柊家の野望〜革新〜
第二話 初陣。
―――1558年 小田原。
「ふぅ、ようやく二ヶ国、開拓終わったね」
「そうだねー。大分、兵士も増えたし、あとは内政技術を頑張って上げるだけだね」
「技術って、上げるの大変だね……」
「そーだねー。時間はたっぷりかかるし、お金も結構必要だし」
「ただいまー」
「あ、お帰りー」
「ふぅ、なんとか二期作まで開発できたわよ」
「これで水田で年二回の収穫ができるようになったね!」
「うん」
「ここでお姉ちゃんのワンポイントアドバイス! 初期に優先して上げる技術は、まず内政!」
「このゲーム、支出が年々無尽蔵に増えていくし、何度も出陣してると兵糧もあっという間になくなっちゃうから、それを増やす手段は早めに入手しといた方がいいね」
「あと、できれば学舎は一気に建てて、先にSの技術から開発していく方がいいと思うよ」
「で、Sレベルを開発したら下のランクの技術を開発するわけだけど、その間に不要になった学舎をツブして、次に開発する予定の学舎を建てておけば時間が無駄にならずにすむよー」
「あ、でも内政はSまで上げなくてもいいと思うよー。Aの品種改良まで開発したら、他の技術を上げた方が良さそう」
「へー」
「んじゃ、次はその品種改良の開発に入るわ……ほら! 行くわよ、ヤス!」
「は、はい」
「流石、姉貴……あのエラそうなおっさんをアゴで使ってる」
「でも、しばらくは、やる事が無くなっちゃったね」
「そうだね」
「そんな事はないぞ、くうや」
「あれ? 雛乃姉さん」
「岩付城の兵も合わせれば約4万の兵が居るではないか。そろそろ出陣しても良かろう? かなめ」
「はい姉さん。すでにこの小田原に兵士を集めておきました。いつでも出陣できます」
「うむ、流石、かなめだ。やる事が手早いの」
「恐れ入ります」
「そうだねー。今川・武田とは同盟を結んでて攻められる心配もないから、小田原は空にできるしね」
「よし! そうと決まれば出陣だ! くうやは我が部隊で励め!」
「は、はい」
「じゃあ、お姉ちゃんは軍師役としてついてくよー」
「では私も出陣しましょう。編成は……そうね、摩周君といるか! ついてらっしゃい」
「はい! どこまでもお供致します」
「ほへ? わ、私ですかぁ!?」
「アナタ以外の、どこのいるかを連れて行くと言うの?」
「で、でも私、あんまりお役に立てませんよ?」
「いいから、来い!」
「は、はいー」
「出陣するなら、私も連れてけー」
「あ、ワタシもー」
「わ、計略が心配な二人組みだ」
「大丈夫。私が軍師につくよ」
「そっか、計略適正Sのねーたんがついてれば大丈夫だね」
「今回は私、役に立てそう」
「じゃあ、出陣だー!」
「おおーっ」
「……で、どこに?」
「がくっ」
「……お前は」
「だ、だって、いきなり決まるんだもん」
「そうだねー。やっぱここはすぐ南の里見家を叩くのがいいんじゃないかなー」
「よし、じゃあ、そこにしよう! 出陣だ!」
「……良かった、今回はお留守番」
「あ、巴姉さん。丁度良かった。今から技術開発やるんだけど、一人足らないの。来てくれる?」
「え? 私、今から鉄砲を買いに行こうかと……」
「いいからっ」
「え? あ、う、うん」
(……付き合ってらんないわ、全く)
―――久留里城。
「そおれ進め! 進めーっ!」
「くぅっ! 城に寄せ付けるなっ!」
「にゃはは! 突撃ーっ! 騎馬隊の威力を見ろーっ!」
「なんの! 威圧の計略を受けてみよ!」
「ん? 今、なんか聞こえた?」
「ううん、全然」
「ぬぅ、効かぬか!?」
「そおれ、車懸りぃーっ!」
「ぬおおおっ」
「ついでに同士討ち、えいっ」
「ウボァー」
「よし、城門突破! 我に続けーっ!!」
「クウッ! 退けッ! 退けーッ!!」
「よし、久留里城、獲ったどーーー!」
「やったね、くーや!」
「まだ喜ぶのは早いぞ! 連中はそこの岡本港に逃げ込んだようだ。一気に殲滅してくれる! くうや、我に続けっ!」
「は、はいっ」
かくして安房上総を制圧し、柊家はその勢力を伸ばしたのであった。
―――次回予告。
技術開発も順調に進み、破竹の勢いで近隣の小国家を切り従えて勢力を伸ばす柊家。
もう一つの大勢力、武田家とは同盟を結んでおり、戦国最強の軍神と呼ばれる上杉家とは、今のところ国境を接しておらず、柊家の行く手を阻む者はなかった。
そんな中、空也はある人物と再会を果たす。
……その人物とは?
次回、柊家の野望〜革新〜 第三話。
『躍進』
乞うご期待っ!