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そのとき、いきなりバスルームの電気が消された。
「なに?停電?」
窓を細く開けて外をみる。が他の家はちゃんと電気がついている。
「うちだけ・・・じゃ、ブレーカーかな・・・?・・」
蘭世はおそるおそるあたりを探りながら洗面所へ出るドアを探す。その手を何か温かいものが覆った。
「きゃっ・・・」
思わず手を引っ込めようとしてもその温かい何かが捕まえて離さない。
「・・・なに・・・誰・・?・・いや・・・」
蘭世の声が上ずって、おびえが混じる。強引なそれが蘭世を引き寄せる。
暗がりに眼が慣れてきた蘭世はそれが俊であることを悟った。
「・・・・・なんで・・・?・・」
「・・・・・・・・」
答えは返らない。代わりに蘭世の胸の頂点を唇で覆われる。
「・・や・・・・」
含まれたそれを俊は舌先で捏ねるように舐めまわす。俊の口の中で輪郭を露にする。
「・・ああ・・やめ・・・こん・・・・なぁ・・・・」
言葉もなく、蘭世の身体に与えられる愛撫。
丹念な、その行為は覚えこまされた快楽へと引きずり込む。
「・・い・・やぁ・・・・あ・・・ああ・・・」
且つ、蘭世は一糸まとわぬ姿だ。俊にとってはこれほど好都合なことはない。
「・・あ・・はぁ・・・あ・・・・ん・・」
片側の乳房をやさしく揉み上げながら、舌先を蠢かす。
「・・ああん・・・・・だ・・めぇ・・・・・」
拒絶の甘い言葉が蘭世の唇から上がる。
その言葉で俊はとたんに、身体から離れる。そして、明かりをつけた。
「いやっ!!」
蘭世が両手で裸体を抱きしめ、真っ赤な顔をしながら俊を見る。
その視線を真正面から受け止め、俊は涼しげな顔をすると、バスタオルを片手に取り蘭世の方へ寄っていく。
「な・・なに・・・・?・・」
及び腰になる蘭世を簡単に捕まえると、バスタオルで蘭世をラッピングし抱きかかえた。
「きゃっ・・・やぁ・・・」
そうしてずんずんとリビングへと連れて行くとソファにとすんと落とす。
蘭世は戸惑いながら目の前に立つ俊を見上げてみる。影になって表情が見えない。
「ねぇ・・・・ど・・どうしたの?」
不安げな声で訴える。
「・・・・・・・」
俊は黙ったまま、一瞬の隙をついて蘭世をラッピングしたバスタオルをほどく。明るいライトのもとで素肌が晒される。
「やだ!返して。」
「ほぉ〜、お前は昼間何見てたんだ?ん?」
上から声が飛んでくる。
「それは・・・・その・・・・」
「お前は存分に『見た』んだろう。じゃ、俺にも『見せて』くれるよな?」
「あ・・う・・・・・・」
「それなら、許してやるよ。」
ああ、あくまでも高飛車な俊のせりふ、そういったからには何が何でも意志を通すのが俊である。
蘭世は口をパクパクさせながら俊を見るしかなかった。
「だって・・・・」
「じゃ、ゆっくりと『見せて』もらおうかな・・・・」
そういうと俊は蘭世の身体をソファに押し付け、片足を持ちあげる。
「いや・・・・・」
両手で顔を覆い、ソファに置いてあるクッションに顔を押し付ける。俊はその反応にも態度をかえることなく視線で蘭世を攻める。
射るようなそれが蘭世の身体をくまなく探る。
「・・や・・・あ・・・・・・・」
煌々と照らす、灯りの下。リビングの真中で。俊に視線だけで抱かれていた。
俊は指一本動かしていない、ただ、肩と足を押さえるだけそれだけなのに蘭世は全身に愛撫を受けているような錯覚に襲われる。
「・・・いやぁ・・・あ・・・ああん・・・・・」
自分自身、中心部が潤ってくるのが分かる。その蜜はつうっと滴り落ち、肌を伝って流れていく。
その、いやらしいまでのあさましさ。
ただ俊は見ているだけなのに。 |