姉さんとボク





「さてっと、じゃあボクは上がるよ。また後で姉さんの部屋に行く……」

「………………」

 背を向けたボクの右手首を、いきなり姉さんがガシッと掴んだ。

 今までとは違う、凄い力でボクの歩みは止められた。

「ど、どうしたの姉さん? ボクの手なんか握って?」

 動揺を押さえ込んで、ボクは振り返る。

「……うふふっ」

 姉さんは下を見つめたまま、ただ笑うだけだった。

 ……なんだか、ひどく不気味に感じられた。

「ね? 姉さん?」

「ふふふ……あはは……あっはっはっ!」

 そして姉さんは顔を上げると、いきなり大声で笑い出した。

「ね、姉さん? どうしたの?」

 ひょっとして……。

 ボクは姉さんを……。

 ……………………………………。

 ……………………………………。

 壊してしまったのだろうか。

「姉さん……大丈夫、ボクはずっと……」

「あははっ、この程度で私が満足するとでも思ったの?」

 しかし姉さんはそんなボクの心配をよそに、ニヤリと笑ってボクを引き寄せた。

「……え?」

 姉さんの胸の中に、ぽふっとボクの顔が埋もれた。

「でもなかなか愉しめたわ。純情な姉さんを演じるのも悪くはないわね……いつもより興奮しちゃった☆」

「ど、どう言う事?」

 ギュッっと抱きしめられたまま、ボクは姉さんを見上げる。

 何が何だか……全く予想だにしていなかった状況だ。

「最近の女子高生をナメちゃダメって事よ、くすっ」

「で、でも、姉さん初めてなんじゃ……」

「うっそ」

「……ええっ?」

「ほら、良く見なさいよ」

 と、姉さんはボクから離れて、ボクの下半身を指差した。

「……え?」

「どこにも血なんかついてないじゃない」

「あ!?」

 今気づいた。

 姉さんの言うとおり、すでに小さくなっているボクのペニスにはボクの精液と姉さんの愛液が付いているだけだった。

 あるべきはずの、姉さんの破瓜の血は、どこにもなかった。

「そ、そんな……」

 姉さんが明かした事実に、ボクはただ呆然とするしか無かった。

「せっかくのおねだりだったけど、持ってないものはあげられないの……ゴメンね」

 姉さんはそう言ってペロっと舌を出し、くすっと笑った。

「あ、あ、ああ……」

 愕然としたボクは、ガクリと膝をついてしまった。

「その代わり……私もキミの事、とっても気持ちよくしてあげるから許してね」

 姉さんは妖しくクスリと笑うと、ボクの股間に顔を近づけた。

「わっ、ね、姉さん何を!?」

「さあて、攻守交替といきますか……あらあら、すっかり萎んじゃって……はくっ」

 そして姉さんは、ボク自身を根元まで咥え込んだ。

「うぁ……ね、姉さん何を……?」

「んっ、んっ、んっ……」

 クチュ、チュパチュパと、とてもいやらしい水音が響き出す。

「う、ああ……ね、姉さんが、こ、こんな事、するなんて……」

 普段、大人しい姉さんがこんなに大胆な事をするなんて……。

 そう思っただけで、全身を巡る全ての血液が下半身に集まって来るような気がした。

 きっと頭がぼぅっとしてきたのは、そのせいで脳まで血液が回らなくなってしまったからなのだろう。

「んはぁ……すごい、もう大きくなった……我が弟ながら成長したわねぇ、昔はあんなにカワイイオチンチンだったのに」

 カチカチに硬直したボク自身を見て、姉さんが感心したように、ほぅっと息をもらした。

 でも途中で止められた為に、ボクの中で熱いものが行き場をなくして切ない気持ちが全身を駆け巡った。

「ね、姉さん……」

「なあに? そんな顔して……もっとして欲しいの?」

「……う、うん」

「じゃあ、『お姉ちゃん』って呼んでくれたらしてあげる」

「え?」

「昔は私の事、そう呼んでくれてたのに……いつからだっけね『姉さん』に変わったのは」

 いつの頃だったか……。

 僕自身にも記憶がない。

 でも理由は覚えている。

 姉さんに子供っぽいところを見せたくなかったんだ。

 ……弟以上の存在になる為に。

「お、お姉ちゃん……お願い……」

でも、それをお姉ちゃんが望まないと言うのなら、ボクは『お姉ちゃん』に戻ろう。

「ふふっ、カワイイ弟のお願いなら聞いてあげないとね、優しいお姉ちゃんとしては……んっ」

 再び、姉さんの咥内に包まれる。

柔らかいながらもちょっとザラッとした感触が、ボクの敏感なカリ首や鈴口をねっとりと刺激する。

「あ、ああ……ね、姉さん……」

 つい、声が漏れてしまう。

「…………んっ」

 その刹那、ボクの先端に硬く鋭利なものが突き刺さった。

 強烈な刺激に、ボクの腰がビクンと波を打った。

「……!? あああっ! は、歯立てちゃダメぇ!」

「んぷぅ……んもう、『お姉ちゃん』でしょ?」

 上目遣いで、非難されてしまった。

 もう何年も『姉さん』で通していたせいか、つい出てしまった。

「あ、う……お、お姉ちゃん、ゴメンなさい……」

「今度言ったら、噛み切っちゃうからね……くすっ」

 そう言って姉さんは、ゾクリとするほどの妖しい笑みを浮かべた。

 元来、黙っていれば冷たい雰囲気を醸し出す美人な姉さんだけに、その笑みはとても妖艶なものだった。

「ううっ……お姉ちゃんってば、なんだかイジワル、だよ……」

 完全に主導権を姉さんに握られてしまった。

 ボクの中で、さっきまでサドっぽいボクはもう霧散し、ただの、お姉ちゃんに嫌われるのが怖い弟のボクだけが残った。

「ふふっ、さっきのお返しよ……」

 お姉ちゃんにほっぺたを引っ張られた。

「全く、ショタ系の可愛い顔してるくせに、あんなにねちっこく犯されるなんて思ってもみなかったわ……」

「んんっ」

 お姉ちゃんからのキスを受ける。

 お姉ちゃんの舌がボクの唇を割って入り、ボクの咥内の全てを蹂躙する。

 頭の中がぼぅっとしてしまう、濃厚なディープキスだ。

「おかげでいつもより興奮しちゃったじゃないの」

 お姉ちゃんの唇が離れると、その間に銀色の糸が引かれ、そしてプツンと切れた。

「はぁ……男の子の胸って、スベスベしててとっても好き」

 お姉ちゃんはボクの胸板を撫で回したり頬擦りしながら、悦に入ったように溜め息をついた。

「それも、大好きなキミの胸だったら尚更だわ」

「あ、ううっ……」

 自分で触ってもなんてことないのに、こうやって誰かに触ってもらうと気持ちがいいのはなんでなんだろう……?

「ボクも、女の子の胸って、柔らかくて暖かくて好き」

 負けじとボクもお姉ちゃんの胸に手を伸ばし、優しく揉みしだいたり、その先端をコリコリしてみる。

「それも、大好きなお姉ちゃんの胸だったら、尚更だよ」

「あんっ……もう、この子ったら……ドコでこんな触り方覚えてきたのかしら」

 と、ちょっと頬を膨らませて上目遣いでボクを見た。

その子供っぽい仕草が、とても可愛く見えてボクの琴線に激しく触れた。

「他の女の子なんかで覚えなくても、一言言ってくれればお姉ちゃんが優しく手ほどきしてあげたのに……もう」

 ぎゅぅっと、乳首を強く摘まれる。

「ううっ、ごめんなさい」

「ふふっ、お姉ちゃんはキミの事が大好きなのよ? で、キミが私の事好きなのもとっくに知ってたよ」

「……え?」

「お姉ちゃんは知ってるんだから……たまにキミが私のブルマやパンツ盗んでそれでひとりえっちしてた事」

「!?」

 ギクリ!

 ……ば、バレてた!?

 ボクの背筋に冷たいものがつぅっと流れた。

 使った後は、ちゃんと洗って元に戻しておいたのに……。

「そして夜中に姉さん、姉さんって喘ぎながらしてたでしょ?」

「あ、ううっ……」

 そこまでバレているとは……。

「ホントにもう……お姉ちゃんの下着でハァハァするなんて、えっちな弟よね……恥ずかしい」

 ボクの乳首を弄りながら、またお姉ちゃんは可愛く頬を膨らませた。

「でもね……」

 お姉ちゃんの動きが、一瞬止まる。

「お姉ちゃんもキミが使った下着を穿いて、キミの名前を喘ぎながらひとりえっちしてたんだから、人の事言えないよね」

 お姉ちゃんは恥ずかしそうに俯いて、そう告白した。

「えっちなお姉ちゃんは……嫌い?」

 今度はボクの胸板で『の』の字を書きながらそう言って、お姉ちゃんは様子を伺うように上目遣いでボクの目を見た。

「そんなの……大好きに決まってるよ」

 たまらず、ボクはお姉ちゃんを抱きしめた。

 そしてそのまま押し倒そうとする。

「くすっ……だぁめ」

 でもお姉ちゃんはクルリと身体を逸らし、逆にボクが押し倒されてしまった。

 冷たい冬のタイル床がボクの背中に直に触れ、ぐんぐんとボクの体温奪っていく。

 けれどボクの身体は火のように中まで熱くなっていて、いくら奪われてもその火照りは消えることはなかった。

「今は私がキミを攻める番なの」

 そうお姉ちゃんは悪戯っぽく微笑んで、ボクの下半身に顔を埋めた。

「あ……」

「んっ、んちゅっ……」

そしてボクの硬い憤りを口に含む。

「あ、お、お姉ちゃんの口の中、とっても……いい」

「んっ、ちゅっ、くちゅっ……んっ……はぁ……」

 時には焦らすように弱く、時には身体の奥から快感を引き出そうとするくらいに強く、お姉ちゃんの舌がボクを責める。

 舌だけでなく唇で先端や竿の部分をを刺激されたり、袋の部分まで揉まれたりと否が応でも快感が高まってくる。

 冬の乾燥した空気のせいか、お姉ちゃんの唇は少し荒れていて、その感触が凄く気持ち良かった。

「あ、あ、あ……ま、また出ちゃうよ……」

 お姉ちゃんの愛撫によって、再び下半身に切ないものが込み上がってくるのを感じてきた。

「ぷはっ、まだダメよ……ちゃんと、私の膣内でね」

「う、うん」

 お姉ちゃんは口を離すとボクの下半身に跨り、ビンビンに怒張したボクのモノを上に向けた。

「今度は私がキミを犯してあげるんだから……」

お姉ちゃんは手でお姉ちゃんの入り口にボクを導くと、そのまま一気に腰を下ろした。

「んっ、あ、ふっ!」

「あ、う……熱い、熱いよお姉ちゃん!」

 お姉ちゃんの一番深い部分は入り口付近よりもザラザラしていて、そのザラザラ感がじっとしてても深い快感を与えてくれる。

「ふふっ、キミのってすごくいい……やっぱり、愛しい弟のが入ってるって思うだけでイっちゃいそうだわ」

「ぼ、ボクもお姉ちゃんと繋がってるって思うだけで……ううっ、もう出ちゃいそう」

「ダメよ、私よりも、んっ……早くイったりしたら、はんっ……もう勉強とか教えてあげないん……だからっ」

「う、うん、ボク、ボクっ、我慢するっ……あうっ」

「じゃあ、動く……からね……っ」

 お姉ちゃんの腰が上下に動くと、それに応じてお姉ちゃんの膣内もウネウネと蠢動し始めた。

「くぁ……す、凄いよお姉ちゃん。もうボク耐えられないかも……っ」

「ダメ……よっ、あんっ、くぁ……っ、まだ出しちゃ……ダメ、なんだか……らっ!」

 お姉ちゃんの奥のザラザラがボクの先端を、膣内全体が竿の部分を激しく刺激する。

 もうすでにボクの脳内は、お姉ちゃんに挿入した瞬間にイッてしまっていた。

 今は精神力だけで持ちこたえている状態だ。

「もうすぐ、もうすぐ、だから……っ!」

「や、やっぱり、もうダメだよう……っ」

 でもそれも、長くは持ちそうになかった。

「ああっ、一緒にっ! 一緒にっ!」

「うぁ……!」

「はんっ……もう……私……イクっ! イッちゃうようっ!!」

「うあぁぁぁっ!」

 お姉ちゃんの高い鳴き声を皮切りに、ボクの精神力の壁を快感の波が突き破った。

 ボクのペニスがドクッドクッと激しく波を打ち、お姉ちゃんへの熱い想いがお姉ちゃんの胎内に迸った。

「ああっ……またキミの熱いのが入ってくるようっ」

「う、あ、は、はぁ……」

 ボクが最後の一滴までお姉ちゃんの胎内に注ぎ込んだのと同時に、お姉ちゃんはボクの身体の上に倒れこんだ。

「はぁはぁ……良かった、よ」

 お姉ちゃんはボクを胸の中に優しく抱き込みながら、ニッコリ微笑んだ。

「う、うん」

 顔にお姉ちゃんの膨らみを感じながら、ボクは頷いた。

「うひゃぁ……ほら、繋がってるトコ、ドロドロになってる」

 お姉ちゃんはボクを抱えながら身体を起こし、まだある程度の硬さを保っているボク自身を飲み込んでいる結合部に目を遣った。

 そこは混ざり合って泡だっているお姉ちゃんとボクの体液に塗れ、とてもいやらしくテラテラと鈍く光を反射していた。

「んっ……」

 お姉ちゃんが身体を離すとボクのペニスが抜け、膣内に溜まっていた白濁した体液がゴポッと大量に溢れた。

「うわぁ……またいっぱい出したねぇ」

「だって、すごく、気持ちよかったから」

 お姉ちゃんはその溢れた体液を指で掬い、それをこれ見よがしに妖しく舐めとった。

「……………………………………」

 その瞬間、お姉ちゃんの綺麗な顔が歪んだ。

「ど、どうしたの?」

「……美味しくないよう」

 ボクは心の中で、ちょっとズッコケた。

「当たり前だよ、お姉ちゃん」

「キミのなら、きっと美味しいと思ったのに……しょんぼり」

 お姉ちゃんは本気でガックリと肩を落としてしょんぼりした。

「む、無茶言わないでよ……」

 でもホッとした。

 さっきまでのお姉ちゃんは、いつものお姉ちゃんに見えなかったから……。

 やっぱり、ちょっとどこか抜けてるお姉ちゃんの方がしっくりくる。

 ……………………………………。

 ……………………………………。

 ……まあ、さっきまでの妖しいお姉ちゃんも好きになっちゃったけど。

「あーあ、私、妊娠しちゃったかなぁ」

「そう、かな……?」

「そうかな? じゃないよう。あれだけハデに出しといて……」

 と、お姉ちゃんはジト目でボクを非難した。

 まあ自分でもあれだけやっといて、我ながらすっとぼけたこと言うなあと思った。

「でも、お姉ちゃんとボクの子供なら……ボク、欲しいな」

「……え?」

「本当、だよ?」

 ……………………………………。

 ……………………………………。

 ……もちろん今のボクに子供を養う事ができるはずもない。

 でもこれは偽らざる、ボクの本心だった。

「んもう……」

 あきれた風に、お姉ちゃんは溜め息をついた。

「まあ、今日は大丈夫な日だけど……」

「え? そうなの?」

「甘いっっ! それでもできちゃうことはあるんだからねっ!」

 ビシッと人差し指を立てられて、またジト目で睨まれてしまった……。

「ううっ、ごめんなさい……」

 でもすぐにお姉ちゃんの顔は綻んだ。

「くすっ、もしホントに妊娠しちゃったら……キミ、一生私のオモチャにしちゃうからね」

 そしてボクを優しく抱きしめてくれた。

「ううっ、オモチャなの?」

 お姉ちゃんの胸の中で、ボクは自分でも判るくらいの情けない声を出してしまった。

「そう、イジメたり可愛がったりして、一生遊んでやるんだから……覚悟しなさいよ」

「……うん」

 そしてボクたちは、もう一度深いキスを交わした。




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