The Man with the alcohol #02

     注:性描写あり



『ああ〜んっ』

「お、お…すげ」
「……」
 ザックスは興奮交じりの声を上げながらソファの上で寝転んでいた。
 対するクラウドはソファの前の床に座り込んでじっと黙っていた。時折画面をチラチラ見たりするものの、ザックスのように楽しむことは出来なかった。
 

 クラウドにとってこの手のものを見るのはまだ気恥ずかしかった。
 ミッドガルに来るまでそういった知識がほとんどなく、免疫がないに等しい状態だった。
 自慰すらしたことがなく、ザックスから手ほどきを受けたほどだ。
 性的なものに興味がないといえばウソになるが、あからさまに性欲処理を目的として作られたものを正視するのにまだ抵抗があった。

 クラウドが膝を抱えながら悶々としていると背後で音が聞こえた。
 何だろうと振り向いた瞬間、目に入って来た光景にクラウドは息を呑む。

「ちょ…何してんだよ!」
「見りゃわかんだろ」
 ソファで横になったままズボンのチャックを下ろして自慰をしていた。
 とまどうクラウドをまるで意に介さず、ザックスは行為を続ける。
「お、オレが言いたいのはそういうことじゃなくて!」
 きゃんきゃん喚くクラウドにこれは敵わないとザックスは一旦それを中止する。
 ソファから立ち上がると、クラウドをその上に強引に座らせた。
 そそり立つそれがズボンから顔を出しているのが目に入り、クラウドは顔を横に向けて文句を垂れた。
「し、しまえよ、バカ!」
「あん?クラウドだって勃ってんじゃん」
「……ッ」
 ザックスから指摘され、クラウドは服の上からもわかるくらいに自己主張している自身にカーッと赤くなった。
「恥ずかしがるようなことじゃねえだろ」
 ザックスは申し訳なさそうにうつむくクラウドの股間に手を伸ばした。
「や、何すんの…」
「一緒に抜こ」
「は!?」

 返事を待たず、ザックスは下着ごとクラウドの穿いているズボンを脱がした。
「や、やだ…!」
 クラウドはザックスの手から逃れようとソファから立ち上がるが、アルコールが回ったせいで足がふらついて上手く歩けない。
 結局ソファの上にぺたんと座り込んでしまった。
「お前なあ。初めてじゃないのに恥ずかしがるなよ」
「…そういう問題じゃないもん」
 ザックスは顔をそらしながら拗ねた表情を見せるクラウドの顔を自分の方へ向けると唇を重ねた。



 *  *  *



 二人が関係を持ったのはごく最近のことだった。
 ザックスがクラウドに自慰の手ほどきをしたことはあったが、その時点で二人は付き合っていない。
 そこから付き合うまでには時間を要した。
 いざ付き合うようになってもクラウドがあまりにウブすぎて本番に行くまでザックスが何度躊躇したかわからない。

 初めてしたのはクラウドがザックスの部屋に泊まりに来た時だった。
 子供のお泊りのようにパジャマやお泊りセットを持参してやって来たクラウドに
「…お前、まさか枕も持って来たんじゃないだろうな」
「え?…あ、寮に忘れて来ちゃったよ」
 こう答えられた時、ザックスは今日もダメそうだと諦めの気持ちになった。

 だが夜になって持って来たパジャマを着て無防備にベッドで寝そべる姿を見ているうちにムラムラが抑えられなくなった。
 追い討ちをかけるように寝ぼけて抱きついてきたクラウドに我慢の限界を迎え、事に至った。



 クラウドをソファの上に仰向けに寝かせ、ザックスはその上に覆いかぶさるように圧し掛かる。
 そして互いに勃ち上がった性器をこすり合わせた。
「あっやぁん」
「いい反応だなー。オレお前のこと大好きだわ」
「な、何言って…」
「クラウドは?オレのこと好きじゃない?」
 顔を覗き込みながらザックスはわざと答えのわかりきったことを聞いてくる。
 いつもであれば素直になれないクラウドもアルコールで頭が浮ついているせいかするりと言葉を返した。
「……好き、だよ」
 それに返事をするようにザックスはクラウドの唇を自分のそれで塞いだ。
「んうっ…んん」
 唇を重ねながらザックスは互いの雄を扱く。
 上と下、両方から与えられる快楽にクラウドは身体を捩じらせながらも必死に応える。
 絡められる舌に自分のを積極的に絡ませていく。

 長いキスを終えて顔を離すとザックスはクラウドの頬に音を立ててキスをした。
「あぅ…ザックス…」
 苦しそうな声を上げながらクラウドは腰を浮かすようにして動かした。
「…ああ、こっちして欲しい?」
 ザックスが互いの雄をこすり合わせるようにして手を動かす。
「あんっ、それ、気持ちいい…っ」
 口から飲み込みきれなかった唾液を垂らしながらクラウドはもっととねだるように腰を動かす。
「そんなにいいんだ。じゃあちょっとお預け」
「あ、なんで…いじわる」

 ザックスはぱっと手を離すと今度はクラウドの着ているシャツをたくし上げた。
 胸の突起を舌で転がされ吸い上げられる度にクラウドは声を絶え間なく上げていた。
 いつもは堪える様な声を出すだけなのに今日はちがう。
「ザックス、あ、そこじゃ、なくて…!」
「わかったよ。こっちがいいんだろ?」
 ザックスは再びそれを握って上下に扱いた。それだけでクラウドは身体を反り返させる。
「ひあっん!変になっちゃうよお…」
「今日は声我慢しないんだな」
「だって…我慢出来ない…っ」
 性器を手でこすり合わせられ、クラウドはびくっと身体を痙攣させる。
 これまで何回か身体を重ねたことがあるが、今日のようなことをするのは初めてだった。
 初めて味わう快感にクラウドの興奮も一段と高まり絶頂が近くなる。
「あっ、出る!ダメ…」
 言ってすぐクラウドは白濁を自身から吐き出した。


「オレまだイってないから。抜いて?」
「ん…」
 体勢を変えて今度はザックスがソファの上に寝転ぶ。クラウドはその上を跨ぐように乗った。
 そしてまだ勃ち上がったままのそれを口に含んだ。

 手と舌で刺激を与えるが、まだザックスは余裕を見せている。
 ふと再生したままのAVがクラウドの目の端に映る。向こうもちょうど口淫しているシーンだった。
 テレビから聞こえてくる淫らな音声がいやに耳に入ってくる。
「向こうさんと同じ格好だな…」
 下腹部で蠢くクラウドの頭を撫でながらザックスはテレビ画面へと視線を走らせた。
 クラウドも無意識のうちに画面の中を真似るように口と舌を動かした。
「んん…」
「…っいい…そこ」
 荒く息を吐きながら高ぶった声を漏らすザックスにクラウドもうれしくなる。
 どんな表情をしているのかクラウドが顔を上げてみると眉根を寄せて快楽に耐える様が目に映った。
 それに煽られるようにクラウドは視線をザックスの方へ向けたまま屹立する雄をしゃぶった。
「やらしい顔してんな…そんなにオレのがおいしいの?」
「ん…おいしい…」
 クラウドはうわ言のようにつぶやきながら、まるで甘いお菓子を舐めるように舐った。

 箍が外れているのはザックスも同じで。
 いつもとは違う淫奔な顔を見せるクラウドに限界が近くなる。
「…う、出る…クラウド…っ」
 直前でクラウドを引き剥がすつもりが口淫の気持ちよさと思いのほか吸い付いてくる力が強くて、ザックスは口内に欲を吐き出した。


「っ…わりい。気持ちよくて我慢出来なかった」
「……ち悪い」
「え?」
「気持ち悪……吐きそう…」
 声、表情で嫌悪感を露にするクラウドにザックスは酔いも覚めんばかりにショックを受けた。
「お前、いくらなんでもそんなこと言われたらオレでも傷つくぞ!?初フェ●してくれてめちゃくちゃうれしかったのに……?」
 抗議の声を上げてから自分の下腹部を離れてよろめくクラウドの姿にザックスは初めて異常を察知した。
「う…と、トイレ…」
「あ、やべ、そっちの方か!今連れてってやるからもうちょっと我慢しろ!」
 ザックスは慌てて身体を起こすとクラウドを抱えてトイレへと急いだ。



 *  *  *



「頭痛い…」
「あれだけで二日酔いか…本当に耐性ないんだな」

 一晩明けて、クラウドはザックスのベッドの上で唸っていた。
 今日は互いに仕事休みだったので、予告された通りザックスから手厚い介抱を受けていた。

「後で消化のいいもん作ってやるから。とりあえず水たくさん飲んどけよ」
「うん…なんかニブルのお酒飲んでからよく覚えてないんだけど」
「え?マジかよ。あんだけのことしておいて」
「あ、あんだけって、何のことだよ」
「オレに抱きついて、エッチしてってせがんだり、すげーエロい声出したり、自分から色々とこう…」
「う、ウソだ!そんなこと…っ」
「まあウソだけど…」
 あっさり白状され、クラウドは一瞬言葉を失った。
「騙したな!」
「いやでも半分は本当だぞ」
 そう言ってザックスは昨晩のクラウドを頭に思い浮かべる。
 クラウドがダウンしなければあのまま続きをしたものを…と今更ながら口惜しくなった。

「…なあ、また酒飲んでエッチしない?」
「絶対しない!」
「ちぇ」

 無下に断られてしまったが、ザックスは諦めていない。
 今度は一緒にチョコを食べると称してウィスキーボンボンで酔わせるという次なる手を頭の中に描いていた。

 もちろん目の前の人がそんなことを考えているなどクラウドは知る由もなかった。





material:Abundant Shine






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