『出会い』
夜になり、ハイドはまた昼間来た場所に一人で来ていました。
すると、少し先に船の光が見えたのです。
ハイドは前々から、人間に興味を持っていました。
「きっと、あの船にはたくさんの人が居るんやろうなぁ」
耳を澄ますと、楽しそうな音楽や、たくさんの人間の笑い声が
海の風に乗って聞こえてきました。
「ええなぁ。楽しそうやなぁ・・・・・・行っちゃえ〜!!」
そう言うと、ハイドは海に飛び込み船まで泳いで行きました。
人魚の国では、人魚は人間に近づくのは禁止されています。
それは、人魚の存在を人間に知られてはいけないからです。
けれど、夜だから見えないだろうという考えと、
人間に対する好奇心に負けてしまいました。
船に辿り着きました。
船はとっても大きく、煌びやかに着飾っていました。
「スッゴイなぁ〜」
大きな船に圧倒されつつも、
歌が好きなハイドは、船から聞こえてくる楽しい音楽にのって、
ついつい歌っていました。
その時です・・・
「誰か居るん?」
船の窓から誰かが顔を出しました。
きっと、ハイドの歌声が聞こえたのでしょう。
ハイドは慌てて船の陰に隠れました。
「・・・居るわけないよな・・外は海やし」
ハイドは、こっそり窓の方を見ました。
「・・・めっちゃかっこええ」
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