保健室勝負〜樺地編〜
今日はいつもの三倍くらいは忙しかった。季節の変わり目と言うのもあって保健室は先客万来だ。
熱を出した生徒に食中毒になった生徒(これは前日に食べた物が悪かったらしい。)常連の病弱な
生徒に更には骨を折る生徒まで出てきた。サボリの生徒も来てるのでベッドを空けるのに苦労したが、
そんな事は言ってられない。大急ぎで病院に付き添ったり学校に帰ってきたり生徒を家まで送ったり
してるうちにもう放課後だった。昼寝をしたりタバコを吸ったりする余裕すらなかった。
私は全ての業務を終えてだー疲れたーとか思いながら少しだけ保健室のソファに横になった。
10分ほどしてドアがノックされた。内心めんどくさいとか考えながらドアを開けると樺地が立ってい
た。
「お疲れ。芥川なら今日は生徒が多いから追い出したよ。その辺で寝てるんじゃないの?」
樺地は「ウス。」とだけ言うとくるりと踵を返した。
「あ、ねえ樺地、今晩一緒にご飯食べない?おごるからさ。もう部活も終わりでしょ?」
少しだけ樺地は黙ってやっぱり「ウス。」って言った。後片付けがあるらしいので適当に待ち合わせをして
別れた。
更衣室に入ってロッカーに置いてある私服に着替えて眼鏡と髪留めを外してロッカーに入れた。
カバンの中身を確認して万が一生徒に見られて恥ずかしいような物は置いていく。ついでに財布の
中身も確認した。大丈夫、人におごれるくらいのお金は入っている。軽くメイクを直してカバンを持って
ロッカーを後にした。
校門まで行くと樺地はすでに待っててくれたいた。デートのように「待った?」と聞くといつも通りに
樺地は「ウス。」と言った。多分待ってないと言いたいんだと思う。私は適当にタクシーを拾って
運転手さんに行き先を告げた。
私達が向かった先は某ホテルだった。
「ここはバイキングだから好きなだけ食べて良いよ。バイキングなのに料理の一つ一つに手間が
かかっていて美味しいし。」
「ウス。」
「あ、そうだ!勝負しようか。どっちがたくさん食べられるか。自慢じゃないけど、私は食いしん坊
だから頑張ってね。」
にこりと微笑むと適当な料理を取ってくる。まずは中華からにする。和、洋、中何でも揃ってるのも
良い所だと思う。お腹がいっぱいになって来てからだと中華みたいなこってりした物は大ダメージ
なので始めは中華にする。エビチリとシュウマイを適当に取って食べる。ついでにカクテルバー
も頼んだら年齢の確認をされた。そこで改めて自分が童顔だと思い知らされた。
一時間ほど経って目の前に座ってご飯を食べていた樺地が突然机に向かってバタリと倒れた。
ビックリして声を掛けると意識を失っていた。とりあえず私の目の前にあったお皿の料理を空にして
ケーキとゴマ団子とワラビ餅を追加で食べて清算をし、タクシーに乗せて送っていった。
途中で樺地は意識を取り戻し家の前にタクシーを止めたら自力で家に帰っていった。
そこから家に帰る途中で今日食べた物に悪い物でもあったかと思い返す。
………。樺地は私の半分くらいしか食べてないから大皿で50皿くらいなんだけどなあ。何が
悪かったんだろう。食べ合わせ?とか思いながら家に帰った。
おまけ。
「こんにちは、先生。芥川さんいますか?」
「あれ、今日は鳳が捜しに来たんだ。珍しいね。樺地は?」
「何か夕べ食べ過ぎたみたいですよ。丈夫なのに珍しいですよね。」
「あ!あ、あはは…。そうだね…。あ、芥川なら奥にいるよ。」
(ごめん、樺地…。)
保健室勝負結果
勝者 (養護教諭)
きまり手 大食い
備考
人間離れした食欲を持つ女、。次までに胃袋を鍛えた方が良い。って言うか、
この女、本当に人間か?
後書き。
樺地ー。個人的には結構好き。ネタ事態は保健室勝負の忍足を書いた時点で思いついたんだけど…。
書きあがるっていうか、書き始めるまでに時間が。いや、secretaryだのウエイトレスだのメイドだのの
シリーズもあるからなかなか進まない。まあマイペースにやることにしよう。