悩める青少年 3









「あ、れ?先生まだ残ってたんですか?」



教室に入ってきたのはトールだった。
僕はあまりの驚きで、達することができなかった。
むしろ達しなくてよかった。あともう少しトールが来るのが遅かったら…
今は、どうやってこの状況を脱しようかそればかりが頭を回る。
どうやら、僕は先生の陰に隠れていて、トールからは見えないらしく、僕がいることにまだ気づいていないようだ。
でも、トールがこっちに近づいてきたら絶対にばれてしまう。
そして、何よりもこの体勢が、非常に不自然だ。


「ああ、ちょっとヤマトと話が長引いてな。」
何事も無かったかのように、フラガ先生はトールの質問に答えた。


今日のLHRで決めた体育祭の種目別出場者を書いたノートを忘れちゃったんですよ、と
トールは机のなかをごそごそと探している。
『!』
トールがこちらを見ていない隙に、フラガ先生の手が、僕のジッパーを上げた。
心臓が爆発しそうだ。この状況をトールにどうやって説明したらいいのだろう?
フラガ先生にしがみついている手が震える。



どうしよう。
トールを上手くごまかせる自信は無い。
とにかくココから逃げ出さなくちゃ。


あった、あった、と机の中からようやくノートを見つけ出したトールがこちらを向き言った。
「そういえば、キラは?ん?先生の後ろにいるのか。」
「あ、あぁ、話をしていたら、ヤマトが具合が悪いというんで、今から保健室へでも・・・」
先生の気が、僕から少しそれた瞬間、僕は先生の手を振り解き、教室を飛び出した。



「キラっ!!」
「キっ、ヤマトっ!オイっ!!!」


僕はもうとにかく走るだけだった。ただただあの場所から逃げ出したくて。
遠くで、トールとフラガ先生の呼ぶ声がするけど、そんなものは無視した。










気づいたら、家のドアの前にいた。
制服のポケットに入れておいた鍵を、ドアの鍵穴に差し込むが、手が震えて上手く入らない。
単に走ったからというだけではない、動悸と息切れ。
なんとか扉を開け、また鍵を掛ける。
靴を脱ぐのも億劫で、僕は玄関に座り込み、ドアに寄りかかった。



僕は・・・いったい何をしようとしてたんだろう?
・・・いや、フラガ先生に何を期待してたんだろうか?


僕は先生に微笑みかけられて嬉しかったんだ。


独りじゃないんだって、言われた気がして。




あの澄んだ青い瞳と、明るい金の髪をした、フラガ先生が。
僕の為に、僕の為だけに笑ってくれたんだ。





カッコよくって、優しくって、それでいてちょっとおっちょこちょいなところもある、みんなの人気者のフラガ先生を
独り占めできたみたいで嬉しかった。






ずっと、独り占めしたかったんだ、あの向日葵みたいなフラガ先生を。









そう、フラガ先生は、僕の。ヒマワリ。










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またしても裏要素ゼロです。
しかも暗くなったので、無理矢理ヒマワリ使いました(爆)
いやーでも、私にとってフラガさんのイメージはヒマワリなんで。
でもヒマワリってよくみるとキモイよね…真ん中が。
あー、まだまだ続きます。



  




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