secretary3
とりあえず、会社に行かなければならない。社長も行ってしまったし。
適当なクローゼットを開けると私の服が入っていたので、適当に見繕って
着替える。着替えてる最中で問題が発生した。ここは何処だろう。
いくら何でも知らない所から会社に行けない。まあ、社長の事だから
都心であるのは間違いない。着替えて顔を洗い、歯を磨き、メイクを施す。
スーツを着てバッグを持って家を出た。
マンションを出ると、何のことは無い。私のマンションの隣だった。
いつの間にと思ったが、呆けている暇は無いのでさっさと会社に向かう。
「よお、思ったより早かったじゃねーか。アーン?」
秘書室に着いた私に浴びせられた第一声がこれだった。
「社長よりも遅く着いてる時点でダメです。」
当然だ。本来、秘書と言うものは上司より早く会社に着いて上司がいつでも
仕事を始められる状態にして置かなければならないと私は思う。
例えそれが最悪の上司でも。
「今回は大目に見てやるよ。俺様に感謝しな。」
「もともと社長のせいじゃないですか。そんな事よりも、本日は接待が入っています。
夕方には会社を出られるように調節しておいて下さい。」
一気に喋ると、社長はああ、と返事をし、社長室に入っていった。
夕方になり、仕事を終わらせて社長室に向かう。ノックをし、中にいる社長に声を掛ける。
「社長、準備は宜しいですか?先方はすでにお待ちです。」
中から社長が出てきた。私は社長より一歩下がって歩く。エレベーターで1階まで下り、
外で待っている接待の相手に軽く挨拶をした。待っていてくれていたのは只の運転手らしく、
相手はもう現地で待っているらしい。運転手と言ってもこの人も地位のある人だが。
うちほど大きければこっちがもてなす事はほとんど無い。今回も相手が私達の機嫌取りに
設けた接待だ。
リムジンのドアを開けてもらい、乗る。車はゆっくりと発進する。しばらくして有名な温泉街に
到着した。車が1軒の趣きある旅館で止まった。
「こちらです。ここからは女将に案内を頼んでありますので。」
そう言うと相手は深く一礼をした。丁寧な人だ。いや、接待では当たり前か。
「ようこそいらっしゃいました、跡部様、女史。」
堅苦しい挨拶から始まり、握手などを交わして席に着く。顔には微塵も出てないが、
社長はご機嫌斜めだ。接待がめんどくさいらしい。私としては家に早く帰りたくないので
嬉しい事この上ない。
食事をし、雑談を交わす。途中で仕事の話を交えたりもする。話が佳境に入り、帰りそうな
予感がしてきた。
「では、本日はこれで失礼致します。契約の方は宜しくお願い致します。今夜はこの部屋を
取ってありますので、どうぞごゆっくり。女史もご一緒にどうぞ。ここの温泉は評判が
高いですよ。」
何だとこの野郎。社長と一泊なんて死ぬほど嫌だ。
「でも…。私は社長より早く会社に着かないといけない身ですから。私も帰ります。」
「明朝にリムジンを回しますから、大丈夫ですよ。」
何が大丈夫なのものか。仕事が平気でも貞操がヤバイ。しかし、先方のこの悪意の無い笑顔を
見ていると断れない。
「では、お言葉に甘えて…。」
今日は覚悟を決めるしかない。が、ヤられる気も無いので、私は社長と戦う覚悟を決めた。
先方は帰ってしまったので部屋に二人になった。どうして一部屋しかないんだろう。
「何で一部屋しか取ってないんですか、あの方達は。」
「俺様が仕組んだからに決まってるだろ。契約を少し仄めかしたら簡単に了解したぜ?」
最悪だ。
「温泉に入ってきます。」
そう言い残して浴衣を持って風呂に向かう。評判が高いらしい温泉は最高に気持ちよかった。
社長さえいなければもっと良いかもしれない。
お風呂を出て部屋に戻ると社長が居なかった。多分温泉だろうと思い、すでに敷いてある
布団に体を預けた。当然のように並べて敷いてあったので、思いっきり離した。
うとうとしてると襖がガラリと開いた。
「まさか、寝ようなんて思ってねえよなあ?」
体を起こしてダルそうに私は答えた。
「思ってますよ。社長と違って私は今日遅らせてしまった仕事を明日早くに終わらせなければ
いけませんから。」
再び寝ようとしたらゆっくりと社長が近寄ってきて圧し掛かった。
「ちょっ…!やめて下さい!人を呼びますよ!」
「ここは俺様の接待のための旅館だぜ?相手が俺様なら誰も助けてくれねえよ。」
確かに。じゃなくって!抗議しようとしたら布団を剥がされた。浴衣の下に社長の手が潜り込む。
そのままゆっくりと太腿をさする。
「はっ…!ああっ!」
「まさかこれだけで感じてんのかよ?淫乱だな。アーン?」
余計なお世話だ。この男は少し年上に対する敬いが足りないと思う。とか思ってたら下着を取られた。
「や…めて下さい。」
「息が上がってるくせにんな事言っても説得力がねえよ。」
ククッと社長が笑う。抵抗したいのに体に力が入らない。太腿に触れてる手を掴んだら顎を掴まれて
触れるだけのキスをされた。キスのチュと言う音が酷く淫靡に聞こえる。いつの間にやら私の中に社長の
指が二本入っている。指はバラバラに動き、私の一番感じる部分を擦り上げる。
「やっ!ソコは駄目です!やめて下さいって言ってるじゃないですか!」
最後の方は言葉か喘ぎか分からなくなってしまった。
「おら、イけよ。」
激しく指を動かされて私は体をブルブルと震わせて絶頂に達した。瞬間、体の力が一気に抜ける。
「っ!はあっ…。」
「これで終わりだと思うなよ、。」
社長が何を言ってるか分からない。私の脳にフィルターが掛かってるみたいになって、私は意識を
失った。
朝。起きたら社長がいなかった。襖をガラリと開けるとお風呂上りの社長がご飯を食べていた。
「おはよう御座います。」
「よお。お前の飯もあるから着替えて来い。」
服を着替えて一言も喋らずに食事をしてリムジンに乗った。帰り際にリムジンの中で一言、
顔を寄せて言った。
「昨日は可愛かったのに、今日は随分とご機嫌斜めじゃねーか。」
その返事代わりに私は社長から離れて座り直した。
後書き。長くねえ?コレ。そうでもないかな?だんだん押され気味になってまいりました。
次回予告。次回はヒロインちゃんの復讐って感じにしようかと思ってます。…予告になってないよ。
ぶっちゃけ、悲恋は苦手(書くのが)なので、恐らく二人はめでたく結ばれると思います。
そりゃあもう、色んな部分が。オヤジになって来たところで、secretary4でお会いしましょう。
さよーならー。