realize
36th realize
彼”夏彦”の言葉は限りなく優しくありながら、有無を言わさない強さを持つ。
おそらくは彼自身の信念の強さの表れなのだろうと想像がつく。
普通の会話、のなかに、見られる彼の言葉。
フェイクだってかけているはず、そんなことはわかっていた。
それでも、その言葉に真実はある・・・・・
私は教えられた、どんな場所でも、どんなときでもきちんと見れば真実が見える。

今までどれだけの世界を歩いてきたのか・・?
自分自身に誇れるなにかがある、と推測できる。

私はその強さに惹かれたのだろう。私自身が持たない、強さに。
確固たる自信、心、築き上げてきた時間。自分というものを知っている強さだ。

その中の彼の空虚な部分をふとしたときに感じたことがあった。
もしかしたら、私の空虚な部分だったのかも知れないけれど。
合わせ鏡のように、見つめた、彼”夏彦”がそれを許容してくれていたから。
「言葉」に出来ない、想いが、私の中にある。
きっと彼は気付いている、気付いて見ないふりをしてくれている。
私がそれを見て欲しいと望まないから。

彼との出会い、その中で、私は知ってしまった・・・・。本当に私が欲しかった、なにか。
それを、知らないまま、いられたら、それはそれで幸せだった。
知ってしまったならもう戻れない。

パートナーを受け入れられなくなった理由。
彼の気持ちがないセックスももちろんそうなのだろう、彼の裏切りをどこと無くも感じていたのもきっとそう、だがしかし・・・・

言えなかった、自分の感情。
どうにも認めなくては、いけないけれども、認めることが怖くて。
逢った事も触れたことも、これから先どうなるかもわからない彼のことを。
「私を認めてくれた人」
それだけだと、ちゃんと理解しているはずなのに。

彼に惹かれた。その事実。
消し去りようもない現実。
罪悪感の中、苦しんで、悩んで、どうにもなくなっていた私に手を差し伸べてくれたのは彼だけじゃなかった。

私は、きっと、何も見えてはいなかった。私は1人じゃない、迷っても苦しんでも、悩んでも、泣いたっていい。
ただ、泣かせてくれる、受け止めてくれる人たちがいる。
いい子じゃなくても、私が私でいる限り、拒絶なんか誰もしない。
迷惑でもない、周りに助けられている、こんなにもやさしい何かを受け取っている。
私は・・・・とても幸せなんだ・・・心が温かくなっていく。守られている。
気付かせたのは時間、出来事、偶然、運命・・・私の視線が外へ向いた、囚われなくなったから。
必死で防御なんかしなくても、みんなわかってくれていた。

なぜ、私はここまでパートナーに執着したか。
私がパートナーを欲したから。認めて欲しい、愛して欲しい、と。
その危ういバランスを彼は利用した・・・・・。
使い勝手のいい道具だと・・・・それだけでしかないことを、思い知らされた。

彼は私の言葉を聴く耳を持っていない、私を認めようとしない、私の周りも見ようとしない。
彼にとって都合の悪いことなど何一つ、心に残らない・・・・
利用できないものなど、彼にとっては何の価値も無いものだと、知った・・・・・。
彼の常識、は自分以外はすべて利用するもの。それは彼が自分自身に後ろめたいことが多すぎるから。
隠すべきもの、見せたくないもの、自信のなさ、その裏返し。
自分に自信が無いから表面を飾り、もともとを守ろうとする、それ以外を排除する。
私への感情は使えるからそばにおいて、自分の思うとおりに動かしていただけ。

形にならないなにかを積み重ねて、時間を作り上げて、関係を深めていくものなのに。

もう・・・私が彼を必要としない。

どれほどの感情で彼を見つめてきて、どれほど苦しんで彼を切ろうとしていても。
すべて自分のため、誰かのため、何かの為にじゃない。
そう、私自身がこれ以上をよしとしない。
今の苦しさ、思考、時間。
そのすべてが自分を育てる糧となる。
もっと素直に、自分の心の声に耳を傾けて。欲しいものは欲しいと叫んでかまわない。
でも、中途半端にけりをつけないで、進むことはできない。
私はただ、パートナーとの今をみつめて、いる。
これからどうするのか?これからどうなるのか?

私の答えは見つかった、あとは彼の答えを見つめるだけ。
どんな答えが出てもきっと前へ向けて二人別の道を歩き出せると信じている。

そして、思い出す。耳に響く彼”夏彦”が私を呼ぶ声。
私を私と認め、私を私とわかって、私を欲してくれるコトバ。
名前を呼ぶ、その中に潜む、なんらかの想い。
そんなわずかでよかったほど、私は飢えていた。
想い、想われる、それがどんな形であれ、私を人間として、一人格として見てもらえることに。
私の身体が心とシンクロして、快楽を示し、彼に届けている。

きっと、彼と出会ったことは私にとってとても必要だったこと。

心を通わす方法は何でもある。それを教えてくれたから。

幾度となく、言葉を交わし、心を、きちんと自分の言葉で伝える。
相手の望むものはなんなのかを、考え、回線に乗せる。

間違っていることは間違っていると、正しいことは素直に受け入れる。

本当に単純な真理なのだ。

それを、認めることは、とても難しく、険しい道だろう。

パートナーには、言葉で心を伝えていたが、伝わってはいなかった。
それでも、それでも私は言葉を探して、彼に私の気持ちを訴えてきた。
彼には届くことはなかったけれども。
・・・違和感を感じていたのかもしれない・・・それでも私は望まれたかったのだ、それほどまでに。

その違和感が決定的になったのが彼”夏彦”との出会いだったのだろう・・・・。
私は言葉が「想い」としてかみ合う感覚を得た。
気持ちのかみ合う感覚、それがたとえ、快楽を生み出すことに互いが精一杯だったとしてもそれでも。
その中の真実、は必ずある。
でなければ、反応なんてしないから。

彼に見せられた、自分は、確かに、本当の自分。
わがままでありながら、本当の自分を見せることを極力嫌う、私自身。
いい子でいなくてはならないと思っている自分。
彼”夏彦”はそんな私を認めながらも、壊してくれた。

その中で見つけた本当の私。
愛されたいと願い、自分自身を大事にしていなかった自分。人に求めすぎていた自分。
もう、今私はそんな自分を認めている。
そして私自身が私を愛しはじめている・・・。

どんなに苦しんでもかまわない。
私が自分自身でいるために必要なのだから。

私は見据えた未来はきっと、新しい何かがあると知っている・・・・・。
すべては自分の心の中にある。

1人で生きていくことを選んで、一人でいられることを知って。
孤独を自分自身で理解して初めて、人を好きになることが出来るのだ。

自分自身を大事にして、そこからが私のスタートライン。
ようやく立ったのだ、今。

ーいとしい・・・・人にー
その腕を。
その唇を。
その温かいぬくもりを。
私の肌に触れて欲しいなどという心からの願い。
叶うことの薄い、願いだとわかっていても。
夢物語と言わないで。

でも、大丈夫。
私は1人で生きていく力があることを思い出したから。
そうやって、今まできたのだから。

やり直しなんていつだって出来る。
たとえ明日、この命がついえたとしても、その寸前でも。

なぜなら・・・・・

私には彼に心を抱かれた記憶、甘く響く私を求めた声、それがrealizeとして残るのだから・・・・・・・。
epilogueへ

PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル