夏の名残
俊は空いた片手で車の窓を閉めると、CDのスイッチを押した。
低く流れるジャズが車内に流れ始めるが、その音は蘭世の耳には到底届くはずも無かった。
ようやく唇が開放されると、俊の指は蘭世の快楽のボタンを一つ一つさぐり、そのたびに可憐な唇は細く甘い声をあげるためにまた使われていく。
蘭世のきているカントリー風のおとなしめのワンピースの前ボタンは巧みに俊によってはずされ、長いすそが割られ手のひら全体ですりあげられる。
「・・・だ・・・めぇ・・・あ・・・な・・た・・・」
「・・・・・」
俊は無言で指をブラジャーの隙間からいれ、さくらんぼのような先をつまむ。
「・・・ん・・っ・・・ぁ・・・・あ・・・」
「・・こんなに・・なってんのにか・・・・・?・・」
「・・ああ・・・だめ・・・ね・・ぇ・・・・」
俊の指と布に擦られ、蘭世のそこは固く服の上からでもわかるほどになっている。
「・・・ん・・あ・・・・だ・・・って・・・・まだ・・・太陽が・・・」
「みせてやれば・・いんだよ。」
そういうと俊の指は蘭世の敏感な中心部を布越しに捕らえる。
「・・は・・ぁ・・・・ん・・・・」
隠そうと、押さえようとしても俊に躾られた体は言うことを聞かない。
車内はクーラーが嫌と言うほど効いていても蘭世の体の熱は上がる一方である。
じわりと体全体が汗ばんでくる。
乱された服の隙間から見え隠れする蘭世の体、そして不自由な中でのこの状態はいやがおうにも俊の男を刺激してやまない。蘭世が弱々しく抵抗すればするほど俊の愛撫を激しさを増していく。
ふりそそぐような口付けを浴びせながら、俊の手は蘭世の体をまさぐる。時に強くときに弱く。そうして蘭世を快感の中へ落とし込む、自分ごと。
「・・・や・・・はぁ・・・ん・・・ん・・・・ぁ・・」
蘭世の体は俊にふれられるだけで、芯から火が吹き出るような快楽をおぼえる。
それは俊によって覚えさせられた、そして俊にだけ見せる媚態。
俊の指は相変わらず、蘭世の体を味わうが、決定的な部分にはいつまでも布越しにいたぶりつづける。
「・・・・いつもと・・・違うだろ・・・・・・ん・・・・・?・・」
「・・ふ・・・ん・・・・・ん・・はぁ・・あ・・・・」
あごを持ちあげると目線を自分に向かせ、視線を合わせたまま深く口付ける。
そうして唇をはずし、舌先で蘭世のまぶたに触れる。
「・・・あ・・・・はぁ・・ん・・・」
・・・・へぇ・・・・こんなとこも・・・感じんのか・・・・
俊は面白そうに、その行為を繰り返す。
「や・・・はぁ・・・あん・・・やぁ・・・・だめぇ・・・・・」
蘭世は抗うが、俊はお構いなしだ。
「気持ち・・いんだろ・・・・ほら・・・・ここ・・・・すげぇぜ・・」
蘭世の下着はその意味をなさないほど濡れていた。
「ち・・・がう・・・・そん・・・な・・・こと・・・」
「あるだろ?」
俊はようやく蘭世の下着をおろし、足から抜いた。
「・・・?・・・」
急に俊の動きが止まった。
「さて・・行こうか・・・先は長い」
俊は蘭世に服を整えさせた。蘭世はもじもじしながら俊を見た。
「なんだ?」
「・・・返して・・・」
「何を?」
「・・・その・・・・」
「そのままにしてろよ、どうせ誰もみねぇんだから」
・・・みせるわきゃねぇだろ・・・・
「だって・・・・・」
俊はそれ以上取り合わず、車を発信させた。
車はエンジン音を響かせながら、快適に進む。
その中で蘭世一人がどことなくぎこちない。
俊はまぶしさを避けるためにかけたサングラスの下で、そんな蘭世の様子を伺っていた。
・・・どうしよう・・どうしよう・・・・
ここは車の中、横にいるのは俊だけ・・・だけど・・・・・
「お茶、持ってきてるか?」
「・・う・・・う・・ん!!麦茶?ウーロン茶?」
「どっちでもいい」
後ろのクーラーボックスから缶を取り出そうと体を後ろにひねる。
蘭世の背中越しに下着を取られたヒップラインがわかる。
・・・・まぁ・・・これからか・・・・
そんな不埒な考えを俊が持っているとは露とも思わない蘭世はプルタブを上げ飲みやすくしたドリンクを俊に差し出した。
「はい」
「サンキュ」
まっすぐ前を向きながら、受け取った。

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