Restraint   1
・・・・ストン。

私の中で音がする。

普通の会話の中の何気ない言葉。
一つ・・・また一つと。
何が、堕ちていく音。

・・・・・・

必死で自分を立て直しても。
心臓の音が響くのを自分が一番よくわかっている。

彼が立ち上がって、私の頬を優しく撫で。

指先が顎を持ち上げて、瞳を射抜く。

やさしい・・・・
本当にやさしい、声で。

一言だけ。

「・・・・は誰のなんだ?」

決して、その瞳をそらすことなく。
私の言葉をただ、じっと待つ。
答えるまで。

「・・・・いや・・・」

答えたくない、
答えられない。
答えたら、止まらない。

彼の瞳は、優しいまま、強く。

「もう一度、聞くよ?・・・・誰のなぁに?」

逃げを許さない、声。
その声に、私は屈する。

そう、私は、彼に、調教を施されているから。


「・・は・・・さんの・・・・奴隷・・・です・・」
「・・・・・・・・」

正しく答えなくては、許してはもらえない。
ただ、見つめられる。
その、瞳で。

ーきっかけは、何だったのかすら、もう忘れた。
2人だけの螺旋階段、下へ下へと、降りていく。
そう、

堕ちていく・・・・・・。





「由真。今平気?」
「うん、なぁに?」
仕事をしている私の後ろで、彼が小説を読んでいた。空気が和らぎ私がひと段落ついたのがわかったのだろう。
そう言って満は由真にじゃれかかってくる。
「忙しい?」
「うん、まぁ・・ねぇ・・なかなか慣れないしね〜」
「そっかぁ・・・」
「ごめんね、あんまり出かけられなくて。」
「いいよ、こうやって一緒にいるのは楽しい。」
「そう言ってくれると助かるな。」
にこっと笑う由真に満は背後から腕を回す。
「今日はもう、終わり?」
「ん〜・・そうだねぇ・・・」
手がそっとふくらみに触れる。
「だ〜め!」
「なんで?」
不思議そうに満が由真を覗き込む。
「なんでって・・・・」
「由真?」
「だめだってば・・」
指先が由真の感じる部分を的確に探り当てる。
「嘘・・だってそんなに息が荒くなってる。」
「だ・・めぇ・・・」
そういいながらも、拒む手に力はない。
ひょいと由真を抱き上げると満はベッドへと運んだ・・・

そんな普通のセックス。



「ちょっと・・・今は・・駄目だってば!」
その日は珍しく酔った満が由真を強引にベッドへと引きずり込んだ。
「酔ってるでしょ!!だめ!!!」
手足をばたつかせ、満をどかそうとするも男の力は強かった。
「由真。」
強めに言葉が発せられる。
耳元で囁く声に由真はびくんとする。
・・何・・今の・・・?
由真は自分の中の何かに揺れた。
「由真。」
繰り返す、強い声。
「やだ・・・って・・ば・・」
自分の声に説得力がないのがわかりすぎるほどわかる。
腕を拘束され、太ももにまたがられて。
「・・ん・・こういうの・・好き?」
「え・・・なに・・?」
「め・い・れ・い・・されるの・さ?」
「え・・?」
戸惑っていると、満は手を下腹部へと滑り込ませる。
「や・・やめて・・!・・・」
「すごく濡れてる、まだ、押さえつけて、由真を呼んだだけなのに。」
「いや・・・」
男の言葉で自分自身をしらしめられる・・・その事実に由真は赤面した。
そして相反するようにまだそこにあった満の指先に蜜を滴らせる。
「感じているって俺に言われると・・さらに感じるんだ・・・」
顔を背け必死で抵抗を試みる由真を体よく抑え込むとその耳元で満はさらに囁く。
「いやらしいね、由真。」
「や・・ぁ・・そんなこと・・ないぃ・・・」
そう答えながら全身になにか感覚が走る。
「強引に、俺にこんな風にされても、感じる。」
「・・・満・・だからじゃない・・・」
「そう・・・・俺だから。」
満はそう言って由真の服を剥ぎ取る。全身が羞恥に薄く染まっていた。
「俺を誘っている?」
「違う・・・・」
「じゃ、やめてもいいの?」
じっと瞳を見つめる。
両手を頭の上に押さえつけたまま、少ししびれたような感覚すら覚えてくる。
「やめて・・いいんだね・・?」
その視線が素肌につきささるように見つめられる。
全身、を愛撫されるかのように。
「お願い・・・そんな風に見ないで・・・」
「見ているだけだよ・・由真。」
「満・・・・だめだって・・」
しびれるような痛み。
刺すような視線。
全身に流れる何か。

頭の中に白くもやがかかって来る。
理性より感情より身体が先走る。
熱くこみ上げてくる、それ。
わからないはずが無い。
わかりたくは無いけど。


そのときから、2人の関係が変わり始めた。

普通の恋人同士でも。
普通の恋人同士だから。

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