上の女性の唇の味を知る由もなかったが、
薄い唇が大きすぎもせず小さすぎもせずバランス良く白い顔に引かれていると思った。
それを思い出しながらカリンの口を吸った。
現在は彼の義理の母となっているその女性と比べるとカリンの口はずいぶん小さい。
こぶりで、下唇が厚くそうとう可愛らしい造りをしている。
しかもその感触が「食べれるのではないか?」と思うほど柔らかくて、
そのくせ若々しい弾力があるので一度吸いつくともう止まらない。
もしかしたら自分は無意識のうちにこの味を求めていたのではないか?
そう思うとさきほど殴る代わりにキスしてしまった自分はなんとなく理解できる。
でもいまやっていることに理解は及ばない。
彼女の口が小さいので自分の舌をなんとか入れると中は広いホールのように広がっていて、
彼が突っ込むとまったく中を占領できてしまう。
頬の裏側を撫でるように舐めて吸いこむと
息苦しくなった彼女が固まった甘い息を吐き出すのでユリアンはくらくらして
もうモラルも自分という真面目さもどうでもよくなってただただ貪りついた。
カリンは女としては子供だったが、
それでもユリアンと自分の鼻息が混ざり合うように空中で溶け合うのを感じると
もう自分がどうなっているのか、彼が何をもってこれに及んでいるのかも考えられなくなった。
唇も口の中も奪われるだけ奪われて、体の力もすっかり抜け落ちてしまった。


カリンが自分の体の下で蠢くのを感じるたび、彼女が自分の腕の中で『生きている』と感じるたび
ユリアンはどうしても彼女の『生』の一部始終を確認したくて仕方がなかった。
焦るように彼女の軍服のスカーフを剥ぎ取る。
それをされるとカリンの体にぞっとするものが豪雨のように降りつける。
 「ンンーーー!!ウンンンーーーッ!」
体を左右によじるがユリアンは構わずボタンを外して軍服のジャケットのファスナーを外した。
危機感の鐘がけたたましく鳴ってカリンは思わず口を離して叫んだ。
 「やめてっ!いやあっ!やだ!嫌ッ!」
狭いコクピットにカリンの悲鳴が反響して、ユリアンの鼓膜を打ったがもう退けなかった。
逃げる唇を追って再びユリアンが口を塞ぐ。
 「ンウッ!ンンーーー!」
『服を剥がれる』という認識が魂の底に流れる恐怖を呼び覚ましてしまったらしい。
固定された腕をなんとかしようと必死に動かした。
ユリアンはいったん服を脱がすのをやめてさっきとりはずしたスカーフをカリンの腕に巻きつけた。
頭の上にもって行かれた腕がそのままキツク縛られてどうにもできなくなる。
縛られることでカリンの中に犯罪に遭う恐ろしさが知覚されていく。
恐怖に見開かれたカリンの瞳をごまかすようにユリアンは再び口付けた。



ユリアンが服を脱がそうと動き始めてからカリンはそれなりに抵抗を始めた。
戒められた腕はいかんともしがたかったが、変わりに足をじたばたさせたりした。
狭いコクピットに足があたってガツン、ガツンと響く。
しかしユリアンはもうそんなことに構わなかった。
シャツをスラックスから出し、そのまま腕を突っ込むとカリンの生の肌と触れ合った。
 「ンンーーーーーッ!!」
初めてユリアンの腕の感触を直接受け取ってカリンの体が硬直する。
ユリアンはそのまま手を登らせていく。
彼の腕が腹を這ってこちらへ進んできてカリンは迫り来る危機にわなないた。
合わさった唇の隙間からほとんど悲鳴に近いうめきが漏れる。
 「ふぅっ!ウウーーー!ヒッ!アァ!」
 カリンの肌の滑らかさを手の皮膚で感じながら
登らせた手が下着にいきつくとユリアンの心臓はドクリ、と大きく痙攣した。
この布地の下に彼女の胸が控えているのだ。
とっととひきちぎってやりたい欲求にかられたがそこまで乱暴にもできない。
自分を落ち着かせるように一拍置いた後、下着の上から触る。
下から持ち上げるようにゆっくりと押し包んで二つの胸を掴んだ。
 「ふぅ・・・・・んっ!」
カリンは目をぎゅっと閉じた。
下着の上からとはいえ、さっき軍服の上から触られたのとは比べ物にならないほど直接的に触られたのだ。
恐怖と恥ずかしさ、どちらが大きいのか解らないまま混ざり合って彼女の体の中でうねった。



あの頃の私にとってユリアン・ミンツという人は常に対角線上にいる人だった。
好きとか嫌いとかどうでもいいとか、それらのどのカテゴリにも入らない。
全くすれ違わない生活をしていても、確かに自分の中に引っかかっている。
自分の回りに見える他のもの全てが見えなくなっても
自分から一番遠いところで、私から伸びた直線の突き当たりから
こちらを見つめてくるのが見える。
そういった人だった。

触らないでいるよりは触ったほうが嬉しいのだが下着の上ではかえって欲求不満だった。
手に感じるのは素肌ではなくて下着の生地なのだから当たり前だが、
それでも確かに二つの肉塊がその下に用意されているのだけは手の中に握られた感覚で解る。
解るだけにもどかしい。
ユリアンはそのまま少し撫でまわしたあと、下着のワイヤーをなぞるようにして背中に手を回す。
早くこの二つの塊を思うさま掴みまわしたい。
下着の留め金をあっさり外してしまうと改めてカリンの中に恐ろしさが蘇った。
 「やめてっ!イヤッ!やだぁっ・・・。」
ジリジリと切迫してくる事実が脳を突いた。
次に何をされるのか?性に詳しくないカリンにだって解る。
無駄でしかなくとも体をよじるくらいしなければ耐えられそうになかった。
きっと胸を触られる、掴まれるのだろうと思うと怖くてしかたがない。
でも純粋な恐怖というにはどこか痺れが潜んでいた。
 「いやっ!いやああっ!やめてっやめてえっ!」
 カリンの裂くような悲鳴に罪悪感が疼かないわけではなかったが、
それ以上に手を縛られて嫌がる姿が劣情をえぐるのでユリアンはやめなかった。
ホックの外れた頼りないブラの下に手をそぅっと滑りこませて、
ユリアンはカリンの胸に触れた最初の男となった。



暖かい膨らみの感触が手の中に広がった。
堪らずユリアンは吐息の塊を吐き出す。全ての神経が手の表面に集中していた。
 ただ、カリンの動きが止まったことも気になった。
手で胸を覆った途端抵抗をやめてぴくりとも動かない。
見ると少女は頬をそれこそ「紅茶を薄くいれた色」に染めて小さく震えていた。
ユリアンは戸惑ってしまった。急に自分を受け入れる気になったとも思えないが
それにしては恐怖に震えているようにもみえない。
ただ目を見開いて耐える様に震えているのがいじらしく可愛かった。
手が熱くなるのでとにかく彼女の胸を掴む。
押し潰すように彼女へ向けてゆっくり押しやると、それと一緒にカリンは目を閉じる。
恥じ入るように顔を背けるさまが愛らしくてユリアンは誘われるように頬にキスした。
 ユリアンの大きい手が胸を包んだだけでカリンは恥ずかしさに身の縮む思いだった。
後になって考えてみても他の男だったらああまで簡単にあの状況に甘んじたりはしなかっただろう。
もっと怖がってもよかったものを、カリンの頭は初めてユリアンに胸を触られた羞恥でいっぱいだった。
どうしてそこでおぞましさを感じなかったのか、ずっと後にならないとわからないことだが、
初めての事に恐怖してはいても、そればかりでないことを感じてカリンはおとなしくなってしまった。
ユリアンの手が自分の胸についた二つの肉塊を動かし始めるとどうしても消えてしまいたいくらい恥ずかしくて
、初めてされる愛撫というものに震えずにはいられなかった。



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