『発明大会へ』
「テッちゃん、ただいま〜」
「お帰りハイド」
ハイドは急いで家に帰ってきて、家の扉をあけると、
とても大きい機械が目に飛び込んできました。
テツの声は聞こえるが、その姿は見えません。
「テッちゃん〜どこ?」
ハイドがキョロキョロと当りを見回していると、
大きな機械の下からテツが出てきました。
「あっ、居ったぁ。ねぇ、さっきスゴイ音したけど大丈夫?」
「大丈夫やよ。それより、出来たんやっ!!」
テツは目を輝かせながら、自信満々に言いました。
「ほんま?!やったやん!!」
テツと一緒に大喜びするハイド。
何が出来たのかというと、
後少しで発明大会があり、その大会に出品する発明品です。
「さっそく、明日会場にコレを出品しに行くわ」
---次の日の朝
テツは、昨日出来たばかりの発明品を馬車の荷台に乗せると、
馬車に乗り込みました。
「それじゃ、行ってくるわ」
「うん、いってらっしゃい。喘息の薬持った?」
「ちゃんと持ったで。ほな」
「気をつけてなぁ」
ハイドは笑顔で手を振ってテツを見送りました。
家に戻ったハイドはいっぷくしようとお茶を入れていました。
すると、ドアをドンドンと叩く音が聞こえました。
普段、家には誰も訪ねて来ないので不信に思ったハイドは、
窓からコッソリ外を覗きました。
「あっ!サクラや・・何しに来たんやろ」
嫌だなぁ、と思いつつも、ドンドンと音がうるさいので仕方なく扉を少しだけ開けました。
「居るなら早く開けろよな」
そう言うと、サクラは図々しく家に入って来ました。
「ちょっと、勝手に入んなやっ!!」
ハイドが何を言っても、叩いても部屋から出て行きません。
「いいじゃん。あの変人のテツとかって奴が居なくなったんだから」
そう言って、サクラはハイドに抱きつきました。
「何意味分からん事言ってんのや!それに、テツは変人やないっ」
テツを変人と言われて怒ったハイドは、サクラを突き飛ばし、
その勢いで、家から追い出しました。
「っ、いってぇ!!」
地面に転がってるサクラに一人の男が近づいて来ました。
「やっぱり、駄目だったか」
「何だよっ!アインが大丈夫だって言ったんじゃん!!」
サクラに近づいてきた男はアイン。
サクラといつも一緒に悪さをするやつ。
「いや、サクラの情けない姿が見たくて」
「なんだと?!」
「嘘だって」
「くっそ〜!次こそは奪ってやる!」
どうやら、サクラはテツの居ないのをいい事に、
ハイドを自分のモノにしようとしたようです。
が、失敗。
アインと一緒に町に帰っていきました。