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今度は休む暇も与えず俊は蘭世の身体を自分の上で動かすと対面するように腰を抱き、唇を重ねた。
「・・ん・・ん・・」
蘭世の手が俊の背中に巻きつき、深いキスへと変わっていく。
二人の舌が絡み合う。
腰を抱いていた俊の手が蘭世の腰を上下左右へと動かしだした。
「・・ん・・ふ・・くぅ・・ん・・」
甘い、深いキス。
繋がりたい。
誰にも、他の誰も触れない場所で、二人ならば。
「・・ん・・ん・・・」
互いの唾液すらも媚薬。
触れ合う全てが快楽。
その何もかもがー
「・・ぁ・・ぁ・・・や・・ぁ・・」
「イケ・・よ・・・・何度でも。・・」
どれだけでも。
何度でも。
すべてが。
互いしか知らない。
互いしか知らなくていい。
ほかは何も要らないから。
必要なのは、あなただけー
欲しいのも、あなただけー
幾度となく裂かれても。
幾度となく泣いても。
あなたしかいらなかった。
そして、今ー
「ぁぁ!!!しゅ・・・ん・・ね・・ね・・・ぇ・・・」
限界が近いことを蘭世が俊に伝えようとしてきた。
俊は身体を離さずに蘭世をベッドにあおむけに寝かせその腰をさらに近くに引き寄せた。
「ふ・・・ぁ・・・しゅ・・ん・・ぁぁ・・・」
「・・・・・・・てる・・・」
「・・あ・・・」
蘭世の手が俊を求めて空を切る。
その手を強く握りベッドへと押しつける。
決して、離さない。
俊の腰が激しく動きだした。
「あああ!!!!や・・ぁ!!・・・」
もう何度目かもわからない絶頂が蘭世を襲う、それでも俊をすべて受け入れる。
欲しいと互いが叫んでいる。
繋がった場所からあふれる蜜が立てる水音。
静かな寝室にそれと互いの荒い息使い。
「こ・・われ・・・る・・ねぇ・・こわ・・い・・・の・・」
蘭世が切なげに声を上げる。
「しゅ・・・ん・・・」
そっと俊の頭が蘭世の首筋に沈む。
「・・・ぁぃ・・し・・・てぃ・・る・・よ・・」
俊は耳元で小さく、本当に小さく囁いた。
ビクンと蘭世の身体が大きく跳ねた
「・・ぁぁ!!!!!!!」
「・・っう・・・」
同時に、俊の限界も超え、蘭世の中に自身のすべてを放出した・・・・・
ー小1時間後・・・・
二人とも気を失ったかのようにそのまま眠ってしまっていたことに先に気がついたのは俊のほうだった。
・・・・・・さて・・・・
そっとタオルケットを蘭世の上に掛けると俊は起こさないようにベッドを抜け出す。
リビングに行くと冷蔵庫からミネラルウォーターを出して一気に飲み干す。
「・・ちと・・無茶したかなぁ・・・・」
と頭の後ろをかきながら大きく伸びをした。
外は晴れ。
朝の雨がうそのような青空の昼間だった。
そしてもう夕方の時間。
「さて、起こしてやるかな。」
・・・・こんな空はあいつが好きだろうから・・・
一人だった夕焼けは嫌いだった。
でもー
ふっと気配を感じて振り返ると入口に蘭世がちょうど入ろうとしているところだった。
「起きたか?今起こしに行こうかと思っていたところだったんだ。」
「・・ん・・・」
かなり恥ずかしげに眼を伏せる蘭世を見て俊は立ち上がる。
「ほら。見ろよ外。」
「え・・・・・あ・・・綺麗な・・・夕焼け。」
「夕焼けは結構好きだぜ。」
「なんで?」
「さぁ。なんでだと思う?」
いたずらっぽく俊は蘭世に問いかける。
「ん〜〜〜????」
「夕焼けのおねえちゃんを思い出すからさ。まぁ誕生日だそれくらいのサービスはしとくよ。」
「あ!・・・」
空に負けないほど真赤になった顔で俊を見返す。
「私も・・好き・・・・・きっと、ずっと・・・・」
そうして二人、赤く紅いキスをしたー
「ま、一日早いけど誕生日、おめでとう。これからも、よろしくな。奥さん。」
そう、毎年重ねていく、これからのために。
夜は二人で久しぶりにのんびりと少しのお酒とDVD鑑賞。
さすがに疲れた様子で明日に備えて寝室へと入る。
「明日は朝から暑そうだな。」
「そうねぇ・・・もう休んでおいたほうがいいわね。」
「今日は、疲れたし、か?」
「・・・そんなこと・・・」
「そうか?」
俊がからかい半分にベッドの上から蘭世に声をかける。
「疲れなかったか?」
「・・そうじゃなくて!」
真っ赤になって回答に困っているのをみて小さく笑う。
「もう!」
枕を軽く投げるとさっとよけながら俊は笑っていた。
「ほら、寝るぞ。」
「ん、おやすみなさい。」
するっと俊の横に滑り込み、その身体に寄り添う。
「疲れなかったなら続きするか?」
「だ〜め!!」
べーっと舌を出した蘭世の唇に俊が覆いかぶさろうとしたその時外で大きな雷が鳴った。
「え?」
とたんに豪雨。
部屋にまで音が響くほどのそれ。
「明日は洗濯物無理かなぁ・・・」
「・・・てか・・これ・・・・」
時間をみると間もなく0時。
「え・・・?あ・・・」
二人顔を見合わせるとどちらからとも無く着替えを始めた。
・・・・・数分後、電話のベルが鳴った。
(あ、蘭世、悪いんだけど・・・・・)
「うん、わかってる、今から迎えにいくわ。」
(え?)
「雨、降ってきたからね。」
(ああ・・・・そういえば、そうだったわね。じゃお願いね)
「ええ、すぐに行くね。」
蘭世が電話を切ると後ろで俊が傘を用意して待っていた。
全部で4本。
「とんだ、誕生日の始まりだな。」
「そうね、でも・・」
「ん?」
「子供たちがいないのもなんだか、寂しい気もしていたから。」
「そうか・・・そうだな。じゃ、行こうか。」
「ええ。」
二人、そろって玄関を出ると土砂降りはさらに強くなるばかり。
俊と二人少しだけ困ったように微笑みあうと雨の中歩き始めたー
そう、これは愛良の雨。
家族そろっての蘭世の誕生日はこんな風な日常で過ぎていくのでした・・・・
おしまい
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