そして〜第三巻〜ポケットモンスター二次創作 でぃあす作
「うわあぁぁ!?」
俺、ショウゴ。「元」駆け出しのポケモントレーナー。今はサーナイトやってます。
歩き回って、少し疲れたから座って休もうと思ったら、何かが降ってきた。
目の前を通過したから、びっくりしてあられもない姿でコケてしまったが・・・
「いってて・・・ 何なんだ! 一体!」
で、態勢を直してその降ってきた物を見てみると・・・
「グルルルゥ・・・」
紫色をした中くらいの大きさの獣型ポケモンがこっちを見て唸っている。
あいにく、駆け出しトレーナーだった俺の知識は浅い。先方が何者なのか、とりあえず聞いてみる。
・・・自分のポケモンに。
「(ひそひそ・・・なぁ、ダレだアイツ?)」
「ニドリーノだよ、毒タイプのポケモン。オイラ達の居た所には居なかったけどね」
毒タイプか・・・ 相手を見る限り、何故かは分からないが、闘る気満々らしい。
このままトレーナーとして(サーナイトだけど)グラエナに闘わせれば倒せない相手ではない、だが、ここは一つ・・・
「試してみるかな・・・」
「えっ、ショウゴ?」
俺は重かった腰を持ち上げ、一歩前に出た。
「ま、まさか・・・?」
「あぁ、そのまさかだ。」
毒タイプの弱点に、エスパータイプがある。そして今、俺はエスパータイプのポケモンになっている。
人間にとっては、超能力なんて限られた者にしか使えない。だが、ポケモンだったらいとも容易く使ってのける。
今の俺は、その力を試してみたいという気持ちで一杯だ。そして、その機会が今やってきたのだ!
「でも、どうやるんだろう・・・」
と、こう考えてる間にも、先方は・・・
「ガルアァッ!」
「うおっと!」
我慢してるワケもなく・・・
そのニドリーノとやらが、俺に向かって体当たりを仕掛けてきた。
こんな細い体で、あんな体当たりをまともに受けてはどうなるか分からん。間一髪の所を、横っとびでかわした。
そう考えてる暇は無さそうだ・・・。早くやっちまわないと・・・
「こ、こう・・・かな・・・?」
とりあえず俺は、手をニドリーノに向けて、目を閉じ、念じてみた・・・
すると、何か手ごたえのような物を感じた。その状態を維持しつつ、目を開けてみると・・・
「へぇ〜・・・ これが・・・」
隣でグラエナが関心したような声を漏らす。
俺が見た先では、ニドリーノが宙に浮いた状態で、その場でもがいてる。
「ぐぅ・・・ この・・・!」
・・・このまま開放したら、また襲ってきそうだな・・・ と り あ え ず・・・
「ぐあああぁぁぁ・・・」
俺はニドリーノを、木々の生い茂る、崖下に向かってポイッと投げた。
落下先には木が沢山あるし、おそらくは野生のポケモンだ。その程度で死ぬハズはあるまい。
「っふぅ・・・」
一仕事?を終えて、疲れた俺はその場に座り込む。
「びっくりしたね〜、何だったんだろう?」
全くだ。いきなり何もなしに襲ってくるとは、礼儀の知らないポケモンだ。
「うーん・・・・・・」
と、グラエナが深く考え込む。どうしたんだ?
「そ、そんなに考え込む事なのか?」
「うん〜。だって今は二人ともポケモンだよ? 野生のポケモン同士で争うなんて、そう無いと・・・あ!」
そ、そういうものなのか? んー、あまり野生の世界は良く分からないが・・・ って、何だ?
「分かった! ナワバリだよ! 早くここを離れないと、また来るよ!」
「え、ちょっ、おい?!」
グラエナが、俺の腰に付いたヒラヒラを加えて、引っ張っていく。
「ちょっと! い、いたい! 痛いってば!」
「そんなこと言っていないで! ほら早く!」
とてもさっきまで疲れて休んでたヤツの行動には見えない。やっぱり面倒だっただけか・・・
で、しばらく走り、先ほどまでは崖下に見えていた森の中に、俺たちは今、そこにいる。
「い、痛い・・・ 痛ぇよぉ・・・」
「ご、ごめん・・・ 夢中で引っ張っていたから・・・」
走ってる間、ずっと引っ張られていたので、ヒラヒラの付け根が少し赤くなっていた。
無論、痛い。
「にしても・・・ ここは何処だ?」
赤くなったところをさすりながら、周りを見渡してみると、そこは薄暗く、不気味な風景が広がっていた。
「さ、さぁ・・・? な、ななんだか、何か出てきそうだね・・・」
さっきまで夢中で(俺を引っ張りながら)走っていたグラエナが、俺に寄り添い、ぶるぶると震えている。
全く持って世話の焼けるグラエナだ・・・
確かに、グラエナのいうとおり、何かが出てきそうな雰囲気ではある。だが、不気味なだけでなく、どこか神秘的なものを感じる。
この森には何がいるのか・・・
つづく
せかい〜第四巻〜
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