…と自己紹介がまだでした。
僕は来人。英語が苦手な高校生。それでもほかの教科と人つきあいがいいので成績はいい方に入る。勉強を止めにきた(？)人は僕の父。なんかすっごいことを研究してるって聞いたことがあるけど…詳細は不明。
「そんな自己紹介、使う日が来る訳ないからやめとけ」
「…」
ごもっともです。でも言わない。父との関係はあまり仲良くない。父が話しかけることが少ないから。まあ、話すときは話すがな。
「英語は苦手なんだろ？じゃあ社会とかでもやっときな。歴史は英語抜きなら苦手な方に入るんだろ」
「そんなことないですー」
歴史もいい方に入る…ハズ。
「でも、学校教える歴史は絶対に違う!!本当は―――」
「でたっ父さん謎の仮説、ポケ歴史！」
「仮説じゃない！」
父は何故か世間一般の歴史は本当じゃなく、自分の仮説が正しいと主張する。ゲーム・ポケモンのあいつらは実在したとか言い出すんだ。困った人だ。
でも昔に一度聞いたことがあるけど、結構正しそうなんだよな…その仮説。
「掘り出された遺跡や化石、昔から成る伝説、物語…それらを結ぶとやはり！実在したとしか考えられない！」
「ハイ、ハイ。」
「ちょっ聞き飽きたみたいな感じで流すんじゃねぇ！」
「えっだってそれ39回目だぜ？聞いたの」
「数えてた!?まさか！」
そしてそこまでならいいんだけど、父のポケ好きが重症だから、歴史を変えて、ポケモンは絶滅させない道に行かせる！とか言い出したんだよね…いや、確かに好きだけども。そこまでするか!?みたいな。
えっ…突っ込むところそこじゃなく、“出来るかどうか”だろ？ってか。
確かに突っ込むところだが、それは不思議と、ポケモンが存在していた、という仮説の証拠になるんだな…不思議なエネルギーがあったとか何とかかんとか。父の話はだいたい聞き流してるからわかんないけど、なんか出来るらしい。
「そんなことより！」
「今良いところ！」
「…知らないけど、できだぞ！タイムマシン！」
「ハァ!?訳わかんねぇ！」
なんか出来たらしい。
「って言う訳で行ってもらう」
「何処へ!?」
「過去へ。」
はぁ!?ついにイカレたか？この人…
「いやぁ研究の成果が実を結んだなぁ」
いやぁ、1人感動されても困るんだけど。
「さて、出発してもらうぞ。」
「いや、あの…突っ込むところ多いんだけど…まず、何があった？」
「タイムマシンが完成したし、ＴＦ剤も完成した。つまり歴史が変えられるって訳だ。」
「ＴＦ剤？なんだよそれ。タイムマシン？そんな完成簡単なのか？」
「トランスフォーマー剤。過去に行ったとき、怪しまれないようにってな。それと…」
…あぶない！タイムマシンの説明を聞かされたら１時間半は優に無駄になる！
「タイムマシ…「それはいい！」
「そうか。で、つっこみは以上か？」
「何で僕が？」
「それはＴＦ剤は大人には効かないからだ。俺が飲んでも変化なし。成長しきった体格には合わないらしい…残念だ」
「だからって僕が行く理由には？」
「俺の子だから」
「…ちなみに何になるんだ？」
「化石になったポケたち…例えばピカチュウの遺伝子が微量だが見つかった。」
「なるほど。それになれ、と」
「で、他にも…」
「そこまでしてなんになる？」
「自己満足」
「子供にそんなことして楽しいか？」
「あぁ、楽しいね。子供よりポケモンの方が好きだもの」
「このっ外道!!」
「その通り。外道で結構」
「開き直った!?そんな性格じゃなかったのに」
「はい、質問受付終了。時間が惜しいからな。じゃ、1階来い。」
「勝手に決めた!!やっぱいつものお父さんだ…」
何でこんな家に生まれたんだろう…という気持ちが出てきた。まぁ…ポケモンになれるならとてもうれしいけど…って本当になれるのか…？
聞いたことないし、そんなこと。お父さんはすごいのは知ってるけど…不安だ。
そんなことを考えながら階段を下りる。前を歩く父の背中は喋るなオーラが出ている…そんな感じだ。
いつもの少し暗い1階が不安のせいかいつもより暗く感じた。