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いざ良い日記
前回の「更級日記」に続いて今回は「十六夜日記」なワケだが、これらは平安時代とか鎌倉時代辺りに書かれたもので後世の我々が日記文学と呼んでいるものである。

日記文学、大辞林によると「文学性の濃い日記」ってな定義がなされているのだが、
「朝起きて、メシ食ってまた寝た。」→「朝陽の眩い輝きに照らされて目覚めた私は、リビングから流れてくる素敵なな香りにつられて食卓へと向かう。そして食後の程よい充足感は再び私を夢の世界へと誘うのであった。」
という事ではないだろう。

日記文学の開祖、これは一般に紀貫之の「土佐日記」であるとされているようだが、当時の日記というのはどちらかというと議事録的なもので、主に「男性が」「業務記録を」「漢文で」書き記すというものだったのである。

「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり。」やってみようと思ったのでするナリ。なんともカワイイ書き出しである。しかし騙されてはいけない。きのピーは男だ。女のフリして書いたのだ。「女性が」「見聞き想った事を」「仮名で」書き記したのだ。だがこの点こそが画期的な事象であったのだ。

これ以降、数多の女性が同様の創作活動に勤しみ、そして後世の我々が「日記文学」なるカテゴライズを適用するまでになるワケだが、当事者たちはそんな高尚な濃ゆいブンガクセイなどというものを追及する気はサラサラなかったのではないかと思われる。

多少の人目に触れるであろう事は想定の範囲内ではあったろうが、千年の時を経てまで「コレが日記ブンガクですぞ」ってな扱いを受けるとは思いもしなかったであろう。

もし仮に、このサイトが千年後の人々に読まれるような事があったらなどと妄想してみると、こりゃもちっとマシな事でも書かにゃイカンかな、とか思ったりもするが、いざ良い日記を書こうなんて気負うと却ってロクな事にならぬであろう。よっしゃこれで「お題」クリア!って別に三題噺やってるワケじゃないんだが。

それは兎も角、ここは一つ先人たちに倣って気負う事なく、日々心に移り行く由無し事をソコハカとなく書きつくるナリ。たとえば「お月さんがまんまる。今夜は綺麗な満月だよん。」こんなのだって、未来人達が読んだらどうなるか判らないのだから。

「へえ、いつたい月が円いだなんて此奴は莫迦だねえ。」
「だつてホラ、月はあんなにデコボコとしてゐるぢやあないか。」
「然し、若しかしたら昔は円かつたのかも知れないだらう。」
「さうは云つても、一寸信じられないなあ。」

彼らは知らない。数千万年前、地球規模の核戦争により世界は滅んだ。一部の人間だけが月への脱出に成功し、月面に第二の故郷を築いていった。しかしある時、月の環境制御システムが暴走し大爆発を起こす。一部の人間だけは脱出に成功し、浄化された青き星へと帰ってきた。この時の事故で月の表面は原型をとどめぬ程に破壊されてしまっていたのだ。後年この記述は話題となり、やがて月面調査団が結成される。そして人類は、失われたルーツに出会う事になる。

いやはやオオゴトである。って何年先の心配をしてるんだか。千年どころか一年先ですら、このサイトなぞもう跡形もなくなってるかも知れないというのに。

ついさっきも書いてる途中で突然PCが落ちて全部消えちゃったし。


ところで「土佐日記」、今で言うネカマのブログみたいだと思ってたらホントにあった。
ここのリンクにもいろいろな歴史ブログがあって面白い。さすがにノストラダムスブログはリンクされてないが。
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