宮崎駿監督作品特集


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■アニメ界の頂点へ

引き続き、宮崎作品が公開された頃のアニメ事情をわかる範囲で書いていこうと思います。

魔女宅(1989年)の頃

この頃のアニメ界は量産されたロボットアニメに翳り(かげり)が見え始めます。
かわりにOVAと呼ばれるビデオを媒体とする作品群が台頭してきました。
作画の優れたアニメーターはOVAで活躍し、TVアニメには関与しなくなってゆきます。

すでに、子供のものではなくなってきているアニメで、作画の質の低下は致命的です。
TVアニメは1年と持たずに終了するものが増え、ゴールデンタイムと呼ばれる夜7時から8時台のアニメ番組が姿を消してゆくのでした。
OVAから人気が出た「機動警察パトレイバー」が公開されたのもこの年です。

「ルパン」以外ずっとオリジナルで勝負してきた宮崎監督。
ついに原作のある作品をアニメ化します。
売れない漫画家が少女漫画を書いていたようなものかもしれません。
新たな活躍の場を求めての挑戦だったのかもしれません。
ともかく、今度は子供ではなく女の子をターゲットにした作品でした。

紅の豚、ON YOUR MARK(1995年)の頃

この頃アニメは、TVで放送されなくなります。
放送されていても一部の地域に限られたりして、誰もが知っているアニメ作品は限られたものだけになります。

原点回帰で、オリジナル作品で勝負します。
しかし、これまでと違い大人向けのエンターテイメント作品に特化しました。
説教臭いメッセージをなくし、ただの飛行艇乗りの話にしたのが「紅の豚」です。
「ON YOUR MARK」はCHAGE&ASKAのPVなので詳しくはここでは触れません。

そんな中、「ルパン」のTV版を放送していた縁でしょう、
日本テレビが何度となく宮崎作品をTVで放送するようになります。

世間では「地球に優しく」なんて言葉がささやかれ始める何年も前に「ナウシカ」でエコロジーを訴え、「トトロ」「魔女宅」で癒し系のアニメ監督とばかり思っていたにも関わらず、実は大人も鑑賞に耐えうる作品を作っていたのでした。
しかも作画の質が低下したTVアニメの視聴者に「ラピュタ」での蒸気機関車の追走劇がすごい迫力で迫ってくるのです。

それまで苦渋を飲まされていたロボットアニメもTVからほとんど姿を消し、強敵はいません。
やっと離陸にふさわしい風が吹き始めたのでした。

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