『薄暗い森』
「結構走ってきたなぁ」
家から出て何時間もたっていました。
「あと少しやから頑張りや」
そう言うと、テツは馬を撫でてやりました。
暫く行くと、別れ道がありました。
「どっちに行ったらええんやろ」
テツは道を示す立て札を見つけました。
けど、それは道に倒れていたのです。
「ん〜・・どっちに行ったらええんやろ」
道は2つ。
1つの道は、日が差し込んでいて明るい道。
もう1つの道は、日が全くなく薄暗い道。
「よしっ、こっちに行こう」
そう言うと、テツは日が全くない薄暗い道を進もうとしました。
すると、馬が嫌がったのです。
「お前、怖いのか?こっちは近道や。お前も早く街に着きたいやろ?」
テツはそう言って、無理やり馬を動かせました。
パカッパカッパカッ・・・
あれから何時間経ったのでしょう。
辺りはもう真っ暗です。
それでも、一向に街の灯りは見えてきません。
「・・・もしかして、もう1つの道やったんかなぁ・・」
テツがそう言うと、馬が『そうだよ』と言わんばかりに、
鼻を鳴らしました。
「そうやな、お前が正しかったみたいや。戻ろう、今ならまだ間に合うはずや」
テツが引き返そうと後ろを向こうとすると、唸り声が聞こえてきました。
ガルルルルルルルr・・・・
「も、もしかして・・」
予感的中。
テツが固まってると、一匹の狼が飛び掛ってきました。
テツは、それをかわすと馬を走らせました。
逃げても、逃げても追いかけてくる狼。
「わぁっ・・!!」
テツは急いで馬を止まらせました。
その先は崖。
もう、逃げれません。
すると、一匹の狼が馬に飛び掛ってきました。
ヒヒィ−−−−ン・・・!!!
馬は驚くと、テツを振り落として、
そのまま一目散に逃げていってしまいました。
「・・っ・・ちょっ!!待ってやぁ!!」
狼の注目は残されたテツに注がれました。
「ちょっ・・俺なんか食べても美味しくないで・・」
狼は牙を向き出しにしながらテツに近づいてきます。
「・・来ないで・・・・わぁっ・・!!」
狼がテツに襲い掛かってきました。
その拍子に、テツは足を踏み外し崖から転げ落ちていきました。