ケスラーの憂鬱 後日談 (872さん)
金銀妖瞳 「さて、本日の議題はケスラー元帥夫人の言に上っていた人物についてであるが、
諸卿らに異存はないな。
金髪 「ロイエンタール。なぜ予が議長を務めてはならぬのだ。
金銀妖瞳 「失礼ながら、今回の議題は既婚者を対象としたもの。
今回はどうかお許し願いたい。
金髪 「うむ。そういうことなら仕方あるまい。では話をつづけてくれ
金銀妖瞳 「では今回問題の発言を反芻してみよう。文章は上のレスを見ていただいて
ここで問題となる点をあげると、情報源は未亡人。
一人は性についての関心が薄い。
もう一人は職場恋愛または職場で知り合ったということだ。
ファーレンハイト 「まあ、そうだな。それで?
金銀妖瞳 「まず未亡人というところから。この点からいって当たり前だが先に男のほうが
ヴァルハラへ来ているという事になる。
現在既婚かつ女性のみ生存しているのは……
オーベルシュタイン「帝国大将以上ですと、陛下、ケンプという事になりうる。
これでは対象が少なすぎるため、婚約者がいるという人物も考えますと
ルッツ、シュタインメッツも当てはまる事になる。
ファーレンハイト 「意外と少ないな……
赤毛 「ご夫人にとっても少ないほうがよろしのでは……
ファーレンハイト 「それはそうだ。
金銀妖瞳 「この条件かつ、第二の条件に当てはまる人物……
陛下。話はいささか変わりますが、陛下が生前カイザーリンと寝食を
共になさっていた頃、カイザーリンが薄着をして陛下の御前に上がったことは
ございませんでしたか?
金髪 「よく知っているな。確かに幾度かあった。
金銀妖瞳 「たとえば原色ばかり使用した機能性は全くない総レース仕立ての物や、
光沢のある黒革製品の物など……
金髪 「まるで見てきたようにいうではないか。
で、それがどうしたのだ。
金銀妖瞳 「陛下。その後どうなされましたか?
金髪 「別になにも。カイザーリンには『そんなに涼しい格好では風邪を引く』と言って
厚着をするように言った。
そういえばあの時のカイザーリンの顔は泣いているようにも怒っているようにも
見えたな。とても美しかった。
一同 「……
金髪 「みなどうしたのだ。押し黙ったりして
赤毛 「ラインハルト様……
おそらくそれはカイザーリンからの無言の合図だったのではないでしょうか。
それに、美しいなどという事をここで言うぐらいなら
カイザーリンの前で仰ったほうが喜ばれたのではないでしょうか。
金髪 「そうだったのか。カイザーリンには悪い事をした。
一同 「(おかわいそうに……カイザーリン)
金銀妖瞳 「(気を取り直して)さて、第三の情報である職場恋愛という事なのだが。
シュタインメッツ 「俺は違うからな。
ケンプ 「同様だ。
ファーレンハイト 「と、いうことは残る容疑者(?)は……
ルッツ 「ま、待て。確かに俺はクララとは病院で出会ったが、
私たちはまだ婚前でマリーカ嬢が参考にするようなことなど何も……
オーベルシュタイン「ところが、ここに面白い情報がある。
クララ嬢と早々に婚約を決めた後、クララ嬢の勤務先に
足繁く通う姿が目撃されている。
ルッツ 「それは単に経過を医者に見てもらうための通院だ。他に何がある。
オーベルシュタイン「ここで問題なのは通院していた時間だ。
通常、診察時間は1時間もあれば終わる。
だが、卿が病院に滞在していた時間は二時間を越えることが多かったようだな。
一体、何をしていたのやら。
ルッツ 「こ、混んでいて診察時間が遅れただけだ。
金銀妖瞳 「卿だけ特別扱いだという事か。悪い意味で。
ルッツ 「そうなんじゃないのか。
オーベルシュタイン「もう面白いデータがある。
クララ嬢の退勤データだ。休憩時間をよく見てほしい。
見事に卿の通院時間と重なるではないか。
もう一つ、その時間に重複するものがある。
病室というものは一日単位で変更だと思われているがそうでない場合もある。
この左端の病室も、例外に当てはまるのだが、
借りている人間とその時間をご覧いただきたい。
赤毛 「……重複していますね。人物の名前は……コルネリアス・ルッツ……
ルッツ 「……そこまで調べられては、言い逃れができんな。
俺はクララと会っていた。そこまでは軍務尚書が調べたとおりだ。
ただそれだけじゃないか。他にやましいことなどない。
レンネンカンプ 「これを見てもそうおっしゃれるかな?。
ルッツ 「なんだっ! 今まで黙っていたのに急に言い出して。しかもその映像データは!
一同 「(注目)こ、これは
ケンプ 「見事に看護士姿のクララ嬢と卿が……
ルッツ 「ワーっ!ワーっ!(映像データをかき消す)
わかった。皆が思っているとおりだ! これ以上言わせないでくれ。
(本人の目の前で見せるものじゃないだろ……OTL )