姉しよ三国志〜柊家の野望〜












第三話 空也、飛翔す!






―――203年。漢中。




「絶対儲かる商売を思いつきました。そこで金を投資してくれませんか? 絶対損はさせません」



「…………」



「町を発展させるために市場を拡大していただけませんか?」



「……………………」



「夜盗が出るとかでおちおち出歩けません。警備を厳しくしてください」



「…………………………………………プツッ」



「のるか反るか、ここが大勝……」





「うがーっ!」





「ひぃっ」




「どいつもこいつも、しょーもない事ばかり言ってきやがって! 大体、商売やるなら自分の金でやりやがれっ! それに夜盗って、この都市の治安は100だっつーの! これ以上、上がらないっつーの!」



「どーしたの? くーや。いきなりブチ切れしてー」



「うわああん、海お姉ちゃーん! みんな酷いんだよ、勝手な事ばかり言ってボクを困らせるんだ」



「よしよし、酷い愚民たちだねー」



「食べ物だって辛いのばっかだし……もう、こんなとこやだよう」



「蜀は四川料理発祥の土地だからねー」



「あーっ! もう、幼児化なんかしてうっとうしいわね、このイカッ」





ゲシゲシッ!




「うわああんっ! 海おねーちゃーん、姉貴がいじめるよう」



「よしよし、大丈夫大丈夫。悪いツインテールは戦場で霧が発生したドサクサで同士討ちされちゃうからねー」



「な、なに怖い事言ってるのよ海っ!」



「ん〜どうしたの? 高嶺お姉ちゃん。また空耳でも聞こえた?」



「くっ……アンタって子は……」



(・ε・)



「それよりも、海お姉ちゃん。もう内政飽きたよう。そろそろ外征しようよぅ」



「そーだねー」



「フフッ、もう準備はすっかり整っているわよ」



「か、要芽姉様」



「漢中の全部隊に新兵器を搭載させたし、関を何度も攻撃させて経験値を稼いでレベルアップもさせたし、いつでも出撃できるわよ」



「よーし! 出撃だーっ!」



「うむ! その言や良し!」



「あ、雛乃姉さん」



「雌伏の時は過ぎた。あとは羽ばたくのみであるぞ。して、どこに攻め込むつもりよな?」



「どこに……しましょうか?」



「我に聞いてどうする……というか決めておらんのか?」



「いや、つい勢いで……」



「……呆れた奴よのう」



「所詮、イカはイカよねぇ」



「う、海おねーちゃーん、ボク、どうしたらいいの?」



「そうだねぇ……曹操との戦いで弱ってる劉表を攻めて荊州を獲るか、劉表、孫策に気をとられてる曹操を攻めて涼州を獲るかってとこだね」



「でも劉表とは同盟を結んでいるわけだし、それを破棄して攻め込んで曹操と荊州を奪い合うのも面白くないわね……」



「そうだね……よし、曹操を攻めよう!」



「うむ」



「そうと決まれば出陣メンバーを選ばないと……まずは」



「はいはいはーい!」



「無論、我はその中に入っておろうな」



「くーやぁ。お姉ちゃんとくーやは、同年同月同日に生まれて同年同月同日に死ぬってのを桃園で誓い合った仲なんだよー」



「もう、四人決まっちゃったよ……んじゃ、最後の一人はやっぱり……要芽姉様、お願いします!」



「フフッ、いいわよ」



「……また、お留守番……しょんぼり」



「あは、今日は一緒だね、ぽえむちゃん。一緒に商業でも上げようか」



「うん」



「じゃ、ワタシは酒場で酒盛りしよっと」



「ちぇ、ツインは出陣しないんだ……」



「な、なに企んでるのよ、海っ!」



「べっつにー(・ε・)

















「よーし、出陣だーっ!」





「おおーっ!」








―――安定。



「申し上げます! 柊軍が国境を越え、この地まで進軍中です!」



「むむっ、ついに来おったか! 総員、配置につけっ!」



「ははっ!」



「よーし! 一気に落とすぞ!」



「よし、新兵器『井蘭』を組み立てよ!」



「雛様! 組みあがりました!」









「よし、撃てーっ!」



「むむっ! 攻城兵器か!」



「まるよ! 雷を放て!」



「ギュギュ!」











「ひゃぁ、ひなのんすごいねぇ」



「海、私達も弓で城壁の敵を攻撃するわよ!」



「了解!」



「よーし、俺もせっかくだから攻城兵器『霹靂車』を組み立てるぜ!」











「それ! 門を壊せー!」



「門が破られました!」



「むむむっ!」



「にゃはは! 突撃ーっ!」



「ねぇねぇに続けーっ!」



「むっ! そこに居るのは柊空也殿か!」



「おうともよ!」



「我こそは曹子孝! 一騎打ちを所望いたす!」



「ダメよ空也、あなたは我が軍の君主。軽率な行動は控えるべきだわ」



「分かってるよ、要芽姉様。空也のクーは、クールのクーだぜ!」



「はっはっは、若造め。女の影で怯えているがよいわ!」



「クスッ……下手な挑発ね。そんな挑発なんかに……」





「にゃにおう!


テメェ、そこを動くなよ!」






「……この馬鹿」



「いくぜ! こんちきしょう!」



「いい度胸だ、若造!」









「おりゃー!」



「ふん、まだまだ甘いわ! そらそらー!」



「くっ、このおっさんつえー!」



「そりゃそうだよ、曹仁将軍は曹操軍の副将とも言える猛将だからねー」



「ま、マジで!?」



「喰らえ、疾風撃!」









「うわあっ!」



「そらそら、どうした!」



「まだ、まだだ……気力を貯めるんだ!」



「とどめだ!」



「よし! いまだ!」



「むっ!?」



「轟け! 猫一文字ッ!」









「くっ! ぬかったわ!」



「おっしゃぁ! 敵総大将召し取ったりーっ!」



「さっすが、くーやだねー!」



「うむ、よくやったぞくうや」



「へへへ」



「空也」



「あ、要芽姉様」



「まったく、君主が気軽に一騎討ちを受けるなんて……もっと慎重に行動しなさい」



「す、すみません」



「まあいいわ……でも、よくやったわ空也。おかげで被害が最小限で済んだわ」



「ありがとうございます!」



「……なんか、要芽ねぇの方が君主っぽいよねぇ」



「うぐぅ」









かくして安定は陥落し、柊軍はまたその勢力を伸ばしたのである。
















―――次回予告。



曹操軍を撃破し、涼州を得た柊軍。

しかし、劉表軍を攻め滅ぼして広大な領土手に入れた曹操軍は強大すぎる敵であった。


時は205年。

大陸は柊、曹操、孫策によって三分された。

長安、宛を陥落させて中央への進出を果たした柊軍は荊州へ軍を進める。

快進撃を続ける柊軍であったが、曹操軍の陣容は厚く、それを突き崩すのは容易な事ではなかった。

そんな折、空也が出陣した隙をついて、曹操率いる10万の大軍が本拠地、宛に押し寄せる。

留守を守るのは巴と歩笑。


守備軍はわずか2万。




次回、姉しよ三国志第四話


『ねーたんの決意』


乞うご期待っ!



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