八犬伝特集


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■映画「里見八犬伝」について

ここでは、映画「里見八犬伝」について書いていこうと思います。

私が八犬伝にハマるきっかけともなった映画「里見八犬伝」

本作は1983年公開ですが、公開前には「角川映画超大作」と銘打って、TVCMが大量に流され、前売り券が飛ぶように売れたと言います。
そのときの感想を書いていこうとおもいます。

といっても数十年以上も前の作品なので、細かい所まで覚えていません。

覚えているのは、角川超大作。というわりに、B級作品になり下がってしまった。ということ。
というのも、最終決戦で主人公の静姫が大蛇にさらわれるシーンがあるのですが、それがお粗末なのです。

歌舞伎でも、もっとマシな芝居をするのではないかと思えるぐらいのダメダメっぷり。静姫が自ら大蛇を身体にまきつけているようにしか観えないのです。

その後ワイヤーアクションで、大蛇につかまれた静姫が飛んでいきますが、ワイヤーアクションが市民権を得るのは、4年後の1987年「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」まで待たなくてはなりません。

早すぎたのです。

そして、いかにもセットとわかる洞窟で行われる最終決戦は、観ていてつらいものがあります。また「ガンダム」人気が最高潮のころで、勧善懲悪は過去のものとなりかけていました。

遅すぎたのです。

そういった時流に抗うべく、「時代劇にロック」というキャッチコピーで英語の曲を主題歌に抜擢。
本来、年寄りばかりが観るとされる時代劇に、若者人気を取り込もうと製作者側も必死です。
当時は、英語の曲を主題歌にするのも珍しく、新鮮だったのですが早すぎたのでしょう。

エンタメが大ヒットするには、大衆の需要とマッチしなくてはなりません。
それが実は一番難しいのですが。

前売り券が飛ぶように売れたのは、ウィキペディアによれば、前売り券を大企業に大量配布した。
という経緯があります。
前売り券は、映画館で映画を鑑賞して、はじめて映画館の収益になりますが、前売り券をもったままでは映画館には一銭も入ってきません。
それゆえ、映画館側からは、猛反発をくらい、角川映画は悪徳商法扱いされてしまいます。

それでもそれなりに人気が出たのは、キャストの顔ぶれとTVの力あってこそです。
主演の薬師丸ひろ子は、人気女優の名を欲しいままにし、映画でしか観ることの叶わぬ、貴重な「映画女優」でした。
真田広之も同様に、TVドラマに出演することの少ない「映画男優」でした。

そして本作はTVドラマではありませんでしたが、TVCMが嫌というほど流れていました。
TVの力は無視できません。
「南極物語」の大ヒットはTVCMのおかげです。
「踊る大捜査線」や「鬼滅の刃」はTV作品の映画化ですから、言うに及ばす、宮崎駿作品も日本テレビの度重なるTV放送の賜物です。

しかし、かくいう私は、本作以降、予告編やTVCMだけで映画館に足を運ぶのを辞めるようになります。

本作を鑑賞する前に原作を読んでいたのが失敗だったのかもしれません。
勝手に期待して、その期待にこたえきれなかったのです。

角川映画のキャッチコピーに「読んでから観るか、観てから読むか」というものがありましたが、本作から、「観てから読む」派になっていきます。小説や漫画で思い描いたこちらの勝手な想像を、正確に映像化できる映像作家など一人もいないのですから。

それでも原作を先に読んでも面白いと感じたのは「Wの悲劇」。原作と全く違います。ジャンルすら違います。それゆえ楽しめました。

主演の薬師丸ひろ子は本作の撮影中、体調不良で入院しています。それほどハードな撮影だったわけで、本作の駄作感は全てチープな特撮のためです。


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