第五話 大海原はオレのもの。
―――1570年 土崎港。
「どりゃーっ！ 槍突撃！」
「効かぬわ！」「ちぃっ、このおっさんつえー」「そおりゃ！ 突撃！」「うひー」
「なんの、我らは壁よ！ かなめ、うみ！ やってしまえ！」
「承知しました！ 組打ち鉄砲、撃てーっ！」
「おまけに釣瓶撃ち！ 撃て撃てーっ！」「むむっ、鉄砲はいかん！ 退けーっ！」「ふぅ、今日もまた生き延びた……」「謙信公が自ら出張って来ると、辛いのう」「お疲れさまっ」「ねぇ海お姉ちゃん。まだ秘策は完成しないの？」「うーん、そろそろの筈なんだけどねぇ」
「たっだいまー」
「……ただいま」
「ほえー。戻りましたー」「お帰りー」「ようやく終わりましたー」「ついに完成。乞うご期待」「で、秘密兵器ってなんなのさ、教えてよー」「それじゃ、お披露目といきますかー」
「ジャジャジャーン！」「え？ 何コレ、戦艦？」「ほう、これが九鬼水軍が村上水軍を破った鉄甲船で、あるか」「流石、雛乃お姉ちゃん、よく知ってるねー」「えっへん」「クキ……それ、どこのAV会社？」「そういや、あそこの社長、その末裔って言ってるらしいけど、ホントかな？」「でも、これ船じゃん、これでどうやってあの騎馬のおっちゃんをやっつけるの？」「むふー、我に秘策ありだよ。要芽お姉ちゃん！」「ええ、準備は着々と進んでいるわ」「よーし、そうと決まれば早速鉄甲船を増産するよー」「おおー、こんなに戦艦が……盛観だなぁ」「鉄砲の積み込みも終わったわよ。全領地からかき集めるのには骨が折れたわ」「さあ、出撃するよ！ 今回は水軍能力が高い人たちで部隊編成しないとね」「ふっふっふ、ついにワタシの出番ね」「クーくん、私もがんばるよ」
「俺の凄さを見せてやるぜ！」「やっぱ、沖縄組みは外せないな」「今日はカナちゃんがお留守番ね。お城の中でワタシ達の活躍ぶりを見てなさい、むっふっふ」「ムカッ」「いるかっ！ 私達も出陣するわよ！」「ほえ？ な、なんでですか！？」「アナタ、水軍能力高いでしょ」「そ、そりゃあ、元々Ａだし、今はステータスアップの家宝でＳになってますけど」「ならいいじゃない、足りない分は私と摩周君で補ってあげるわ」「でも、わたし戦うのはにがて……」「いいから黙ってついて来いッ！」「は、はいー」「よーし、出陣だ！」
「よーし！ ガンガン攻めろー」「ちぃっ、船戦では騎馬で戦えぬではないか！」「なるほどねー、海戦なら騎馬もただの弓兵になるんだねぇ」「しかもこっちは海戦最強の鉄甲船だもんね。初期装備の小早なんかメじゃないよ」「すげぇ……何万という軍勢がドンドン減っていく」「これで敵の戦力がかなり削れること請け合いだよ……今回、最強の鉄甲船を使ったけど、ワンランク下の安宅船でも結構強いから、急ぐならこれで代用も可だよ」「え、そうなの？ だったら、タダでさえのんびりなのに、わざわざ時間かけんでも……」「いやー、やっぱやるからには徹底的にやらないと(･ε･）」「そ、そういうもの？」「それ！ 鉄砲戦法、早撃ちっ！」「っと、それどころじゃなかった。よーし、団長！ 俺達も早撃ちで攻撃だ！」「誰が早漏かっ！」「……いや、一つも合ってないから」「さあ、畳み掛けるわよ！」
「酒田港、獲ったどー！」「やったね、これで上杉家の戦力はかなり減ったよ！」「よーし、こっから一気に攻めるぞー！」かくして柊軍は強敵、上杉軍の戦力を大幅に削る事に成功し、またその勢力を広げたのでありました。
ベベベン。（三味線の音）
―――次回予告。
強敵上杉家の戦力を削ぎ、東北地方を制圧した柊家。
もはや強敵上杉家の命運も、風前の灯火。
しかしここである事件を機に、今まで同盟を組んでいた武田家と袂を分かつ。
風林火山の旗を背に、武田の精強な騎馬軍団が柊家に襲い掛かる。
果たして柊家の運命やいかに！
次回、柊家の野望〜革新〜 第六話。
『動くこと雷霆の如し』
乞うご期待っ！
