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2005,05,09, Monday
翼をください
もしもこの背中に、鳥のように白い翼があったならばどんなにか素晴らしい事だろう。我が身は地を離れ舞い上がる。そこにはきっと自由があるに違いない。
今日は友人宅にお邪魔していた。広々とした室内は実に気持ちのよいものだ。かつて暮らしていた我が家を思い出す。人とこうして落ち着いて話をするのも考えてみれば実に久しぶりの事のように思える。 その居心地のよさと人恋しさが相まって、思いのほか長居をしてしまった。しばらくぶりで人間に戻る事ができた、そんな想いがした。 がしかし、である。己のねぐらに戻ってきてみればそこは混沌の坩堝。ドアを開けるとスグの廊下兼玄関兼キッチン兼脱衣所は、これだけマルチタスクであるにも拘らず、未だ開封の時を待つ折りたたみベッドとスティールラックの2大ダンボール・ボックスのために残容量30パーセント以下になっている。 そしてその先に在る惨状たるや、描写不可能である。ビヨンド・ディスクリプションとはまさにこの事だ。もうゴミと家具の区別もつかぬくらい見事にシャッフルされている。ところどころに床板らしきものが覗えるが、飛び石の如く点在するそれはもはやフロアとは呼べない。ただ相変わらず、ゴミ箱だけは塵ひとつない美しさを保っている。 未開のジャングルに挑む探検隊の如く、ワシャワシャとモノを掻き分けて奥へ進む。これはもうちょっとしたアトラクションだ。もしここがデパートの屋上だったらチビっ子たちに大人気間違いナシである。一回200円だ。 もしもこの背中に、鳥のように白い翼があったならばどんなにか素晴らしい事だろう。我が身は地を離れ舞い上がる。いや、ほんの50センチばかしでいいから。そしたら行動の自由度が文字通り飛躍的にアップなのだが。 翼をください。いやマジで。 |
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