abnormal affection

「じゃあ…今その人の所にいるんですか忍足さん!?」 神尾は忍足の服を掴み、睨み付ける様に見上げた。 「…いや…今からソイツん所に行くんや…」 忍足は神尾の手をそっと退け、窓の外を眺めつつ話を続けた。 「…ソイツ……岳人とは神学校が一緒で、卒業したら俺に何も言わんでローマに行って…俺は淋しくて…… そしてこの教会に来て、跡部が俺に迫って来て…関係持って。それから二年位経って、岳人から手紙がきたんや。 侑士と一緒に教会をして行きたい…って……それで俺、居ても立っても居れへんで……」 「…逃げ出した…って訳かよ……」 「好きな人の事考え出すと…もうその人しか見えへんのや……」 忍足はそう言い終えると下を俯いた。 「…解る、その気持ち…良く…解るぜ……」 神尾は忍足の後ろに立ち、忍足の肩をポンポンと軽く叩いた。 「……神尾君…跡部の事好きなんやろ…?」 下を俯いていた忍足が突如神尾の方へ振り向いた。 「…あ…え……」 神尾の顔はみるみる赤面していく。 「…やっぱそうなんや…多分そうやと思ったで」 「…何で……」 「…さっきから俺の顔めっちゃ睨んで話してんやもん…バレバレやで」 にっこりと微笑む忍足。 「……」 神尾の顔はまた更に赤面した。 「……跡部と俺は…ただ、淋しさの埋めあいを互いにしてただけやと…俺は思ってる……」 忍足は神尾の手を握り、話を続ける。 「俺も…岳人居らんで淋しかったし…跡部は絶対口では何も言わへんけど、何か時々とても切なそうな声出したり、表情すんねん。 もし…岳人って言う人が居らへんかったら…俺は跡部を好きになってた……」 そう忍足が言うと神尾が焦る様に顔を上げた。 「…大丈夫やって…俺が好きなのは岳人…岳人だけやから」 忍足が苦笑いをしながら言った。 「…そっか…」 神尾は安堵の表情を浮かべる。 「…神尾君、俺思うんよ。虫が良すぎる話しかもしれへんけど…神尾君なら跡部の切ない表情とかを笑顔に変える事が出来るって。 確かに跡部の愛し方ってのは…一般的には歪んでるかもしれへんけどな…ええ奴やで〜」 忍足は神尾の手をギュッと握り締める。 「…何時日本を離れるつもりで…?」 「明日や。早く岳人に逢いたいからな」 そして忍足の手は神尾の手からそっと離れる。 「…好きな人は…何があっても離したらあかんで!!離したら一貫の終やで〜神尾君!!」 そして忍足は神父室を後にした。 ──カツカツカツ… 忍足は扉に向けて足を運んだ。 そして、扉の前には見覚えのある人物が扉に寄り掛かる状態で待っていた。 「…久しぶりやなぁ…跡部〜」 忍足は跡部を真っすぐな瞳で見つめた。 「…あぁ…神尾に何か余計な事言ってたみたいじゃね〜か…忍足……」 跡部は忍足の顎をクイッと上げる。 「例の…子なんやろ?…まだ何も言うてへんみたいやけど…相変わらずやなぁ〜爪が甘い所は…」 忍足は跡部の手を振り解く。 「…黙れ、テメェみたいに計画無しに動く俺じゃねーんだ。どーせ、お前の探しモンってのは…コレだろ?」 跡部は忍足にあるモノを投げ付けた。 「うわっ!?投げるなや!!」 忍足は少し怒った様な口調で言った。 「…投げるモノを投げて悪いのか、アーン?…多分取りに来るだろうと思ってたぜ。アイツとの思い出の品だもんなぁ〜」 「……勝手に跡部が取り上げたんやろ…」 忍足は埃で少し汚れてしまった古びたテニスボールをギュッと握りしめた。 そしてしばしの沈黙の後忍足が口を開いた。 「ゴメンな……」 忍足は少し潤んだ瞳跡部を見つめた。 「…謝る位なら…躯で示してみやがれ……」 跡部は忍足に乱暴に口付けた。 「…はぁっ……」 絡まり合う二人、二人だけの吐息…そして、忍足は跡部の唇から離れた。 「…そんならな…跡部……」 忍足は扉を開いた。 「…オイ、ちょっと待ちやがれ!!」 跡部が忍足の腕を掴んだ。 「…どーせ金ねーんだろ?ほらよ!」 跡部が忍足にお金を渡した。 「ありがとう…跡部」 忍足は満面の笑みで答えた。 「…さっさと…お前なんかローマに行きやがれ!!二度と俺の前に表れるんじゃねぇ!!」 そう跡部は言い終えると、神父室に向かって歩きだした。 「…跡部…ホンマ…ありがとうな……そして…さようなら………」 ──ガチャン!! 重々しい扉が閉まる音がチャペル内に響き渡った。そして、それと同時に跡部の足の動きも静止した。 「……馬鹿野郎…」 跡部は一番前の席に座り、十字架を眺めつつ呟いた。 「馬鹿、なのは…俺の方…なのか…?」 跡部の視界が少し揺れ始める。 「…俺は……」 跡部は頭を抱え、下に俯いた。 「…跡部〜…帰って来てるのかぁ〜?」 神尾が奥から歩いてくる音が聞こえる。 「…俺様がしっかりしねーで…どうするんだ…」 跡部は顔を腕でグイッと拭い、こちらに向かって来る神尾を待ち受けた。 「…もー帰って来てるんなら、声位掛けてくれよ〜」 「あぁ、すまねぇな。ちょっと話してたんだ」 「…忍足さんと…逢ったのか?跡部…」 神尾の顔色が曇る。 「……」 跡部は黙り込んだ。 「…そっか…逢ったんだ……」 神尾は何とも言えない気持ちに支配されていた。幾ら忍足にあんな事言われても、不安でたまらない…… 『まだ…忍足さんの事好きなのか?』 聞きたいけど…これを聞いたら全ての物事が壊れてしまいそうで……聞けない。 「…ちょっと一人にしてくれ……」 跡部は神尾に瞳をあわさず言った。 「…何だよ…跡部…そーいう事なのかよ……」 神尾の声は震え、そして涙声になった。 「…俺は…忍足さんの代わり何だ…そんなの…嫌だ!!」 神尾は泣き叫んだ。 「跡部のバカ野郎!!お前もローマに行っちまえ!!……ッ」 神尾は涙を流しながら教会を飛び出した。 「…俺にも解らねーんだよ…誰か…教えてくれよ……」 跡部はそう呟きつつ、頭を激しく掻いた。 ■ ■ ■ 「はぁ…はぁ……」 一体どれ位走ったんだろろ?もう足はふらついていて立つのがやっとの状態だ。 ──ポツポツ… 「…雨、か……」 その雨はすぐに土砂降りの雨へと変化を遂げた。 「俺もこの雨と一緒だな〜ふふ…ははっ」 神尾はそんな事を呟きながら土砂降りの雨の中笑い続けた。そして… ──PPPPPP… 突如携帯が鳴り響いた。 next

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