…真面目にゲームについて考えるコーナーです。つまらないかはともかく、 長くて堅っ苦しいので、暇な人だけ読んでください(>_<)。
僕はしばらくロクにアニメを見ていない。何と言うか、肌に合わない。 なぜなら、僕が子供のころ僕が好きだったアニメは、めちゃくちゃ熱血していたからだ。 キメ台詞からして「俺は今、猛烈に熱血している!」だった(笑)。 それが、中学生のころくらいから「機動宇宙戦艦ナデシコ」などで、 それを茶化すような風潮が見られはじめ(ナデシコはまだ熱血を引きずっていたから、 けっこう好きだった)、僕はアニメから離れていった。 赤松健の「ラブひな」にしても、恵まれた周期に打ち出すから良作なのに、 何だかんだで景太郎が熱血しているから良作なのに… デキの悪いコピー作品が氾濫して、本当に冷めてしまった。
18禁アニメにしても、「Pia★キャロットへようこそ!2」や「luv wave」くらいの 作品までは、けっこうちゃんと作ってあったと思う。 「淫獣」シリーズみたいな名作もいくつか生まれていた。 ところが、どう考えてもコスト削減をしまくった、商業目的の作品が増えすぎて、 現在では完全に美少女ゲームの勝ち馬に乗っただけの作品ばかりだ。 確かに、商品を販売会社に買ってもらって、利益を得なければ製作会社はやっていけない。 でも、少し目先の利益ばかり追従しすぎではないだろうか? このままでは業界全体の信用が落ち、バタバタと共倒れしていくに違いない。
そこで、美少女ゲームなのである。
ここにはまだ、採算を度外視したような、やんちゃな作品が見られる (反面、これで9,240円はないだろ、という薄いゲームも目立つが)。 そのため、よく製作者の方が「2ヶ月会社に泊まってましたよ〜」なんて、 笑い話のように言っているが、これは笑い事ではない。 何人もの脱落者…会社だけでなく、人生から脱落してしまった人もいるに違いない。 ただ、そういう人たちに支えられて、僕たちはゲームを楽しむことができるのだ。 まだ夢を見続けることができるのだ。
さて、美少女ゲームは何を可能にしただろうか。 まず、寸止めをなくしたことが大きい。 漫画では18禁でなくてもけっこうフランクにおっぱいとか見せているし、 カラミがあっても18禁指定でないものも、少なくない。 しかし、ことアニメとゲームに関してはガチガチである。 風呂場のシーンでは赤松健の漫画のごとくロコツに隠されてたし。 特に、セガサターン初期のゲームに至っては、 「裸もないのに18禁(推奨)」が結構あって、当時中学生だった僕は 憤りを覚えて「断固セガサターンを買わない運動」なんて自主的にやってた(笑)。 しかも、セガは96、7年あたりにはX指定ゲームの開発を禁止(?)するというような、 暴挙にでるのである。 そんなお堅いゲーム業界において、寸止めをなくしたのは大きな功績である。 このあたりに、現在の美少女ゲーム一人勝ちの根があるのではないだろうか。
いわゆる、大人買いと同じ原理だ。 小さいころ寸止めにされ、押し殺されてていたリビドーを存分に発揮できるのだ。 楽しくないはずがない。
また、美少女ゲームは”サプリメント”だと、僕は思っている。 現代には極度に恋愛が下手な人たち、心のバランスを失ってしまった人たちが、 数多くいる。 そういう人たちが性的犯罪を起こすと、すぐにこういった文化が目の敵にされるが、 それは見当外れである。勘違いも甚だしい。
むしろ、そういった衝動を抑える、一種の”安定剤”が 美少女ゲームではないかと僕は考える。 あなたは、一般にヲタクと呼ばれる人たちを知っているだろうか? 彼らが、そういった犯罪の予備軍か? 僕にはそうは見えない。 雑誌やネットで、女性の声優さんやレイヤーさんのインタビューを見ることがあるが、 殆どのヲタクは礼儀もわきまえているし、紳士的な態度だという。 僕も2005年の夏、初めてイベントに参加してみたが、 確かに一部にイタイ人はいるものの、大方似たような印象を受けた。 これは、彼らが自分の中の「性的異常性」をゲームの中で発散しているから、 ではないだろうか?
だが、美少女ゲームはそうやって「抜く」ためだけにあるのか? 答えは、否である。これは断固否定させていただきたい。
なぜなら、今までやった中でベスト3を挙げろと言われたら、 「kissing!!」「Angel bullet」「つよきす」を僕は挙げる (レビューの評価とは多少食い違うが、ご了承を)。 これは、3つとも抜けなかったゲームである。 反対に、抜けたゲームはと言えば「魔法とHの関係」「人工少女2」「boin」 などである。確かに良いゲームである。 ただ、これらは一部の刺激は強いものの、心の奥までは入ってこない。 そして、話を戻してベスト3のゲームはどうか、と聞かれたら、 間違いなく「心の奥まで入ってきた」と僕は言うだろう。
その違いは何なのか。それが「熱血」であり、古きよき「ノリ」なのだ。 おそらく、これらのゲームは僕のような、 80年代〜90年代アニメにどっぷり浸かっていた人間を対象にしているはずだ。 因果律をも無視したバカっぷり、大事なシーンでの熱血っぷり、 突っ込む暇も与えないパワーで突っ走っているのがいい証拠だ。 音楽で言うと、サンボマスターみたいな感じ。 「こんなこと、物理的にあるわけない」とか「そんな熱血できない」とか、 「泣かそうとしているのが見え見え」とか、 そういうツッコミは全て無粋なのだ。 TVのドキュメンタリー番組を「やらせ」呼ばわりするのと、同じレベルである。 黙って騙されるのが、大人としての在り方だろう。 そして、お金を払って騙されてもいいだけの嘘が、美少女ゲームにはある。
このように、ただエロいだけが美少女ゲームではない。 色々な意味で心の隙間を埋めてくれる。 ただ、やっぱりこれはサプリメントに過ぎない。プレイ時間はほどほどに。