Valentine Day Presents


嬉し恥ずかし、恋せよ乙女。
年に1度のイベント日。
そんな大義名分のもと、今日も蘭世はキッチンで鼻歌交じりにボールを抱えていた。

「さ・・てと。あとは焼いてさまして・・・」
適温に温まったオーブンにココア色の生地を流し込んで表面にナッツを埋め込んだ型を入れると時間を設定する。
「焦げないようにしないとなぁ・・・」
今年のチョコレートはブラウニー、俊の好みに合うようにと甘さを控えて少し洋酒を利かせている。
「よしっと!」
楽しそうな表情のまま後片付けと夕食の準備に取り掛かる。
今日はデザートがある分カロリーは控えめで高たんぱくな豆腐料理と決めていた。
「え〜っと・・・・・」
冷蔵庫を眺めて足りないものを確認しながら必要な食材を並べていく。
そうこうしているうちに少しずつ部屋の中に甘い香りが漂う。
「あ!」
慌てたように蘭世はオーブンに行くと扉を開けた。
「よかったぁ・・・間に合った。」
ちょうど表面にきれいに焼き色がついたところで型の上にアルミホイルをかけそれ以上の焼き色を防ぐ。
「これであと30分っと。」
ぱたんと扉を閉めると準備の続きに取り掛かる。

「ん〜・・・・明日の朝の分がちょっと足りなさそうだなぁ・・・」
夕食の下ごしらえをあらかた済ませて冷蔵庫に片付けがてらそんなことを一人つぶやいていると小さな電子音がして
ちょうどオーブンのブラウニーが焼きあがった。
「どれどれ・・・」
ウキウキしながら蘭世が扉を開けるとふんわりとチョコレートの焼ける良いにおいが部屋いっぱいに広がった。
「いい匂い!」
鍋つかみでオーブンの天板ごと取り出し、型をケーキクーラーに置く。
竹串を刺してみても生地がくっついてこないところを見ると良い具合に焼きあがっている様子だ。
表面のナッツも良い加減に色づいている。
「ばっちりね。」
シリコンの型から取りだして冷ましておく。
「う〜ん・・・・」
蘭世は少し考えると大きめのフードを取り出してゴミがかからないようにブラウニーの網ごとかぶせる。
「…買い物、行ってこようかなぁ…」

既に時刻は4時を回っている。
俊の帰宅は6時過ぎとはいえ買い物に行くと5時を過ぎる。
この季節あまり遅くなることを俊は好まないことをよく知っているのではあった。
が、
「早めに帰ろう、うん、そうしよう。」
・・・明日の朝の分がちょっと足りないし・・・
そう納得させると手早く身支度を整えて蘭世は商店街へと出かけて行った。

・・・急がなきゃ・・・
気がせきながら蘭世は慌てて自宅へと戻る道。
・・・・もう・・・・今日に限って何であんなに混んでるのぉ・・・
買い物自体はそれほど時間がかからなかったもののレジでかなり待たされた所為で帰りが遅くなってしまったのだ。
とはいえまだ6時少し前。
それでも日暮はまだ春には早い時期。
自然とさらに急ぎ足になる。
家までつくと玄関の電気がついていた。
「・・・消し忘れ・・・?」
玄関のドアの鍵が開いている。
「えええええ!!!!」
そぉっとドアを開ける。
大きな靴がそこにはあった。
「ええ〜〜〜!!!!」
慌てて家に入るとリビングには俊の姿。
「・・・は・・・・早かった・・・のね・・・」
「ああ、周りがやかましくてな、今日は早く終わった。で、お前は?」
「あ〜・・・えと・・・ちょっと・・・かいも・・あ!!!!見た?ねぇ見たの!!!」
「は?」
「だから・・・その・・・」
「・・・・・・?ああ、台所の?」
「あ〜・・・」
蘭世はがっかりした顔になる。
「まだ、食ってねぇだけましだろ。・・・まぁ楽しみにはしてっから。」
目に見えて落ち込んだ蘭世の姿に俊がとりなすように一言添える。
「でもぉ・・・・」
「とりあえず、シャワーだけ浴びてくっから飯にしてくれるか?」
「・・うん・・・・あ〜あ・・・・」
蘭世の頭を軽くポンッとはたくと俊はバスルームへと向かう。
「あ、そうだ。テーブルにもらった分あるから誰かと食ってくれ。」
「え?」
リビングを見ると袋に入ったチョコレート。
「もらったの?」
「ジムでもらったやつのを等分にして持たされた。個人当ては受け取らないっていう方針だがそれでもジムあてに送ってきたらしい。
仕方がないから全員で分けたってとこだ。」
「そうなの?」
「ああ、めんどくせぇしな。誰ってことは無いし。」
「ふ〜ん・・」
「お前いるから食うだろって。彼女もちもそんな感じ。個人宛ては送り返したらしい。ややこしいからって。」
「大変だねぇ・・・ジムの方も。」
「まぁなぁ・・・とりあえずシャワー浴びてくっか。」
「あ・・あ、うん、すぐ夕食準備するから。」
「ああ。」
買ってきた食材を片付けると蘭世は下ごしらえを済ませた夕食を仕上げていく。
ダイニングの準備も合間を見ながら進めていくと俊がバスルームから出てくる。
「もうすぐできるよ。もうちょっと待っててね。」
「ああ、大丈夫だ。」
ばさっと新聞を取り出すとざっと流し見る。

パタパタと軽い足取りで食卓に料理が並べられていく。
湯気を立てる豆腐と野菜の蒸し物。
良い具合に焼き上げられた牛肉のヒレ。
添えられた味噌汁と炊き立てのご飯。
毎日の料理が実は待ち遠しい俊なのではありますが、そこは照れて言えなかったりする・・・・
「ん、完成。準備できたよ〜どうぞ。」
「ああ・・・うまそうだな。」
「食後にね、ほら、バレンタインだし、ブラウニーを焼いたの・・・本当は隠しておくはずだったのにぃ・・・」
俊は少し笑いながら
「まぁ、毎年作ってくれてるからあるっていうのは予想できてるけどな。」
「で〜も〜どんなのかは出すまで内緒にしておきたかったの!!!」
「へーへー。冷めないうちに食おうぜ。」
「は〜い。」
エプロンをはずすと俊の真向かいの席に蘭世が腰を下ろす。
「じゃ、頂きます。」
両手を合わせて夕餉が始まった。

それはいつもと同じ風景。
変わらず、温かく、穏やかな二人の時間。
たわいのないその日の話をして、温かい食卓を囲む。
蘭世がずっといた、江藤家の食卓を彷彿させるようで、それでいて二人で作る時間。
俊がずっと欲しがった、空気がそこにあった。
さびしいと感じたことはなかった。
さびしくなかったといえば嘘にもなる。
求めて、そして、二人で得たそれは永遠ー

「さて・・今年のやつはあんまり甘くないんだろうなぁ・・・」
「毎年あんまり甘いのは作ってません!!!」
「そうか?何年か前のやつ、甘すぎて1個が精いっぱいだったぞ。」
「あ・・あれはぁ!ちょっとチョコの種類を間違えて・・・」
「で、今年のは?」
「うん。」
蘭世はいそいそと皿に乗せたブラウニーを持ってくる。
いつトッピングしたのか表面にチョコレートで模様が描かれていた。
スティック状に切ると一切れ俊に差し出した。
「はい、今年はブラウニーというケーキにしてみました。甘さ控えめでちょっとお酒入れてみたの。」
「ん。」
「・・・どう?」
「・・・・・ん、食えるよ。甘くない。」
「・・・・・・おいしいとか無いの〜〜???」
「まぁ、旨い。・・・コーヒーに合うな。」
「ん〜〜・・・・ま、いいか。」
そう言って自分の分も一切れ切って食べ始める。
「ん、上出来。」
「・・自分でいうか。」
「おいしくなかったら人にあげるとき困るもん♪。」
「そりゃそうだが。」
「もう一切れいる?」
「・・・もらおうか。コーヒーも一緒にくれ。」
「は〜い。」
嬉しそうに準備をする蘭世の後ろ姿に俊は見えないところで微笑む。
(見せてやれば喜ぶのになぁ・・by作者)
「はい、コーヒーとブラウニー。」
と、俊の前に皿とコーヒーカップを置くと自分の席に戻ろうとする蘭世の手首を俊は掴まえる。
「なに?」
「ん〜・・・まぁそのなんだ。」
「???」
「チョコレートは食った。」
「うん。」
「つ〜ことで。」
俊はもう片方の手で蘭世の腰をつかむと自分の腿に座らせる。
「ちょ・・・ちょっと・・・」
「食い足りない。」
「え?ええ????」
そういうと蘭世の唇を塞ぐ。
「・・・んん・・・」
もがいて逃げようとする蘭世に俊は一度唇を離すと耳元で囁く。
「あんまり動くとテーブルが揺れるぞ。」
上にはコーヒーの入ったカップが二つ、俊のと、自分のと。
一瞬動きが止まったのを見て取った俊が再度深く口づける。
「・・・ん・・・」
身体をテーブルから離そうとする蘭世は勢い俊にしがみつくような仕草を取る。
俊の指先が蘭世のニットの隙間から入り込む。
「・・・!やっ・・・だめ・・・」
「何が?」
滑り込んだ掌が膨らみを捕える。
「・・・や・・ぁ・・・・」
下着越しに先端を探り当て、指先を震わすと蘭世の息が一瞬止まる。
背面にテーブル、前面に俊。
俊の手がニットの中のブラジャーを上にずらすと直接先端を摘まんだ。
「あぅ!・・・う・・」
ぎゅっと蘭世は俊の首元に抱きついた。
「・・ここ・・じゃ・・・・いや・・・・」


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