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2005,04,10, Sunday
音楽
「私、音楽が聞こえないんです。」三島由紀夫の「音楽」の冒頭である。三島といえば「仮面の告白」「金閣寺」辺りが代表作として挙げられるのだろうが、私の中では谷崎の「異端者の悲しみ」、実篤の「友情」と並んで日本３大ナイス文学に数えられる。アメリカの図書館で借りたらFBIに即チェックされそうなラインナップだ。
「音楽」の中で、精神科医である主人公のもとを訪れた女性が言う。「音楽が聞こえない」と。これは「性的な快楽を得る事ができない」という意味で用いられている。至福の精神状態を表すのに「音楽」とは何とも美しいレトリックだ。しかし音楽が聞きたいのであれば精神科ではなく愛生会病院に行く事をお奨めする。イヤでも音楽が聞こえてくる事だろう。それはさておき、私にも音楽が必要になってきた。至福の精神状態とまでは望まないが、街を歩いていると自然に耳に流れ込んでくるBGMの類は、私にとって大抵が地獄の雑音なのである。春だ桜だ愛だの何だのと、忌々しい事この上ない。こうしたものは私にとって音楽ではない。 ヘビメタさんな私が、至福の音楽に包まれるためにはメディアプレイヤーを携帯するしかない。破壊的なまでの創造力を持ったパワフルなサウンドが必要だ。今メインで使っているのはデジカメにMP3プレイヤーが内蔵された物なのだが、バッテリの保ちが悪いのと重さとが気になる。そして何よりこれは以前クリスマスにプレゼントされた物。もう使い続けるのがつらい。 そんなワケで、新しい携帯メディアプレイヤーの購入を検討する事にした。いろいろ調べてみたが、デザイン、スペック、コストの面で決勝進出を果たしたのはappleのipod shuffleとSONYのNW-E507であった。当初はSONYが優勢であったが、よく調べてみるとまだ発売されていない。それにFMチューナは要らない。AMならポイントアップなのだが。そう考えるとSONYは若干割高だ。shuffleについては、その名の通りシャッフル再生しか出来ないのかと思っていたがそんな事はなかった。当たり前っちゃ当たり前だが。公式サイトでは殊更にシャッフル再生をプッシュしていたのが面白い。さらにshuffleはデータストレージとしても利用可能だ。まあ実際には1GBなら1GBフルフルで音楽データを入れるとは思うが。ともかくこの時点でshuffle購入決定である。 休日だけあって店は混んでいた。さっさと用を済ませて退散だ。携帯プレイヤーコーナーがまた一段と混んでいた。NW-E507のモックが展示されており、人だかりが出来ている。私もちょっと見てみる事にする。現物は想像していたよりもサイズが大きかった、というかブ厚かった。shuffle優勢は覆らない。というかもう私は今欲しいのだスグ欲しいのだ。ここまで来て今更発売日など待てるか。人だかりを後にし、私はipodコーナーへ向かった。サンプルを手にとってみるが、shuffleはなかなかよさげである。シンプルだしコンパクトだ。しかも安い。若干不安のあった操作系も意外と申し分ない。さあ買って帰るかと決めた瞬間、値札の隣にあるプレートが目に入った。 「近日入荷予定」 売り切れていた。何おう。私はもう今欲しいのだスグ欲しいのだ。ここまで来て今更「近日」など待てるか。こうなったら他の店で買うしかない。商品が商品だけに、現金購入してもさほどポイントがつかないので、貯まっているポイントで買おうと思っていたのだがアテがはずれてしまった。結局、近くの店で1GBモデルを購入した。私が使用しているノートのUSBポートは旧式な上すべてふさがっているので、USB2.0のインタフェースカードも併せて購入。 以前から気になっていたジョン・サイクスのライヴ・アルバムも買った。さっそくshuffleに取り込む。その他所持しているヤカマシイ系を次々にインポート。案の定、あっという間に1GBはヘビメタで埋め尽くされた。データストレージどこ吹く風、である。以来、外出中の私は至福の音楽に満たされている。非常に良い買い物をした。 ただ、一つだけゆっとく。こうゆうときケータイはマナーモードにしておかないとちょっとアレな事になる。 |
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