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2005,04,30, Saturday
五秒後の世界
村上龍著「五分後の世界」はいい。私の中ではキングオブ村上龍といっても過言ではない。続編(?)の「ヒュウガ・ウィルス」はどうしようもなくダメダメだが。作中では、太平洋戦争で降伏しなかった「if」の日本が描かれている。主人公が迷い込む前の「現実」の世界とは時間が5分ズレているパラレル・ワールドとして。
この日本が、日本人がカッチョいい。ガチガチの右寄りかというとそうではない。そしてラストの一文がまたソコハカとなくカッチョいい。「アルジャーノンに花束を」のラストに匹敵するナイス文だ。 なぜ今頃「5分後の世界」なのか。「半島を出よ」でなく。別にブックレビューをしようというのではない。己の近況からそのタイトルが想起されたというだけの事なのだ。というのも、このところどうも若干時間のズレた世界に囚われている感があるのだ。 外界に対し、何も感じる事が出来なくなった。心の底から笑う事もなくなった。飲み食いしても、味など感じない。だが感覚器の類はおそらく正常に機能しているのであろう、いつも数秒遅れて、まるで他人事のように情報が脳に伝達される。「今おもしろい事がありましたよ」「今おいしいものを食べましたよ」と。 リアクションはそれなりにとれていると思う。が、リアルではないのだ。やはり少しズレている。さしずめ「五秒後の世界」といったところだ。いつか元に戻るのだろうか、それともこのまま自らの時計の針を進める事になるのだろうか、それは判らない。それすらどうでもいい事のようにも思える。 にも拘らずこんな事を書いているのは、今朝「三十分後の世界」で目覚め、待ち合わせに大遅刻してしまった事を正当化しようとしているワケではない。否、断じて否である。許せ友よ。 目覚まし時計の針だけは、ちゃんと合わせておこう。 |
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