ESP〜第一巻〜ポケットモンスター二次創作 でぃあす作
「ランララーン♪ 俺のいとしのサーナイト〜♪」
俺はショウゴ。 トウカシティに住む、まだ駆け出しトレーナーだ。
17歳で駆け出し、ここ最近になって、急にトレーナーになる事を決意したんだ。
それまでは面倒臭がりの俺が、トレーナーになろうだなんて微塵にも思ってなかった。
そんな俺がどうして急にトレーナーになろうと思ったか、それは・・・
「え〜っと、確かこの辺に出てくるんだよな・・・」
少し前、町の北西にミツルという、体の弱「かった」少年がいた。
その少年はトレーナーになりたいという願いを、通りすがりの一人のトレーナーによって、その夢をかなえた。
で、そのミツルが一番最初に捕まえたのが、ラルトスという少し珍しいエスパータイプのポケモンだ。
その時は、まだ気にも止めてなかったラルトスというポケモン。 しかし・・・
「・・・やっぱり、なかなか出てこないな。」
そのミツルがラルトスと共にしばらくの間、旅に出てそれから戻ってきた時、俺は見たんだ・・・。
そう。ラルトスの最終進化系、サーナイトを。
「ん? あっ・・・」
俺は、ミツルが挨拶する為に出したサーナイトに心を奪われた。一目惚れってやつ?
まぁ、ポケモンに一目惚れってのも、少しおかしな話なんだが、惚れちまったんだからしょうがない。
で、俺はその日から決めたんだ。トレーナーになってサーナイトを手に入れる・・・と。
「ラルトスついに出てきたー! よーし、いくぜポチエナ!」
まず最初に捕まえたのが、このポチエナ。あくタイプはエスパータイプに強いからな。それにこの辺りには沢山生息している。
「まずは『かみつく』だ!」
ひとまずトレーナーの初歩的な事は、この町のジムリーダー、センリさんに教わってきた。
それを頼りに、しばらくはこの辺りでバトルの経験を積みながら、ラルトス探しに励む、一石二鳥の方法でやってきた。
そして、今ことのとき、ラルトスを見つけ、捕まえるハズだったんだが・・・
「よ〜し・・・ そろそろいいな。 捕まえるぜ!」
前に、このポチエナにしたようにモンスターボールを構える。そして投げようとしたその時・・・
「うわ!? なんだ?!」
普段は隠れて見えないラルトスの目が光ったように見えた。それを見た直後、俺はとてつもない眠気に襲われた。
「さ、さいみんじゅつ・・・か・・・?」
たしか、ラルトスはそんな技を使えた気がした。どうやら俺は、それをまともに受けたようだ。
「ぐっ・・・折角見つけたってのに・・・」
遠のく意識の中、ポチエナも俺と同じように横たわってるのが見えた・・・
・
・
・
「・・き・・だ・・・い・・」
意識が戻ってきた・・・。 どうやら技の効果が切れてきたようだ。
「・・て・・・よう・・・ウゴ・・・」
誰かが俺を呼んでいる・・・。 倒れている所を心配してくれて助けてくれたのか・・・?
「起きろショウゴーー!!」
耳鳴りがする・・・。今ので完全に意識は戻ったが、少しばかり迷惑だな・・・
「倒れているのを心配してくれるのはいいが、耳元で叫ばないでくれないか・・・?」
「あ、ご、ごめん、ショウゴ・・・。なかなか起きなかったから・・・」
俺は耳を押さえながらむくりと起き上がった。
・・・つもりだった。
「ん、あれ? み、耳?」
抑えようと触ったさきには、耳らしきものはなかった。そして、全身に感じる妙な違和感に今気づいた。
「な、なんだ? 寝違えたか・・・?」
耳が無いのに、それはないだろう。と自分にツッコミを入れたくなった。
「ショウゴ。大丈夫か?」
俺はその時。ようやく呼びかけの声の主に目を向けた。
「あぁ、大丈夫だ、ありが・・・とう?」
だが、目を向けた先にいたは、ポチエナの進化系、グラエナだった。
「あ、あれ? なんでポケモンがしゃべってるんだ?」
「いや、ショウゴ・・・自分を見てみてよ・・・」
そのグラエナは、少し言いづらそうに、そう俺に言った。
「自分を? そういえば、なんか違和感があったんだが・・・ って、あれ?」
言われた通り、自分の姿を見てみる。 だが、それは明らかに俺のものではなかった。
「な、なんだこりゃ?!」
手が緑色で、指も3本しかない。体もほとんどが白で、胸からは牡丹色の突起物が出ている。
「あれ? こ、これってまさか・・・」
「そうだよ、ショウゴ・・・。ショウゴ、ショウゴが大好きだった、あのサーナイトになってる・・・」
「・・・・・・・・」
ま、マジでか?! でも、自分の目から見える範囲を見ても、それはサーナイトそのものだった。
頭を、まだ慣れない手で手探りしても、やはりそれはサーナイトの物のようだ。
「な、なるほど・・・ お前がしゃべれるんじゃなくって、俺が話せるようになったんだな。」
それなら理解がつく。ポケモン同士は、鳴き声は違うように聞こえて、言語は共通らしい。
「なーるほどなるほど。 って、俺の名前を知ってる、お前は誰だ?」
俺の記憶が正しければ、グラエナに知り合いは居なかったハズだ。
「オイラだよショウゴ! あの時の小石は痛かったぞ〜?」
「え・・・ あ、あぁ! お前、俺のポチエナか?!」
当時、まだポケモンを一匹も持って居なかった俺は、石を投げてぶつけて、それでポチエナを捕まえたんだ。
「でも、なんでいきなり進化した? 俺もサーナイトになっちまってるし・・・」
「わからない・・・ 起きたらこうなってた・・・」
うーん? 起きたらこうなってた? 一体何があったっていうんだ?
「え〜っと・・・ 確か俺達は・・・ そうだ。ラルトスを見つけて、そんでバトルして、それで・・・」
「そうそう、あと少しだったのにね〜」
いや、問題はそこじゃないだろ。 というツッコミを飲み込んで、俺は状況の理解に励んだ。
だが、考えても考えてもサッパリ分からなかった。
「なんでラルトスにさいみんじゅつを食らっただけで、こんな目に会わなきゃならないんだ?」
こんな目 とは言ったが、自分があの愛しのサーナイトになってる事に関しては、正直な所、まんざらでもなかった。
「お、オイラに言われても分からないよ・・・ とりあえず、どうする?」
「どうする・・・か・・・」
周りを見渡してみると、右には川、左には切り立った崖、前は川の上流でいて、滝が流れている。
「・・・って、ドコだよここ!」
つづく
PSI〜第二巻〜
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