秋の夜長
秋の夕日はつるべ落し、というようにあっという間に日が暮れる今日この頃。
仕事を終え、家路に着くころにはすでに外は薄暗くなっている毎日である。
「さ・・てと・・・・」
俊は誰に言うとも無くつぶやくと帰り支度を始める。

・・・・どう、切り出そうか・・・・
かばんの奥底にしまってあるそれを試すチャンスも無いまま、なんとは無く家には置いておくわけにもいかずもって歩いている。
・・・間違いなく拒むよなぁ・・・あいつ・・・
週末の今日、外に夕焼けが残るころに自宅に帰りつけた。
「・・ただ・・いま・・・?・・」
いつもなら明るく照明がついているはずの玄関も台所も真っ暗である。
・・・おかしいな?・・・
俊は足音を忍ばせながら家の中を進んでいく。そおっと寝室のドアを開けるとベッドにすやすやと眠る蘭世の姿があった。
・・・ったく・・・脅かしやがって・・・
声をかけ起こそうと思った俊の脳裏にある考えが浮かんだ。
物音を立てないように俊はかばんからそれを取り出し、かけ布団をゆっくりめくる。
・・・頼むから眼を覚まさないでくれよ・・・・
俊は蘭世の髪をなでながら逆の手で何かをしていた。

蘭世がふと眼を覚ましたのはそれからわずかあとのことだった。
「・・ん・・・まぶし・・・・」
ベッドサイドのランプだけがつけられ、その明かりの中に俊の顔が見えた。
「・・・!!えっ?・・・と・・あ・・・あの・・・」
「おはよう・・ずいぶんゆっくりだな・・・・」
「・・・帰ってきてたのね!!ごめんなさい・・・起こしてくれても良かったのよ?・・」
「起こしやしねぇよ、それに・・・」
「それに?」
「なんでもねぇよ」
俊はそういうと椅子に腰掛けたまま、蘭世にいった。
「まぁ、すまねぇって言うんなら今日はそのまま寝るまでいろよ。」
「なに?」
蘭世は立ち上がろうとして下半身に違和感をおぼえた。俊はそんな蘭世を見ながら手の中に隠し持っていたスイッチを入れた。
「・・やぁ!!!」
蘭世は思わず座り込んだ。俊は満足そうに微笑んだ。
「・・な?・・・いいだろ・・・・」
「・・な・・に・・した・・の・・?・・」
「・・わかってんだろ・・?・・落とすなよ・・・」
スイッチを一度切ると蘭世を立ち上がらせる。
「今日の夕飯なんだ?」
「・・え・・・あの・・・お願い・・」
「なんだ?」
真っ赤になりながら蘭世は俊に眼で訴える。わかっていながら俊は蘭世を階下へ促した。
こういうときの俊は何を言っても聞いてくれないことは百も承知の蘭世である。
恥ずかしがりながらも俊に従わざるをえなかった。

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