劇場版 鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座再来特集
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■感想
観客
前作の「無限列車編」に迫る大ヒットを飛ばした本作だが、正直なところ今一つ。
「スターウォーズ」で森の中を疾走するシーンを彷彿とさせるようなところもあり、アクションシーンは素晴らしかったし、猗窩座の過去もなかなか泣けるエピソードでよかったのだが、いかんせん観客のせいですべて台無しとなってしまった。
観客がポップコーンばかり食べていて、全く集中できなかったのだ。
アクション目当てと、話題に乗るために鑑賞している客しかいなかったように思う。直近で観た「国宝」と観客層が違ったのも影響したかもしれない。泣けるエピソードでごそごそと動き出す観客に集中力を削がれまくりだった。
人気作であるがゆえに、そういった観客と鉢合わせしないよう、敢えて公開から何ヵ月も待って足を運んだのだが、その甲斐はまるでなかった。これならテレビ放映を観ていた方が余程全集中できたかもしれない。
作品自体の評価よりも、映画館の環境に影響されて全く楽しめない作品になってしまったのが悔やまれる。
構成
どうにも釈然としないので、SNSにあふれている意見を読んでみた。どうやら構成に問題があるらしいのだ。
本作では胡蝶しのぶが童磨に負けてしまい食われてしまう。このエピソードだけでも充分に衝撃的で、映画1本でもいいくらいのインパクトがある。
にもかかわらず、我妻善逸との戦闘まで描き、最後に猗窩座戦まである。結果、焦点がぼやけてしまったのだ。
テレビ版の「柱稽古編」の最後で、胡蝶しのぶの最後を描いても良かったのかもしれない。そうすれば、本作の善逸戦は前哨戦という形になり、猗窩座戦が際立つ形になっていただろう。
これは原作つきの作品を映像化する際のジレンマかもしれない。映画にすると長すぎたり、短すぎたりする。必要以上に長く描くとテンポが悪くなるし、短いと感動的でも衝撃的でもなくなってしまう。
尺調整
それから本作はフジテレビが一切関わっていないが、テレビ放送することを見越して、尺調整をおこなっているように思えて仕方なかった。
いかにも「ここでCMが入る」といわんばかりの話の流れなのだ。しかしこれはスタッフがテレビ版の方を長く製作しているので、わからないでもない。
風化
そんな本作だったが、前作の無限列車編から5年。流石に時間による風化が出始めている。
原作はすでに終了していて、新しい驚きもないため、極力事前情報を入れないように鑑賞したにもかかわらず、今一つ楽しめなかった。
以前なら鬼の過去に同情して感動もできたのだが、富裕層と貧困層の分断が色濃くなったり、権力者が交替したりと、世相が変わっているせいではないかと勝手に思ったりしている。