君の名は。特集
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■SFとして
男女が入れ替わる話をSFとするか、ファンタジーとするか難しい。
とりあえずSFとして捉え作品を観てみよう。
男女が入れ替わる話といえば、やはり大林監督の「転校生」が有名だ。
尾道を舞台に、男女の体が入れ替わってしまった中学生が折りなす喜悲劇だ。
私はこの作品がいまだに大好きだが、やはり昨今のテンポから考えると眠くなってしまうほどテンポは遅い。
それでも、男子の胸がふくらんだり、女子の股間が大きくなったりするのではなく、心と体がそっくり入れ替わる所がこの作品の醍醐味だ。
ハリウッド映画なら、CGや特殊メイクを駆使して、胸や股間を立体化してしまうところだが、演者にそれを表現させるところが素晴しい。
しかも、前半喜劇で描き、後半悲劇になっていく、「最初笑わせて、後半泣かせる展開」という定番がまたたまらない。
これは、寅さんシリーズと同じだ。
この「転校生」は人気作となり、後に人物が入れ替わる作品という一ジャンルを形成している。
本作も同じような定番展開になるかと思っていたが、「転校生」と違い男女が同じ場所にいない。
しかも物語が進むにつれて、時間軸まで違っていることが判明する。
彗星落下という事件も織り交ぜながら、時間軸を越えるために御神酒を飲んで時間を越えていく。
流石に御神酒を飲んで時間を越えるのをSFとするのは無理があるので、やはりファンタジーとするべきだろう。
その後、瀧と三葉の活躍で三葉は難を逃れ、再会する。
タイムパラドックスが発生しそうなのだが、入れ替わりが夢の中なので、反論しようもない。
SFとして観るよりファンタジーとしてみたほうが理屈抜きで楽しめるというものだ。