サリーヌとフクス・青狐中編 冬風 狐作
【ご案内】こちらの小説は愛好者さんのブログ「不思議なお話」に掲載されています小説「美少女戦士サリーヌ」の二次創作となります。

 フクスはほんのりとした微笑を返してくる、それは一見すると無邪気で全く無害の類だろう。
「今日もリラックスしてるきゅうんね」
「うん、何かフクスちゃんといるとのんびり出来るから」
 しかし当然フクスは感づいている様子でそれを隠さない。だからその度に尋ねられ、その通りだと返すのはすっかり恒例のやり取り。
 そもそもフクスは人ではないのだから当然なのだろう。妖狐、つまり狐なのだからスーツによって正義の味方となる自分であっても、所詮は人なのだから全ては見透かされている、そんな心地にすら最近は強くなる高菜であり、サリーヌなのだった。
「それは嬉しいきゅうんね、私もサリーヌと会えて楽しいきゅうん」
 そしてフクスの嬉しそうな声に思わず頬を緩ませてしまう、そんな関係。何時しか出来ていたそれはチームの仲間達からも認められているものであるし、彼等の前でも普通にこんなやり取りはしていた。だが2人っきりでするのに比べると満足度、それは何故か低くそして恥ずかしい気持ちが募って仕方ない。
 だからこそフクスとだけの時間に対する満足感は計り知れなかった。前述した様な障害とも言える感情がない分、ストレートにどこかで胸がどきどきとする感覚は強く、一種の恍惚感に通じるものをサリーヌが抱いていたのは違いない。そしてそれは繰り返すが如く、フクスもすっかり分かっているからこそ成立するやりとり、故に恒例の「やり取り」であり「儀式」であったのだった。
(ふふ・・・すっかり懐いちゃってる)
 自然と寄り添う様に並んで座ってきた高菜を撫でながら、フクスはふと思いを浮かべる。
(私の前じゃ、サリーヌじゃなくていいの、あなたを見せてって言い聞かせたのようやく理解してくれたみたいね)
 そう思う内にフクスの姿は少しばかりの変化を得ていた、それは全体として大きくなるもの。部屋に入ってほんの先ほどに至るまで彼女の背格好は美しいと共に小柄な少女、と言う具合だった。
 しかし今はどうだろう。背はすらりと背筋と共に伸びた体は、程よく締まった肉付きになったのが袴の上からもうかがえる。顔自体もよりきりっとしたものになり、ほんのりと白い肌の上に隈取のような赤い筋や帯が目元や口元と言った場所に入ったのが見える。
 何より胸は明らかに膨らんだ豊満さを露にしていて、先ほどまで漂っていた素朴さはどこへやら、大人の女性としての艶やかさを湛えた姿になっている。そして同時にそれはある種の近付きがたい気高さをも、鋭い瞳の輝きと共に混ざり合った結果として発していた。
 当然、それに比べたら高菜の姿や気配など全く及ばない。高菜は元々陸上をしていたことから、他のクラスメイトと比較するとしっかりとした体つきで体もやや大きい。だがそこには女性らしさと言う物はある様で欠けていた、と言えるだろう。だからこそすっかりその気配は身の装いを新たにしたフクスの前にはすっかり太刀打ち出来なかったし、何よりもその妖艶さと気高さの中に飲み込まれている観すらある。
「さ、高菜もあなたの姿を見せて・・・?」
「う・・・うん、フクスさん・・・また何時もの様にしてくれませんか・・・?」
 フクスに対する呼び方がわずかに変わった事を果たして2人は意識していたのだろうか。高菜の口には何の躊躇いも、確かに言葉が途切れ途切れになっているが、それは胸の動きから見える通り、気持ちが上気しつつあるからだろう。少なくとも何か迷っていたと言う気配は全く無かった。寄り添う姿から何時の間にかフクスの豊満な胸に膨らみに、顔の半分をうずめる様になって抱きついている姿には迷いがあるとはとても思えない。
 フクスの口は何も答えなかった。ただほんのりとした笑みを浮かべただけで高菜の好きな姿勢をとらせたまま、そっと手を回し顔を上に向けさせる。そして成されたのはすっと軽い口付け、唇同士を重ねる程度ですぐに離される程度のものであったが、互いの呼気は混ざり合い一瞬の濃い密度の湿気が口元から鼻筋にかけてを覆うのだ。
「ん・・・っ」
(ふふ、良いわよ高菜・・・)
 高菜の呟きとフクスの思いが交錯する、フクスの思いはあくまでの内面であるから高菜には伝わっていない。しかしその行為、つまり軽い口付と言う行為が何を意味するかは、前述した恒例の「儀式」の一環としてお互いに承知している事。
 だから、しばらくフクスの瞳を見つめた彼女は身を離すとフクスの背後へと回る。そしてその場で身に纏っている制服、その裾に手をかけると一気に脱ぎ始めたのだった。

 ベッドの上で見せた物、それは身に纏っている衣服、制服を脱いでスーツにも何にも覆われていない無垢の体を見せ付ける事だった。しかしそれは果たして真の意味で無垢なのだろうか。
「フクスさん・・・お待ちしてました」
 彼女は決して俯く等していない、だがある種の恥じらいを浮かべているのは赤らみ具合から見えてしまう。最も立ち膝の姿勢でベッドに腰掛ける姿勢を解いたフクスに、その身を晒しているのには彼女の精神状態がどうであろうと差は無い。
「フクスさんに頂きましたこの・・・彫り物、凄く気に入ってます・・・」
 そう言って高菜はその体をひとりでに撫で回す、白い女性らしい肌理の細かな皮膚の上。そこには白さに抗する様な色合い、模様が複数描かれていた。それは主に臍に乳房、そして股間に集中している朱色の鮮やかなもの。
 形としてはそれは幾何学的とかそう言うのではない、丸さを帯びている形だった。即ち曲線が多用されて体のそれぞれの、例えば乳房の丸み、臍の落ち込み、そして股間に潜む胎の存在を暗示するかの様だった。
 それ等を撫で回せば撫で回すほど高菜の表情はただ恥じらいがうかがえる程度からより明確化してくる。この上ない幸福、心の底からの暖かさにすっかり浸り切っているかの様でとても高菜らしくなく、また言うならば正気の顔ではない。
「彫り物と言うよりも染めただけよ、私はあなたをね」
 フクスはあくまでも冷静な口調で述べる、しかし金色の瞳はじっとそ裸体を眺めては、目をより細める自然な反応として見せてしまう。
「さ、今日もあなたを見せて」
「はい、フクスさん」
 何時の間にか高菜が座るべく用意されている椅子に腰を下ろし、フクスは再び口を、指示を与えた。あの姿勢のままベッドの上でひたすら自らの体を撫で回していた高菜は、窓と言う窓のカーテンを閉めて回る。すると気付くのはその彫り物が尻肉や背中にもある事だろう、薄暗くなったのを見渡して確認するなりフクスは、その指を自らの口吻へと持ってくる。
 そして軽い息が吐かれるなり現れたのは水色の炎だった、それも複数。フクスはあくまでも一息を軽く吐いただけであったがその息は瞬く間に水色の淡い光を放つ炎、そう火の玉となって1つ、2つ、3つ・・・5つとなってしばらくフクスの周囲を浮遊した後、すっと移動した先は再びベッドの上に登って構えていた高菜だった。
「うう・・・くすぐったい」
 炎はその肌を撫で回す様に、それこそ全身余すことのない様に巡り続ける。熱さを高菜は感じていなかった、むしろくすぐったさを感じていたと言えるだろう。
 やがてくすぐったさは、気持ち良さへとつながる高ぶりを引き起こしていく、呼応する様に皮膚の彫り物が淡く朱色に輝くと共に上がっていくのだ。それはフクスと高菜の力、青と朱の共鳴に最早何もかもが染まっていた。何が起きるとしてもそれだけはその時、「then」として確かに言える事なのだった。


 続
サリーヌとフクス・青狐後編
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