・さっきから話していたイーブイは[カフェ]といい、このあたりに住んでいる子。♀
・ずっとここに住みすぎて、この辺りのこと愚かこの世界のことも忘れたそうな。(え
・家はこの辺りにあるらしい。この辺りにポケモンが来ることは稀なのでこの辺りを“領地”と名乗っているらしい
・僕はライト。元人間。の、はずが今はなぜかピカチュウ。記憶はない。
・いまだ状態異常:こんらん 脱水症状は湖の水を飲んだから治った。(そこはどうでもいいとカフェに突っ込まれた)
「ところでライト、これからどうするの?ポケモンになったのはいいけど…私この辺り分からないから[どっか行きたい!]とか言われても道案内できないよ?」
「なぁ、冒険するって言ったのどっちだよ」
「じゃ、とりあえず家に来ない?」
「えっ、いいの?」
「まぁ、最近さびしかったしね…家、空いてるから。じゃぁこっち、来て」
今気づいたけど、カフェが家に誘ってきてなかったら…怖くて何も言えない。でもよかった…暗く寒そうな森の中、記憶も道具も食料のないまま野宿しなくて…
―――てくてくと二匹が歩いていく…
―――行先は湖から北。木漏れ日が差す森の小道を…
そして5分くらい話していたところだろうか。そこにあったのはとても澄み心地のよさそうな場所だった。本当にそのあたりにあるような材料と四足歩行のイーブイでも立てれそうな建築の立派な家(住処)。
「立派な家でしょ?今までの経験を活かして作ったの。まぁ、立話はなんだからどうぞ入って」
家の中はとても簡素な場所だった。1人…ではなく一匹暮らしにとってはちょうどいい家だ。
少し大きめの切り株でできた机、それにはちょっと小さい椅子。そして何とも寝心地がよさそうな木の葉と藁を混ぜてできたベット…もちろん1つだ。
他にも貯蔵庫や水桶、窓が2つで、1つは大きめ、1つは小さめ。個人的な見解だけど、とてもいい場所だ。そして、カフェはもう1つのベッドを作る材料を取りに行った。
カフェが帰宅した後、たくさん話して木の実を何個か頂くと、いつの間にか日が沈んでいた…
さて、寝ようかという話が前触れもなく真剣な話になった。
「ねぇ、何でライトはさ、ポケモンになったと思う?」
「さぁ…記憶が全くないから何もわからないんだ…」
「そう…じゃあさ、それ冒険の目的にしようよ。あなたの理由を、ポケモンになったその理由を」
「それって冒険の理由考えてなかった、という風にとっていいんだね?」
「私?私はいいの。だって、ここから出たかったんだもん。ほら、外の事全く覚えていないから」
「誰と話してるんですかー」
「いいの。悩み事、解決するの大好きだから」
「それは知らなかった!ってそんな話じゃな…」
「ところで!私、人になったことないからさ、ポケモンになったときどんな感じだった?」
「…もう突っ込まない!そう…だな…えっと…ちょっと待って、そんなこと覚えてないって!」
―――そうしてたわいもない話をした。
それにしても大変な1日だったな。こんな日がずっと続くのかな…
明日から…か。カフェとこれからずっと一緒なんだろうな。
それにしてもなんで僕はポケモンになったんだろう…
―――そんなことを考えていたらいつの間にか寝てしまった。
朝
ベットは結構窓側に作ってくれたし、その窓もちょうどいい場所に作られていたおかげでまぶしい朝日が目に染みた。
カフェは…寝ていた。
―――うーん…家主が寝ているんだし…もう一眠りするかな…
朝。といっても昼寄り。
カフェにたたき起こされた。
「いつまで寝てんの…?逆にかわいくて起こせなかったんだけど、朝ごはん冷めちゃうよ?」
「あ…ごめん いや、起きたんだよ1回…二度寝っていうやつ?」
「言い訳はいらない!サッサ食べてよ」
というわけで(半ば強制的に)朝飯を食べ(させられ)た。
でも結構おいしかった…
「いきなりでなんだけどさ、私の家には書庫があって、いろんな本があるんだけど…」
「それ昨日言ってほしかった!」
「それを今思い出したんだ」
「なるほど」
「で、それと同時に思い出したんだけど、君みたいなことを書いてた本があったような気がしたような気がしない」
「どっち!?」
「あると思ってる」
「じゃあ、調べてみる?」
「鍵なくした」
―――何だこいつ…記憶は全部なくすわ、大事な書庫のカギはなくすわ、突拍子な発言しかしないわ…ひどい奴だな、オイ
「悪口は嫌いだよぉ」
「いや 普通そうなる!」
「まあ、そんなわけで鍵さがしてみる」
―――1時間後―――
「あったあああああああ!」
マジで見つけた!こいつ…見かけによらず…
「外におちてた!君の鞄」
ばかだ。
「何やってんだよ!鍵探しじゃなかったのかよ!」
「…あれ?違かったっけ?」
「もういいよ…僕も探すから…」
「いーよ。今から君の持ち物だから」
なんでそうなる!?
「それは無い!というよりそれを返してよ!」
「じゃあ一緒に見てみる!」
「なんでそうなる!別にいいけど…」
そんな訳で僕は僕も知らない鞄の中身を見てみることに。
「ていうかさ、なんで僕の鞄を君が見つけた訳?」
「だって君が倒れてた時横におちてたんだもん。それを思い出して取りに行ってたの」
なるほど。だから途中で外に行ったのか。鍵探しなのに外に出るからびっくりしてたけど…
「おっと、これなに?」
「わかるわけないだろ?これが自分の鞄かっていうのも怪しいのに」
「紙切れっぽいけど」
「それはわかるけども。中に何が書いているのだろう…?」
「じゃあ読んでみ…れないね。なんて書いてるの?これ」
「あ、そっか。カフェじゃ読めないか…ポケモンだから…ってあれ…?よ…めない…?」
「えっ?」
もちろん、冗談でもなんでもない。人間の時の記憶がごっそり抜けているのだから、人間の文字なんて覚えているはずもない。
「読めないの!?元人間でしょ!?」
…無理。これは英語の点数20未満の生徒が日本語パッパラパーの外国人に複雑な住宅街の道案内をするのと同じレベル…
―――どうしよう!?