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・・・・すげぇ・・・いい・・・・
俊は自身に伝わる感触に驚きを隠せなかった。
気をつけないと一気に持っていかれそうなほど。
痛いというのではなく、絡みつくようで吸い込まれるようなそんな感触。
「・・ぁ・・ん・・・ん・・や・・ぁ・・あ・・しゅ・・ん・・」
甘く、切ない声がさらに大きく俊の耳元に木霊する。
俊は後押しされるように腰の動きを激しくしていく。
まわすように、そして前後に揺り動かしていく。
「ぁ・・ぁぁん!!!」
蘭世の指先がリネンを弄るように動き、小さく歪む。
俊の手がその手を大事そうに包み、強く絡ませ握り合った。
「・・しゅ・・ん・・う・・・れしぃ・・・」
「・・・俺も・・・だ・・・」
小さく、蘭世が聞こえるか、聞こえないかの囁き。
言葉とともに深く腰を打ち付ける。
「・・ぁ!!!」
蘭世の全身が一瞬強く強張る。
俊のそれに痙攣が伝わる。
「は・・ぁぁ・・・ぁ・・は・・」
荒い息遣いの蘭世の背中に手を差し入れると俊はつながったまま抱き上げその唇をふさぐ。
「・・ん・・ん・・」
まだ意識もまばらな蘭世の口内の舌を強引に絡ませその唾液を絡見合わせる。
甘く、媚薬のようなそれ。
俊は腰を軽くゆすりながら幾度も幾度も口付ける。
「ぁ・・ぁぁ・・・しゅ・・ん・・・ぅ・・」
無意識に蘭世の腕が俊の背中に回り、抱きついていく。
俊は蘭世の腰をつかみ動きを誘導するように動かすと蘭世はその動きに沿って腰を使い出した。
「・・・そう・・・そ・・・ぅ・・だ・・」
俊は小さく呻くように蘭世の耳元に囁いた。
・・・しゅ・・ん・・・嬉しい・・・
蘭世の声が俊に届く。
欲しかった。
お互いに、いつも。
俊は蘭世の動きに自身の限界が近いことも悟る。
「しゅ・・ん・・だ・・めぇ・・・も・・ぅ・・ね・・」
切なげな声で薄く眼を開けて俊を見つめた蘭世に小さく頷くと俊は蘭世の身体をさらに激しく促した。
「ぁ!!!ね・・やぁ・・・あ!!!・・ぁぁぁ!・・・・・・・」
「・・・・うっ・・・・」
蘭世が頤を仰け反らせ絶頂を細く高い声であげると同時に俊は蘭世の腰を強く引きつけその胎内で自身から白い樹液を放出した・・・
二人は抱き合ったままベッドに倒れこんでしばらくそのままの姿勢で互いの快楽の名残を確かめ合う。
「・・・ぁ・・・・」
「どうした?」
「・・ん・・・う・・ううん・・・何でも・・・」
真っ赤になりながら身体を起こした蘭世が慌てて身体を離そうとする。
「?」
・・・・・・・ぁぁ、そうか・・・
と俊は一人ごちるとそれ以上深追いはしなかった。
が、俊の手は蘭世の背中を強く引き寄せ自分の胸元に蘭世を抱き寄せる。
「しゅ・・俊・・・」
「・・・シャワー浴びたらそろそろ卓を迎えに行くか?」
こくこくと蘭世が無言で何度もうなずく。
でも俊は蘭世の背中から手を離そうとはしない。
俊は不自由な姿勢から上手く蘭世を抱き上げるとそのままバスルームへと飛んだ。
「どうせ動けねぇだろ?」
にやりと数時間前と同じ表情でシャワーのコックをひねった。
「俊!!!!」
真っ赤になった蘭世に俊は笑顔で。
「あんまり遅くなると卓がすねるぞ。」
「も・・・!!もう!!!!」
そういいながらも蘭世は少し嬉しそう。
久しぶりの二人の時間、それはやはり別な幸せ。」
家族であっても、いつまでも二人はー
笑い声がバスルームに響いた・・・・・・
「こんばんは〜。」
「お邪魔します。」
「いらっしゃい、楽しかった?」
そういいながら玄関に迎えに出る椎羅の腕の中にはご機嫌そうな卓の姿。
「ご機嫌でしたよ〜。」
「お姉さん、こんにちは?」
「あら、なるみちゃんも来てたの?」
「うん、鈴世くんが卓くんいるよっていうから・・・」
「今から送ってくるんだ。僕。」
「行ってらっしゃい。」
仲良さげに出かける二人を見送ると蘭世は椎羅の腕に抱かれた卓に手を伸ばした。
「卓?」
「あ〜!!」
ばたばたと両手両足をばたつかせた。
「やっぱりお母さんがいいのねぇ・・・」
少しさびしげに椎羅が言うと
「ん〜・・そうだねぇ・・・ね?俊。」
「あ?」
「ほら、夕焼け・・・・」
と言いかけると俊の手が蘭世の後頭部を小突いた。
「いたぁ〜い。」
言うほど痛いわけではないもののふくれたように俊を見やる。
「お母さん、ありがとうございました。」
俊は卓を抱き上げると蘭世を促し江藤家へと上がる。
リビングには望里が座っていた。
「やぁ、こんばんは。」
「今日はありがとうございました。」
「いやいや、久しぶりに楽しかったよ。」
「そうよ〜今後はたまには預けてね。楽しみにしているわ。」
二人は笑顔でそう俊に言った。
「冷たいお茶でも持ってくるわ、夕食食べて行ってね?二人の分も作ってあるのよ。」
肯定も否定もする暇も無く椎羅がキッチンへと行く。
「蘭世の誕生日だから、椎羅も楽しみにしていたんだよ。」
「じゃ・・お言葉に甘えます。」
「私手伝ってくるね。卓のこと、よろしくね。」
「ああ。」
女二人がキッチンへ消えると同時に俊が望里に向き直る。
「今日はありがとうございました。」
「俊くんが頼みごとなんて珍しいからね、嬉しかったよ。」
「あいつ、だいぶ煮詰まっていたようだったんで。」
「そうだろうね、分かるよ。」
そういう望里の顔は自信に満ちた父親の顔。
・・・・俺はこんな風に自分の子供のことを言えるだろうか?・・・
そんな心配が一瞬頭をよぎる。
「子育ては自分育てだからね。」
さらっと望里はそういうと俊を見つめ返した。
「これからも大変だろうけどよろしく頼むよ蘭世のこと。そしていつで
も私たちが居ることを忘れないでくれればそれでいいんだよ。」
「・・・・ありがとうございます。」
・・・急がなくていいんだな・・・・
そう、望里が伝えてくれたような気がした。
父親がそばに居ない子供時代を過ごした自分でも父親になることは出来るとそう。
「ぁ〜!!」
自分を忘れるなとばかりに俊の膝の上で卓が暴れる。
「元気な子だなぁ・・・・どちらかというと蘭世の小さいときもこんな風によく暴れたものだよ、鈴世は静かなほうだったがね。」
「そうなんですか?」
「将来はどっちによく似るかな・・」
「どっちでも。元気であれば。」
「そうだな。そのとおりだよ。」
「ただいま〜!!」
鈴世が帰ってきた声がした。
「さ、そろそろ夕食の時間だ。行こうか。」
「はい。」
家族団欒とはこういうものだと教えてくれるその姿。
慌てなくていいのだ。
これから時間は嫌って言うほどある。
ゆっくりと作っていけばいい、家族の時間を。
そうしていつか二人になったときにもきっと。
二人は家族でそしていつまでも愛しい人として互いに居られるだろう。
そんなことを実感する。
「さ、食事にしましょ?卓・・は私抱っこするね。」
「ああ。」
自分の横には蘭世。
その腕の中には二人の愛しい結晶の卓。
そしていつしかもっと家族が増えていくかもしれないけど。
いつまでも二人、恋人のように居られることを確認できた、そんな。
夏の日は笑い声とともに更けていくのでありました・・・・
おわり
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