Sleeping 4
「そんなこと・・考える私なんて・・・・」
苛む心が目覚めない眠りを作ったのだろう。俊はそんな蘭世を哀しく見つめた。
・・・・そんな風に思っていたなんて・・・
俊は思い切って歩き出す。蘭世に向かって。
「江藤。」
「真壁くん!!!」
「そうだ、俺だ。」
「え・・あ・・・」
戸惑う蘭世に俊は近づいていく。
「あ・・・真壁くん・・・」
立ち上がり走って逃げようとする。
「行くな!!」
振り返りながら頬を赤らめ、眼をそらす蘭世。俊はそんな蘭世がいじらしかった。
「・・・お前だけじゃ、ねぇから。」
「え?」
「俺だってそうだ。」
「真壁くん・・・」
「俺だって、どれだけお前のことを頭の中で抱いたかわからねぇ。」
「でも・・だって・・・・」
「おまえが自分の事を汚いなんていうなら、俺なんておまえに触れる資格なんかなくなるよ・・・」
自嘲気味に、吐き捨てるよう俊は言う。ふるふると顔を横に振り蘭世は俊を見つめる。その瞳には涙が浮かぶ。
「そんなこと・・・・そんなこと・・・・」
「俺の頭の中のおまえなんか、きっとおまえが考えている以上だ。」
そう、確かに俊だって男だ。そういう衝動に駆られるとき思い出すのはいつも蘭世だった。
海で見た水着姿の彼女を素肌に想像してみたり、悪友に無理やり渡された写真集のヌードの顔を彼女にすげ替えたり。
罪悪感にかられながらそんなことで気を紛らせる。
自身が最も嫌いながら、振り払えなかった妄想。
そっと抱き寄せながら俊は腕の中に蘭世を抱き寄せる。
いつもなら照れていえないせりふでも、今なら言える。真っ赤になって抱かれるがままにいる蘭世がそっと手を背中に伸ばしては躊躇う。
・・・消えてしまわない?・・・
俊は蘭世の両手を自分の背中に回させると、耳元にキスをした。
「俺は、ここにいる。」
そうして続ける。
「だから、これから、一緒にいよう。」
蘭世の両目から涙が溢れ出す。そのままあたりがかすみのように消えていく。蘭世自身も消えていく。
そうして残った俊の腕の中に幼子のように眠りつづける蘭世の心。
それに宝物のように俊はキスをした。
ふわりと揺れ動くその姿が見る間にいつもの蘭世に戻っていく。
俊は安心したようにその世界から自分へ戻していく。

ふっと意識を戻したとき俊は傍らに起き上がる蘭世を感じた。
「真壁くん。」
「よぉ、起きたな?」
「私・・・・」
「ずいぶん長い夜だったな。」
「私・・・・私・・・」
「とりあえず、親父さんたち呼んで来るよ。まってな。」
「待って・・・私・・・」
蘭世の瞳が、俊を射抜く。俊はその視線に真っ向から見つめ返す。
「・・・・・いいのか?」
二人にはただその一言だけで十分だった。俊は蘭世のそのネグリジェに手をかける。蘭世は眼を閉じた。
何度となく思い描いた夜が今現実に始まる。
三日月が細い光を蘭世にあてる。そのスポットライトに浮かび上がる白い裸身は細かった体がさらに儚さを増したよう。
俊はその肌にやさしく触れる。
「・・ぁ・・・・」
小さく洩れる蘭世の声が俊を後押しする。
「江藤・・・・・」
もはや言葉に出来ない。壊したくない最愛の宝物。
「ま・・・かべ・・くん・・・大好き・・・」
月光に煌く蘭世の涙。その涙を舌で掬い取るとそのまま唇を合わせる。

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