姉しよ三国志〜柊家の野望〜










第一話 空也、大地に立つ!






―――194年。永安。



「と、いうわけで始まっちゃったけど……



「うむ」



「何をしたらいいのかな……」



「ふむぅ、くうやはこういった、れきししみゅれーしょんゲームというのはやったことはないのかのう?」



「いや、こんな本格的なものは……(エロゲばっかだもんなぁ)



「こういうのは、お姉ちゃんにおまかせ! こう見えてもPC-8801の頃からこのシリーズはプレイしてるからねー」



「PC-8801って、海お姉ちゃん……年、いくつだよう」



「やだなぁ、くーやと同い年だよー?(・ε・)



「そ、そうだよねぇ……」



「まずは内政で力を蓄えるのがセオリーなのー。幸いウチのお姉ちゃんたちは内政が得意な人が多いからその点は楽だよー」



「みたいだね」



「んじゃ、私と雛乃お姉ちゃんで農業上げて……」



「うむ、心得た」



「巴お姉ちゃんとぽえぽえは商業ねー」



「あは、一緒だね。ぽえむちゃん」



「……うん。うれしい」



「要芽お姉ちゃんと高嶺お姉ちゃんは技術ねー」



「フッ、分かったわ」



「頑張りましょう、お姉様!」



「内政が得意でない私は何をしたらいいかにゃ?」



「瀬芦里お姉ちゃんは治安でバシバシ取り締まって」



「わかったー」



「ワタシは?」



「ほなみんは徴兵で兵士を増やしてー」



「了解っ! ワタシの魅力にかかれば何千人でも増やしてみせるワ」



「んじゃ、みんながんばろー!」




「おおーっ!」




「あ、あれ? 俺は何したらいいの? 海お姉ちゃん」



「くーやはなーんにもしなくていいんだよー。ぜぇんぶお姉ちゃんがやってあげるからねー」



「えー? 君主なのに?」



「いかんぞ、うみ。今は群雄割拠の戦国の世だ。くうやを甘やかしてはならん」



「雛乃お姉ちゃんはキビシイなぁ……じゃあね、くーやには登用をやってもらおうかなー」



「登用?」



「うん。いくらお姉ちゃんたちが優秀っていっても、中国全土を統一するには人材が必要だからねー」



「なるほど、スカウトしてくるんだ」



「他国にいる在野武将を登用できるのは、主人公のくーやだけだからねー」



「よーし、そうと決まればさっそく!」



「でも、気をつけてねー。外に出たら、怖い賊とか襲ってくるから」



「ま、マジで……?」
















と、いうわけで、内政はお姉ちゃんたちにまかせて空也は独り、人材を求めて中国大陸を旅することになったのです。






「さて登用か……ねぇ、きれいなおねーさんをスカウトとかできない?」




できません。無理ゆーな。


「チッ、つまんないの……お」



「………………」



「ウホ! いい男……すみませーん」



「柊空也殿か。聞き覚えのない名だが……それがしに何の用か?」



「それが……かくかくしかじか……で」



「それは難儀な……承知した。微力なれど身を粉にして仕えよう」



「そうか、貴公が来てくれるならば、我が軍は安泰だ(棒読み)」
















「よーし、一人ゲットだゼ! さて次は……うん?」



「………………」



「おー、軍師っぽいじゃん。すみませーん」


「丁重な挨拶痛み入る。それがしは荀攸と申す。よろしくお願いする」



「や ら な い か」



「……………………」




……おまいは。(;´Д`)


「ふむ、ならばそれがしを説得してみるがよい!」







「へ?」




これは三国志]名物、舌戦合戦。

勝利すれば、彼は配下になりますよん。




「よっしゃ! やってやるゼ!」








「実のところ、貴公はエロい事ばかり考えているだろう」



「くっ……確かにその通りだ」









「女をモノにするのなら、優しくしてはどうだ」



「否! 優しいだけの男では、かえって貢がされるだけで終わってしまうぞ!」


「そ、それはそうかも知れん……!」









「こ、このゲームは色気がなくて仕方がないな」



「否! 嫁や新武将の女は結構、エ ロ か わ い い ぞ!」



「な、なんだってー! うわあああっ!?」










……なんだ、この舌戦。(;´Д`)




「ぬうっ! まだまだぁ!」



「何度でもかかってきませい!」








そ−れから。




「士は己を知る者のために死すという。この命、貴殿に預けよう」



「5回目でようやく勝てた……」
















「ふぅ、なんかえらく時間食ったな……そろそろウチに帰るか……」



「やいやいやい、ここを通りたかったら金を置いていけ」



「うわ、善良な生徒から金を巻き上げるヤンキーか!」




おーっと、ここで一騎打ちですよ、空也きゅん。

まあ、隠密技能あるから逃げてもいいけどね。



「バカいうな、空也のクーは正義のクーだぜ!」




……いや、全然かすってないし。



「いくぜ!」









「なめやがって!」









「唸れ! 猫一文字っ!」









「うわあああっ!」










「ふっ、またつまらぬものを斬ってしまった……」




意外と強いよね、空也きゅん。




「はっはっは、伊達に親父に毎回修行に出されてねえゼ!」
















「ようやく帰ってこれた……」



「お帰りー、くーや。大丈夫だった? 悪い人に襲われなかった?」



「襲われたけど、返り討ちにしてやったゼ! 海お姉ちゃん」



「さっすが、くーや! いいこいいこ」



「はふぅ」



「お帰りなさい、空也」



「か、要芽姉様! ただいま戻りましたっ!」



「フフッ……はい、これ」




ドサッ!


「……え? なんですか? この大盛の書類は……」



「陳情書よ。ちゃんと目を通すのよ」



「え、えーっ! こ、こんなにいっぱい!?」



「つべこべ言わずにさっさと処理しろ。あんまり溜まると治安が下がるのよ!」



「は、はいーっ!」



「ごめんねぇ、くーや。お姉ちゃん、手伝ってあげたいんだけど、君主しかダメなんだよー」



「とほほー」











―――次回予告。


時は196年。

中原では都を押さえた曹操と、劉備から徐州を奪った呂布が。

河北では後漢の名門、袁紹と精強な騎兵、白馬義従を指揮する公孫サンが互いに鎬を削っていた。

そんな折、優秀なお姉ちゃんに助けられて着々と力を蓄えてきた柊軍は、ついに出陣を決意する。

その目標とは……。


次回、姉しよ三国志第二話


『空也、出陣っ!』


乞うご期待っ!


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