外は相変わらず吹雪いていた。
ヘリが墜落した原因が僅かに残留していた反乱分子の仕業か、ただの機械トラブルかはわからない。いずれにしても異常な状況で音信を絶ったことは神羅でも把握しているはずだが、ヘリの捜索は早くとも朝になってからだろう。二人は山小屋で夜を越すことにした。
小屋の中にある薪は一晩凌げる程度の量はある。二人は火を絶やさぬよう小さな暖炉の前で寄り添った。
ザックスから頬に軽くキスを落とされるとクラウドもそれを返す。くすぐったいような不思議な感覚にザックスはクラウドを抱き寄せた。
「あんなに天邪鬼だったのにいきなり素直になられると調子狂っちゃうな」
「…二年経ったんだ。もうあんな子供みたいなことしないよ」
以前のクラウドはちょっとしたことにも大きな反応を返し、照れから来る羞恥でザックスの何気ない行為もすんなり受け入れることができなかった。その時を思い出し、ザックスは小さく笑う。
「少しは成長したってことか?」
「そうだよ」
「じゃあ…オレの我が儘きいてくれる?」
* * *
「ん…ん」
クラウドは仰向けに寝転んだザックスの下腹部に顔を埋め、それを丹念に舐めた。ザックスが反応を見せると更に昇り詰めさせるように口に含んで吸い上げる。
「なんかすげえ興奮する…夢みたい」
「何言って…」
「今までしてくれたことなかっただろ?」
「…だって…それは……」
愛撫を止めると、クラウドは悲しそうな顔をしてザックスを見やった。
「べ、別に責めてるわけじゃなくてさ」
ザックスは自分の言葉に過剰な反応を見せるクラウドを胸元まで引き寄せた。
長く離れていた間にどこか臆病になっているようだった。ザックスが何も告げずに自分の前から姿を消してしまったことがクラウドの中で大きなトラウマになっていた。
かわいそうなことをしてしまったとザックスはクラウドの頭を撫でた。これからゆっくりと不安を消していってやろう。時間はいくらでもあるのだから。
「そんな顔すんなよ。怒ってるわけじゃないんだから」
「でも…オレ…ひどいことたくさん言った…」
「だから気にしてないって」
「それじゃ気が済まないよ…ザックスがしたいこと何でもするから…言って」
それに従うことで贖罪をしたいのだろう。
本人の気持ちが少しでも紛れるならとザックスは以前であれば決してしてくれなかったであろうことを求めた。
「そうだな…じゃあオレの顔跨いで」
「…え!?」
「何でもしてくれるんだろ?」
戸惑う様子を見せながらもクラウドは身体を起こし、言われた通りに従い前へと身体をスライドさせた。両脚を広げ、ザックスの顔を跨いだ体勢になる。
「あ…恥ずかしいよぉ…」
クラウドは恥ずかしさから甘えるような声を上げる。ザックスの眼前に全てが晒され、クラウドは床に膝をつきながらガタガタと震えた。
「そのまま四つん這いになって」
ザックスが眼前に晒された震えるそこを軽く握ると、クラウドはびくんと身体を跳ねさせた。
「んっ…」
「オレの顔に垂れてきそうだな」
そうつぶやくとザックスは蜜の零れそうな先端を口に含んだ。愛撫を与えるとクラウドは嬌声を上げる。ザックスがわざと音を立てながらそれを吸うと、クラウドは頬を赤く染めて頭を振った。
「やだあ…!」
そこを舐めながら、ザックスは閉じられた窪みへと手を伸ばす。更にヒクンと締まるそこに指を挿し入れた。
「あっ…そこは」
自身を吸われながら敏感なそこへも愛撫が加えられ、クラウドは反射的に下半身を浮かばせた。しかしザックスの手によりすぐに押し戻される。
何度も挿入を繰り返され、指の本数が増やされると、クラウドも限界が近くなり、ビクビクと身体を痙攣させた。
「あああ…ダメ!出る、出るよっ」
悲鳴のような声を出しながらクラウドはザックスの口内に熱い迸りを放った。
ザックスは床に顔を押し付けて荒く息を吐くクラウドに声を掛けた。
「クラウド、自分で入れられる?」
ザックスは窪みを指で触れ、中へと沈めた。
「ひあっ…」
クラウドは僅かに反応を示すと、ゆるゆると身体を動かして今度はザックスの下腹部を跨ぐ体勢になった。少し腰を浮かせて自分の下でそそり立つそれをそっと掴むと、ヒクヒクと蠢くそこにあてがう。
「ゆっくりでいいから」
そう言いながらザックスは腰を支えてやった。本当はすぐにでも体勢を逆転させ、思うさま身体を貪りたかったが、これまで見ることの出来なかったクラウドの痴態をもう少し見ていたいという欲望の方が勝った。
「んうっ」
少しずつ時間をかけて自分の中へ沈め込むと、クラウドは徐々に腰を動かし始めた。
「はぅ…あ!」
ザックスは自分の腹の上で踊るクラウドを眺めた。暖炉で燃える炎の赤い光に照らし出された肢体が扇情的だった。
「んん!あ、ザックス、ザックスっ」
ザックスは自分の名前を呼びながらひたすら腰を動かすクラウドの律動に合わせて震えるそこを扱いた。するとクラウドは更に乱れ喘ぐ。
「あ、あ!ザックス、好き!もっとしてっ…」
つい先日までは任地からの帰還が憂鬱で仕方なかった。戻ってくることがないと思っていた恋人と熱を共有し合えるようになるとはザックスも、そしてクラウドも想像していなかった。二人はその喜びを噛み締めるように身体を重ね合わせる。
段々緩い動きに物足りなくなったザックスはクラウドの腰を両手で掴まえて、動きを促し始めた。
「やあああ」
突き上げられる快感に耐え切れなくなったクラウドはザックスの上に倒れ込んだ。それでもまだ言われた通り健気に腰を動かす。
「あっ…ん…はあ、う」
もうそれだけではザックスが耐えられなくなってきた。
ザックスは己の上で揺れるクラウドの尻を捕らえた。
「あ…?」
「今度はオレの番な」
そう言うと、ザックスは自らも腰を上下に揺すり動かした。
「ふあっ!」
挿き差しの激しさにクラウドはザックスにしがみつく。
「んっやあ!そんな、ダメぇ…!」
「二年もお前のこと我慢したんだ…いいだろ?」
拒否することなど出来るわけもなく、クラウドは快楽に溺れた。
「あ、いい!んんっいいのぉ」
「クラウド…っ」
一際大きな声を上げると、二人は繋がったまま果てた。
* * *
翌朝、ザックスは日の光が差し込む窓から外を覗いた。
「クラウド、吹雪止んだみたいだ」
「うん」
「ヘリの落下地点に行こう。救助が来るかもしれない」
「わかった」
二人は身支度を整え、山小屋を出て雪山を共に歩き始めた。山の澄んだ空気が二人を包み、朝日を照り返した雪が行く先を照らしている。
時計の針は新たな時を刻み始めていた。
END