姉しよ三国志〜柊家の野望〜












第二話 空也、出陣っ!






―――196年。永安。




「戻ったわよ、空也」



「ど、どうでした? 姉様」



「フッ、カイリョウとかいう雑魚が舌戦を挑んできたけど……真っ向から叩き伏せてあげたわ」



「じゃ、じゃあ」



「ええ、同盟を結んできたわよ。劉表との」



「やったね。これで後顧の憂いはないね」



「よし、これで安心して劉璋を攻められる!」



「おお、いよいよ出陣であるか」



「はい、雛乃姉さん」



「蜀は漢の高祖が項羽を打ち破るべく力を蓄えた地であると聞く。大陸統一の力を養うにはうってつけであろうな」



「そ、そうなの?(君主の顔が弱そうだったから、こっちにしただけだったのに……)



「して、誰を出陣させるつもりか?」



「えっとまずは……俺と……要芽ねえ」



「私は帰ったばかりで疲れて眠いから寝る」



「ええっ!? そんなぁ」



「起こしたりしたら……犯す



「ひぃ」



「頑張りなさい空也。期待しているわ」



「ああ、行ってしまわれた……」



「アタシも嫌よ」



「ええっ! 姉貴も!?」



「当たり前よ! 戦いなんて、この可憐な私に似合わないし、それに……」



「……?」



「後ろから狙われでもしたら、かなわないわ!」



「えー? 尊敬する高嶺お姉ちゃんにそんな事しないよー(・ε・)



「とにかく! アタシは嫌だから!」



「わ、わかったよう……んじゃぁ」



「ワタシもパス〜」



「ねぇやまで、そんな事言うんだ……」



「だぁって、メンドそうなんだモン。というわけで、チャオ〜」



「逃げた……」



「空也! 私を連れてけー」



「大丈夫! お姉ちゃんは地獄の底までついて行くからねー」



「うう、ねぇねぇと海お姉ちゃんなら、きっとそう言ってくれると信じてたよぅ。んじゃ、あとは……」



「うむ、我も……」



「わ、私だって……」



「ともねぇ」



「……むむっ」



「……むぅ」



「ええっ? わ、私は、争い事は苦手……」



「大丈夫! ともねぇなら十分戦える!」



「で、でも……」



「勇気をを持って! さあ、一緒に! ブレイブッ!



「ぶ、ぶれいぶ……」



「スピリッツ!!」



「す、すぴりっつ……」



「よーし、これで大丈夫! ともねぇも参加だっ!!」



「え、あ……う、うん」



「さて次は……」



「うむ」



「わくわく……」



「……あとは三国志の武将から選ぶか」



「がくっ」



「ずるっ」



「これ、くうや! なぜ我らを無視するかっ!」



「くー君が意地悪する……」



「だ、だって戦場なんて危ないところに雛乃姉さんやねーたんを連れていけないよ」



「たわけ! 子供扱いするでないッ! 我は十分戦えるぞ」



「わ、私は戦いは苦手だけど……それでもくー君の役に立ちたい」



「わ、分かりましたよう。んじゃ雛乃姉さん、よろしくお願いします」



「うむ! まかせておけ!」



「……私は?」



「ゴメン、ねーたん。5人までしか出陣できないんだ」



「がーん。……スネ夫に仲間はずれにされたのび太みたいでショックー」



「ご、ゴメンよう、ねーたん」



「仕方ないよね。うん、ちゃんとお留守番してる」

















「よーし、出陣だー!」





「おおーっ!」







―――江州。









「敵襲ー! 敵襲ー!」



「むむっ、柊軍が動いたか! 全軍、迎撃配置につけ!」



「ははーっ!」





「よーし、いっくぞー!」



「気をつけてねくーや。歩兵は弓兵に強く、弓兵は騎兵に強く、騎兵は歩兵に強いって三すくみがあるから、騎兵のくーやが城壁の弓兵に一斉射撃でも喰らったら、あっという間に潰走させられたりするからねー」



「そ、そうなんだ」



「まずは歩兵の雛乃お姉ちゃんと瀬芦里お姉ちゃんに城壁に登ってもらって、弓兵を一掃してもらうといいかなー」



「うむ、心得た」



「オッケー」



「その前に……うむ、よい雨が降っておる……ゆけい、まるよ!」



「ギュビィ!」















「うわああーっ!」



「うはぁ、雷が落ちた。や、やるな、クリーチャー」



「ギュフフフッ」



「敵は怯んでおるぞ! ゆけい、せろり!」



「了解! 梯子をかけて……それ! 突撃ーっ!」



「うわあああ」



「にゃ! 敵将発見!」












「むむっ、こうなっては仕方なし。お相手いたす!」













「にゃはははっ! それ、それーっ!」



「む、むむっ……うわああっ」



「捕まえたー!」



「む、無念……」



「よーし、次は門を突破するよー! 巴お姉ちゃん!」



「任せて! 突撃っ!」




ズガガガッ!



「門が打ち破られましたッ!」



「むむむっ、後方まで退けーいっ!」



「逃すかーっ!」



「いっくよ、空也!」



「囲んだぞ!」



「おっけー! せーの!」





「一斉攻撃っっ!」



「む、無念……」



「敵総大将、捕らえたりーっ!」







かくして……。





「やったね! 江州を陥落させたぞー」



「うむ、よくやったくうや。飴をやろう」



「ははーっ」



「休んでるヒマはないよー。ほら、さっそく取り返しに敵が出陣してきたよ」



「早っ!」



「なんの、返り討ちにしてくれるわ! くうや、我に続けーっ!」



「は、はいーっ!」










―――次回予告。



江州を陥落させ、その余勢を駆り、劉璋を攻め滅ぼして巴蜀を統一した柊軍は、中国全土を統一するべく内政に取り組み、雌伏の時を過ごす。


時は203年。


呂布と劉備を下して中原を制圧し、そして河北の雄、袁紹さえも官渡において撃破し、その版図を拡大した曹操。

彼が中国大陸の半分を手中に収めるのは時間の問題となっていた。

そんな折、曹操に滅ぼされた各勢力の武将達を麾下に加え、戦力を増大させた柊軍はついに……。


次回、姉しよ三国志第三話


『空也、飛翔す!』


乞うご期待っ!

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