姉しよ三国志〜柊家の野望〜














……や。

「う、ううーん」

……うや、……なさい。

「う、ん……まだ眠いよ」






「起きろってんだろ、このイカッ!」






ゲシッ!






「うあああっ!? ゴメンなさい、ゴメンなさいっ!


「ふぅ、やっと起きた」


「あれ? 姉貴?」


「あれ? 姉貴?……じゃないわよっ!」


「こんな時でもぐーすか眠れるとは、豪気なものよのう」


「今、起きたばかりみたいですから、気づいていないんですよ、姉さん」


「さっすがくーやだねー。将来は大物になれるよっ」


「……って、なんでみんな、ここいるの」


「大変なんだ、空也」


「大変?」


「なんかねー、違うゲームに飛ばされたみたいなんだにゃ」


「違うゲーム?」


「……三国志]だって」


「歴史シミュレーションゲームってやつね」


「ね、ねーたんにねえやまで……」


「というか、なぜお前がここに居る! 犬神帆波っ!」


「し、知らないわよう。気がついたら居たんだモン」





はっはっは!




「そ、その声はっ」



こんにちは、山田です。


今日は皆さんに、中国大陸を統一してもらいまーす。


「んな、いきなり突拍子なっ!?」



これもこのHPのネタのためなのでーす。



「でも、『姉ちゃんとしようよっ!』『三国志]』の両方やってる人しか分からないネタやってどうするって感じだよねー」


「しかも、ネタに使うにはちょっと時期外してるっぽい……」



そこ、痛い事言わないっっ!


「ウザイ……さっさと戻さないと後悔するわよ」



そ、そんな大きめのペンチで脅しても、だ、だめですー。

と、とにかく、これは決定事項なのでーす。


「チッ」


「まあ、良いではないか、かなめ。これも良い余興であるぞ」


「……姉さんが、そう言うなら」


「異国とはいえ、三国時代といえば群雄割拠の戦国の世。我もそのような時代を体験したいと思っておったところだ。くうやもそうであろう?」


「……へ?」


「へ? ではない。男子たるもの一国一城の主を夢見るのは当然であろう」


「あ、主ですか?」


「うむ。親父殿がおらぬ今、柊家の当主はくうや、お前であるぞ。精進せよ」


「は、はぁ」



では、ここで皆さんのステータスを発表しまーす。


柊 空也(ヒイラギ クウヤ)


「なんか中途半端な能力値だな、オイ」


「まあ、アンタって結構筋肉バカな感じだしねぇ」


「うああああん、姉貴がいじめるよう、お姉ちゃんっ」


「ツインの言うことなんて、気にしない気にしない♪」


「まあ、武力の高いところなどは、いかにも戦国武将らしくて良いと思うぞ、くうや」




柊 雛乃(ヒイラギ ヒナノ)


「統率100……流石は雛乃姉さんですね」


「レア技能まで持ってるし」


「うむ、我はみんなのお姉さんであるからな」


(一癖も二癖もある柊家のお姉ちゃんたちを束ねてるもんなぁ)


「空也……今、とても失礼な事を考えなかったかしら?」


「い、いえ! めめめ、めっそうもないっ!」




柊 要芽(ヒイラギ カナメ)


「能力といい技能といい名声といい、すげぇぜ、要芽姉様!」


「フフッ、まあ当然の結果ね」


「交渉技能なんか全部埋まってるし……弁護士として活躍中だからかな?」


「でも、交渉技能って自分で使わないキャラだとあんまり意味ないんだよねー」


「……黙れよ」


「いやぁん、カナちゃんこわーい」




柊 瀬芦里(ヒイラギ セロリ)



「さっすが、ねぇねぇ、武力100だし武芸技能、全部埋まってるし」


「統率も高いし、技能も前線で戦う猛将って感じよね」


「にゃはは」


(でも、やっぱり知力と政治は低いんだなぁ……)


「にゃっ! 今、とっても失礼な事を考えなかったかにゃ?」


「と、とんでもございませんっ」



柊 巴(ヒイラギ トモエ)



「なんか、結構能力高いね」


「……すごいね。内政、戦闘系技能をバランス良く持ってる」


「そ、そうかな」


「でも弁舌技能がないのと、統率が若干低めなのは……」


「モエー、おなかすいたー! なんか作れー」


「む、無茶言わないで姉さん。今、それどころじゃ……」


「うにゃー! なんか喰わせろー!」


「あ、暴れないで、姉さん」


「巴姉さん、アタシのど渇いた」


「私はミントアイスが食べたいわ。用意して巴。今すぐ」


「あうう」


(やっぱ、みんなに振り回されてるからなんだろうなあ)




柊 高嶺(ヒイラギ タカネ)



「うはぁ、姉貴、知力100だって」


「諸葛孔明もビックリだねー、さっすが高嶺お姉ちゃん」


「ふふん、筋肉バカのイカとは違うのよ、イカとは」


(……絶対、姉貴、意地悪って隠し技能持ってる)


「……今、すっごく失礼な事考えたでしょっ!」



ゲシゲシ!


「うあああん、なんで分かるんだよぅ」



柊 海(ヒイラギ ウミ)



「う、海お姉ちゃん、えらく強くない?」


「っていうか、強すぎよ! 不公平だわっ」


「弟を守るって決意したお姉ちゃんは、何よりも強いんだよー。このくらい当然当然♪」


(確かに、怒らせたら柊家イチ怖いかも知れないもんなぁ、海お姉ちゃんは)




犬神 帆波(イヌガミ ホナミ)



「ちょっと、ちょっと! なんかワタシ、妙に弱くない?」


「うーん、まあ、ねぇやって基本的にダメ人間だもんなあ」


「……クスッ」


「キーッ! 今の笑い、ムカつくーっ!」


「あ、でも名声が高いね。やっぱ女優やってるからかな」


「でもカナちゃんより低い……」


「フン、当然ね。『氷の弁護士』として名声を得ている私にお前なんかが敵うわけが無い……笑わせるな」


「キーッ!」


「これに懲りて、もっと仕事頑張った方がいいよ、ねえや」


「く、空也ちゃんまで……」


「ほら、俺も応援するからさ、元気出して、ねえや」


「う、うん」


(チッ、空也の同情を買ったか)




犬神 歩笑(イヌガミ ポエム)



「ぽえむちゃんは優しいから、戦闘よりも内政向きだね」


「やっぱり小説家として成功しているだけあって、名声が高いね」


「私、ちゃんとクーくんの役に立てるかな……」




ではそういうわけで、レッツ、スター……


「ちょ、ちょっと待って!」



ん? なんですか?


「なんで、この美しいアタシの魅力がたった80なわけ!? 納得いかないっ!」


「うむ、我の魅力が75というのは解せんのう。我の魅力ならば100でも足らぬはずであるぞ」


「私……一番低い」


「……私の魅力が、あのバカ女よりも低いだなんて……どういう事かしら?」


「バカ女って……誰の事かしら? カナちゃん」


「お前以外に誰が居るっ! 犬上帆波! あとカナちゃん言うな!」


「あ、ひっどーい」



ああ、その数値はですね……


「……はっ! この数値は……分かる! 分かるぞぉっ!」


「ふむぅ? なんの数値であるか?」


「これは……それぞれのお姉ちゃんの……バストサイズだ!」
<



「な、なんだってー!」


……正解。


「なんで! なんでそんなので決めるのよっ!」


「……粛清……淘汰……虐殺……略奪……宣戦……侵略……」


「胸なんてただの脂肪の塊なのに……それが魅力だと言う……」


「ああ、貧乳姉同盟の方々が落ち込んでしまった……」


「勝手にヘンな同盟つくんなーっ!」



ゲシッ! ゲシッ!


「うわああん! 海お姉ちゃん! 姉貴がいじめるよー」


「よしよし。大丈夫だよくーや。悪いツインテールは、きっと戦場のドサクサで露となって消えちゃうからねー」


「なっ! 何、怖いこと言ってんのよ! 海っ!」


「えー、私、何にも言ってないよ? 空耳じゃない?」


「んなわけあるかー! バッチリ言ってたじゃない!」


「(・ε・)」


「ヘンな顔文字で誤魔化すなーっ!」



えっと、キリがないので、始めちゃいますね。

それでは、ゲームスタート!






―――次回予告。


山田の陰謀で、強引に三国志]の世界に飛ばされてしまった、俺、空也と柊・犬上のお姉ちゃんたち。

この世界から抜け出すには、中国全土を統一するしかなかった。

時は194年。

漢帝国を我が手にし、暴虐の限りを尽くした相国、董卓の野望は大陸一の武名を誇る飛将軍、呂布によって倒された。

しかしその呂布も、董卓の配下たちに都を追われ、根拠地を求めて放浪する身となっていた。

そんな混乱の真っ只中、俺たちは巴蜀の東、永安の地に根拠地を構え大陸統一の機会を伺う事にする。

……しかしこの地は、西には劉璋、東には劉表といった、この時代で有数の大国と国境を接していて、決して安全ではなかった……。


次回、姉しよ三国志第一話


『空也、大地に立つ!』


乞うご期待っ!





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