PEACE1
僕が目を覚ますと、そこは真っ白な部屋で、
僕が上半身を起こすとそこには当たり前のように、
一人の男性が突っ立っている。
「お早う。号。」
彼は僕の名前を呼ぶ。
「うん。お早う。号。」
僕も彼の名前を呼ぶ。
「早く支度しろよ。今日しかチャンスはないんだから。」
号が僕に服を渡して言う。
「うん。分かってるよ。号、君はもう刺青とれた?」
僕は寝巻きから渡された服に着替えた。
「とれたよ。号はまだ取ってないんだろう?」
「うん。まだ。今日の8時くらいに薬が切れるはずだから、それまでは刃物は触れない。」
僕たちはここでモルモットとして生かされている。
ここは地球軍の人体実験所。
でも、存在している場所はヘリオポリスだ。
ここに人体実験所があることはここの関係者くらいしかしらない。
ここでモルモットとして、ずっと生きてきた。
物心がついたときからここにいた。
実験されるのが当たり前だと思っていた。
でも、そうじゃない。
沢山の薬を飲まされたり、
沢山の注射を打たれたり、
沢山体をもてあそばれたり、
沢山の軍の訓練をやらされたり・・・。
これは当たり前じゃない。僕たちだって自由に生きてもいい。そう考えるようになってきた。
僕たちが実験されているのは僕たちがハーフという人種だから。
コーディネイターとナチュラルとの間の子。
ハーフはどういう訳か、コーディネイターよりも能力が高い。
そのことを追求するために僕たちはモルモットにされた。
でも、そのモルモットの人生にも今日で別れを告げる。
「今日の1時までは警備が薄くなる。刺青を消して、逃げるんだ。」
号は着替え終わった僕に言った。
「うん。分かってる。あと少しで薬がきれる。」
僕たちは左腕にある刺青で縛られている。
これが消えないことには、ここから逃げ出すことは出来ない。
刺青を消す方法はひとつ。
自分の血でぬらすこと。
それも大量の血で。
だから刃物で傷つけるしかない。
でも僕たちは刃物に触れない。
拒絶反応が起こる。
それは薬のせい。
定期的に行う注射にその拒絶反応が起こる薬がある。
一ヶ月に一回だ。
そして俺の薬が消えるのが今日。
8時に効果がなくなる。
8時になった時、僕は刃物で自分の腕を刺して、号と一緒にここから逃げる。
運の言い事に今日は研究員の大半がいない。でも10時には戻って来る。
その間に逃げる。
「号、8時だ。」
号は僕に刃物、メスを渡した。
「ありがとう。」
僕はそれを受け取った。
拒絶反応の頭痛は起こらない。
「っ!!」
左腕の黒で書かれたという文字にメスを突き刺して引いた。
あふれるように赤い液体が流れる。
「号!早く手当てをしろ!」
号に止血剤と救急箱を渡された。
そのとき、部屋のドアが開いた。
研究員だ。
「号!何をしている!!」
白衣を着た男が部屋に飛び込んで来た。
「号!窓から飛び降りるんだ!」
号に引っ張られ、僕は窓から飛び降りて、近くの木の枝に捕まった。
手には救急箱と止血剤とそして、号の小さな声と、
そっと渡された護身銃があった。
「号!!!号!!??」
僕は木の上から叫んだ。号が来ない・・・。
そして、号の、
「早く行け!!!」
という声がしてから悲鳴が聞こえた。
「号ー!!!!」
僕は叫ぶしかなかった。
号はきっとあの研究員に殺されたのだろう。
悲鳴と同時に銃声が聞こえた。
僕は木から下りて、フェンスを飛び降りて、逃げた。
路地裏に入って、止血して、包帯を巻いて、
号がくれた銃をどうするか迷って、路地裏にあった店にとりあえず入った。
そこは骨董屋のようで古いものが並んでいた。
「いらっしゃい。」
店の主人なのか、老人が僕を招いてくれた。
「あの、ここにホルスターってありますか?」
僕は銃を納めるためのホルスターがあるか聞いた。
「ありますとも。ここは何でも屋。あそこの棚にある物を一つならただであげよう。」
店の主人はにっこりと笑って、古ぼけた棚を指した。
僕はその棚の中にある古いものを見た。
「ホルスターなんてもう誰も使わないんだよ。珍しいね。子供がそんな者をほしがるなんて。」
「そうですか?あ、これください。」
僕は横腰につけるタイプのものではなく、後ろ腰につけるタイプを選び、貰った。
「またお越し下さい。」
店の主人は僕に会釈した。
僕はホルスターを腰につけ、銃をしまった。
そこの部分は着ていた黒のTシャツの裾に上手く隠れた。
僕は路地裏を出た。
あとがき。
緋色隼樹です。今日は。
SEED書いちゃいました。
ごめんなさい。
本当に申し訳ないです。
でも、書いている本人楽しんでました。
この話は序章って感じですね。
まぁ、序章なんだけど。次は多分キラ登場。
キラー!キラー!大好きじゃー!!!(変態)