メイドと清純



 頭の上にある目覚ましが鳴る。私はそれを手探りで止めて服を着替える。
着替えたら顔を洗って台所に向かい、朝食を作り始める。私の主人の朝食と
弁当を作り終えると私は主人を起こしに主人の部屋へと向かった。
「清純!朝だー、起きろー!ご飯できてるよ。つーか、早くしないと家まで
南君が迎えに来るよ?」
 少し大声で言うと私の主人、千石清純はもそもそと動き出した。
「今行く…。」
 その言葉を信じて私は台所へ行き、ご飯とお味噌汁をよそった。お味噌汁が
いい匂いをさせている。本日の朝ごはんはご飯とお味噌汁と鮭の塩焼きと海苔の
佃煮と納豆とキュウリと大根の葉っぱの糠漬け。これぞ日本人と言うメニューだ。

 いつまで経っても清純が起きてこない。また寝てるのかと思いながら再び部屋に
戻る。
 そこにはパンツ一丁の清純がいた。慌ててドアを閉める。
「別に恥ずかしがる事ないのに。」
 部屋から清純が出てきた。パンツ一丁で。いいから何か着ろ。
「い、いいから何か着なさいよ。恥ずかしくないの?」
「今日のラッキーカラーは青って占いで言われたから青のパンツにしてみたんだ。」
「いいから何か着なさいってば!!」
 多分きっと私の顔は真っ赤だ。私は清純よりも歳が2つ上だけれど、キスの経験もない。
 清純が着替えを終えて食事の準備がしているリビングに向かった。少し見送った後で
足早に私もリビングに入る。
「「いただきます。」」
 二人で黙々と食事をする。と、不意に清純がとんでもない事を言い出した。
って処女?」
 一瞬、頭の回路が飛んだ。何故朝の食卓でそんな事を聞かれてるのか。こんなに
処女丸出しなのに清純は気が付かなかったのか…。いや、私がココに家政婦として
住み込みで働くようになってから三日目だから無理もないかもしれない。
 親と大喧嘩をして家を飛び出した私は清純の実家に張ってあった『住み込み家政婦募集!』
に釣られてしまった。実際に面倒を見るのは一人暮らしの息子、つまり清純だと知らずに。
家政婦だって言ってるのに、初日に清純は目を輝かせて「メイドさんかー…。」とか言ってた。
しかもドン○ホーテでメイドの衣装まで買ってきた。雇い主には逆らえないので着ている。そんな
生活ももう三日目だ。
「どうなの?」
 忘れてた。思い出に浸ってる場合じゃない。どうしようか困っていると清純がニヤリと笑った。
「無言って事は処女だよねー。」
「うるさいな。そう言う自分はどうなの?まさか童貞じゃないわよねえ?」
 少し皮肉っぽく帰す。半袖の学ランの男とメイド服の女が食事をしながら処女だなんだと話しているなんて
滅多に見られる光景じゃないと思う。
「もうとっくだよ。あの時も俺ってラッキーだったなあ。」
 清純がしみじみとなる。頭がくらりとなるのを感じた。最近の中学生はここまで進んでるのか。早すぎ
だと思う。するといきなりチャイムがけたたましく鳴り出す。玄関まで言って顔を出すと南君だった。
「あ、おはようございます。千石いますか?」
「中でご飯食べてます。」
 丁寧な敬語につられて敬語になる。南君はおじゃましますと言って中に入っていった。
「朝練には出ろって何回言ったら分かるんだ?」
 半分諦めたような口調で南君が清純を急き立てる。その隙にお茶を淹れる。
「はい、南君もどうぞ。」
「あ、ありがとうございます。」
 ご飯を食べ終えた私達はお茶を飲んで一息ついてから動き出した。南君が清純を引っ張るので、慌てて
お弁当を渡す。二人に手を振り「行ってらっしゃい。」と言う。嵐が去った。



 洗濯と掃除を済ませて着替えて近所のスーパーに入る。今日と明日ぐらいは何とかなりそうな量の
食材を買って家に戻り、着替えた。昼ご飯はめんどくさいのでお茶漬けで済ませた。清純がいなければ
いつもこんな適当な食事だ。部屋に戻って昼寝をする。



 目覚めると夕方だった。がばりと起き上がると幸いにも清純は帰っていない。大急ぎで夕飯の仕度を
始める。ほぼ完成、と言う所で清純が帰ってきた。
「おかえりー今できるから待っててね。」
 振り返ろうとしたらいきなり抱き締められた。ビックリして状況が把握できないでいると、唇を重ねられる。
初めてのキスは気持ちよくて苦しかった。いきなり舌を入れるか普通。しかも処女の女に。
「な、何、いきなり?!」
 我に帰って清純を突き飛ばすと反動で私が尻餅をつく形で倒れてしまった。
「俺、が好きだ。」
 告白された。意外にも私の頭は冷静で、どう答えたら良いんだろうとか考えてた。
「な、何で?まだ知り合って三日目なのに。」
「うーん。朝に処女だって聞いてから、何かモヤモヤして、他の奴にの処女取られたら嫌だと思った。」
 どうでも良いけど、処女を連呼するな。いや、そんな事言ってる場合じゃない。
「えーと、分からないから、取りあえずお友達からでお願いします。」
 真っ赤になって俯くとまた抱き締められた。床に座ってる状態でいきなり抱きつかれて倒れそうになったけど、
何とか持ちこたえた。
「やっぱりは激可愛いなあ。」
 親と喧嘩して家を出た私の未来に明かりが見えた様な気がして嬉しくて私は清純の首に腕を回して抱きついた。



後書き。メイドがやりたいなーと思って書いた。勢いだけで書いたもの。でも満足ですよ。裏バージョンも
書きたいなあ。あ、シリーズ物なので他のキャラでもやります。次回の目標はへたれキヨを何とかする。でしょうか。
 まったく捻りのないタイトルになったけど、それもまた良し。

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