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2005,07,26, Tuesday
Leviathan
嘆かわしい。実に嘆かわしい。先日近所の河では祭が催されており花火などが上がっていた。ものっそい人出のため付近の主要な道路は軒並み通行止めとなり歩行者天国と化していた。のだそうだ。
というのも私はその様を実際には見てはおらず人伝に聞いていただけなのだが、それを踏まえ私は祭りの最中も職場で仕事をしていたのだ。すこし前にも書いたがこのところスケジュールがタイトなのである。 その日は早々に切り上げてもよかったのだが、帰るために通らなければならない道は全て祭りの人出でふさがれている。帰ったところで祭のにぎわいや花火の音、光。そんなモノには関わりたくもなかったのでちょうどよいとも思っていた。 とはいうものの今の職場とて祭の現場からそう遠く離れているわけでもないので、シゴトに無理やり勤しむ私の耳にもやがて花火の音が届き始めた。おのれ忌々しい花火ちゃんめ。いろんな意味で邪魔ですよコノヤロウ。 なんだか遣りきれんなあといった気分で仕事を続けていると、そのうち花火とは似て非なる音が鳴り響きだした。カミナリである。聞けば台風が近づいているとか。 ほほう。なかなかよいタイミングではないか。風よ吹け!雨よ降れ!嵐よ来たれ!もうなんかリーマンやめてシャーマンになって雨乞いの踊りでも踊りだしたい気分であった。 だが私の黒い祈りは闇の空には届かず、天候も崩れることなく祭はフィナーレを迎えたようであった。私はその後も鬱々と仕事を続け、いい加減疲れてきたところで店じまいする事にした。 オフィスを出た私はアゼンとした。雨が降っていたのである。私の祈りが闇に届いた、って遅すぎるわ!なんだよ今頃。そもそも傘もってきてないし。私はコンビニでシブシブ傘を購入して帰途についた。 その時間さすがに人はまばらではあったが、それでも普段に比べるとやはり多い。しかもみんな、浴衣着て、手ぇつないで、りんごアメとか食って、実に楽しそうであるコンチクショウ。 嘆かわしい。実に嘆かわしい。あろう事かこの日一日私はみんながとても羨ましかったのだ。驚くべき心境の変化である。人の幸せをただ願いこそすれ羨むなどありえなかった私がジェラシーだなどと。 嫉妬に狂った姿ほど見苦しいものはない。ここまで読んで気を悪くされた向きも多かろうとは思う。だがしかしこれは私の中ではポジティヴな事件なのである。自らの幸せに思いをはせるなどこれまで到底考えられなかった事だ。 嘆かわしくもありながらある意味喜ばしい。来年の今頃は私も、などと前向きっぽい事を妄想しながら幸せな人々の間を通り過ぎていく。刹那、一陣の風が。ものっそい風だった。 さっきかったばっかりのコンビニ傘はスーパーサイヤ人の如く逆立ち、反して私はズブ濡れだ。私は泣きながら先を急いだ。いいや泣いてなんかいるもんか、これはそのアレだ雨なんだよ雨。嘆かわしい。実に嘆かわしい。 一つだけゆっとく。クリスマスまでに絶対カノジョつくってやる!うぅなんてベタな。 |
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