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目の前の扉の鍵。
それを手の中に握り締めて。
差し込んで。
まわすことが出来ない。
最後の一つの勇気が出ない。
かしゃんと音を立てられない。
その向こうにはきっと彼が待っているのに。
両手を広げて、
私を待っている。
ただ、抱きしめたい。
そう思うことに罪があるならば。
もうそれだってかまわない。
その罪ごと、私は堕ちてしまおう。
全てを無に返して。
幸せに。
幸せにと望んだことは間違っていない。
壊れてしまった・・・・
全て壊れてしまったから。
何もかもを失った−
そこからまた始めればいい、ただ、それだけ。
・・・・・・愛おしい人。
逢わないで終わらせた、愛おしい人。
切り捨てられたのは自分であることを存分に理解していた。
それでも。
ーあれからどれだけの時間が過ぎたのだろうか?
時折夢を見て目覚めるときがある。
もう、連絡を取ることもないのに。
思い出になると思っている人のことを。
−realize 2-
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