secretary2



 社長との喧嘩?が終わってから15分が経過していた。今私はロッカーの前に居る。社長が今日は帰っていいと言うからだ。
ロッカーで破られたストッキングを履き替えて少しだけラフな格好になってカバンを持って会社を出た。帰る前にスーパーに寄り夕飯の材料を買う。
社長が早く帰らせてくれたおかげでオバチャンのお買い物ラッシュに会うことも無かった。それだけは社長に感謝だ。ついでに本屋により適当に暇つぶし用の本を買う。
それから私は家路へと着いた。



「ただいまー。」
 誰もいないと分かっていても一応声をかける。一人暮らしの一番寂しい瞬間だ。が、何か家の様子が変だ。
まだ玄関にいるので何が変なのかは分からないけど、確実に家の中の空気が違う。毎日帰って来ている家だから間違いない。ビクビクしながら中に入る。
「よお、早かったじゃねえか。」



「き、きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
 社長が中に居た。勝手にお茶まで淹れている。鍵はどうしたんだろう。
ちゃん?!」
 最悪だ。お隣のオバサンが駆けつけてきた。何て言い訳しよう。空き巣?強盗?ストーカー?どれも信憑性が無さ過ぎて笑える。
「あ、お隣の方ですか?初めまして。僕はの恋人で跡部景吾と言います。ゴキブリが出て、がビックリしたみたいです。ご迷惑をおかけしました。」
 何だその変わり様は。僕とか言ってるし。オバサンに助けを求めたいが確実に社長がその美貌で丸め込むだろう。
事実オバサンの目はもう社長に釘付けだ。美人だと得だなあ…。
「あ、あらあら。じゃあ、オバサン帰るわね。ちゃんも素敵な恋人がいて羨ましいわ。じゃあ、跡部さんもごゆっくりね。」
 何故オバサンがゆっくりしろなどと言うのだろう。私の家なのに。一気に疲れたのでお風呂を沸かす。ご飯は後回しだ。
そしてリビングで勝手にくつろいでいる社長に詰め寄る。
「社長、これはどう言う事ですか?鍵はどうしたんですか?説明して下さい。」
「お前は俺様の女だろ?女の家に行って何が悪いんだよ。鍵は管理人に婚約者だって言ったら簡単に開けてくれたぜ?
引越しを考えたほうがいいんじゃねえか?危なくてしょうがねえ。」
 そう言えば管理人さんもオバサンだった…。本気で引越しを考えたが賃貸ではなくて買ったマンションなので簡単には出られない。
まず査定の時点でめんどくさい。社長秘書なんてやっているから給料が高いのでついマンションを買ってしまった。
オートロックは過信してはならない。私はこれからこのフレーズを胸に刻み込んで生きて行こう。
「帰って下さい。貴方のしていることは不法侵入です。」
 その時にお風呂が沸いた間抜けな音がする。この緊迫した状況では間抜けすぎて笑う気にもならない。いいからさっさと帰って欲しい。
「ここで俺様が帰るとでも思うのかよ、アーン?風呂が沸いたみたいだから一緒に入るぞ。」
「何で?!」
 つい本音が出た。敬語も崩壊した。話が突然すぎて付いていけない。誰かー…。私の前任の社長秘書の樺地さんに心の底から戻ってきて欲しいと思った。
ちなみに現在彼は秘書課にいる。そんな事を考えているといきなり体が宙に浮いた。もちろん社長に持ち上げられている。



 洗面所に着くと私の服を漫画のようにポイポイ脱がせる。お風呂場に閉じ込められる。社長が服を着たまま入ってきた。なぜ私だけマッパ(真っ裸)なのだろう。
不公平だ。熱いシャワーを体に掛けられる。真面目な顔で突っ立ったままシャワーを浴びている(浴びさせられている?)のが馬鹿みたいだ。
「熱かったら言え。」
「放っといて下さい。お風呂ぐらい一人で入れます。」
 人の意見を無視して私をイスに座らせて頭を洗い始める。それが終わると体を洗い始める。一瞬犯されるかと思った。
が、意外にも普通に社長は洗ってくれた。安心した。それも終わるともう一度私の体を持ち上げて湯船に放り込む。
「暖まったら出て来い。」
「はあ?!何がしたいんですか貴方は。行動の意図が掴めません。」
 またしても人を無視してスタスタと部屋に戻ってしまった。何なんだろう。
 ………。部屋の方から料理をしているらしき音が聞こえる。嫌な予感がしてお風呂を出た。



 予感は当たった。料理している社長の姿が目に入る。ここまで料理が似合わない男も珍しい。勝手に買い物袋を漁ったらしい。
しかも良い匂いもしている。きっと食えとか言われるに違いない。呆気に取られている間にも料理は次々と出来上がってゆく。
「食え。」
「やっぱり…。何が目的ですか?」
「好きな女に尽くしてやりたいと思うのは男のサガだろ、アーン?」
 尽くすと言う言葉も似合わないな、この男は。メンドクサイので座ってご飯を食べる。社長が向かい方に座る。
「美味いか?」
「美味しいです。」
 乾いた会話をしながら黙々と食事をする。料理なんてできそうもないのに美味しいのが意外だ。社長の意外性デーか何かかもしれない。殺伐とした空気の中で食事を終える。
「食器は洗いますから置いておいて下さい。」
 片付けは嫌いなのか食べ終わるとさっさとソファに体を落ち着ける。食器を洗い始める。鍋やフライパンはすでに洗ってあった。
食器を洗って食器乾燥機に入れる。テーブルを拭いてテーブルとセットのイスに腰掛けた。
「こっち来い。」
「嫌です。」
「ここで無理矢理犯されても良いならそこに居ろ。」
 …。社長とは少し離れてソファに体を静める。と、ふいに体が引っ張られて社長の膝の上に乗せられる。
「今日の本当の目的は何ですか?社長。」
「俺を社長と呼ぶのは止めろ。仕事じゃない時は景吾でいい。その白々しい敬語も止めろ。」
 会話が成り立たない。某ゲームで魔物を仲魔にできるゲームがあったが、中には会話にならない者も居る。
ちょうどこんな感じに。切実に実家に帰りたい。そんな事を考えていたら社長の顔が異様に近い。何をされるかなんて分かりきっていて抵抗するのも忘れていた。

 あっという間に社長の舌が私の舌を犯す。もしくは侵すかもしれない。どっちにしろ気分の良い物では無い。好きでもない…嫌いな男にキスされるなんて。
段々意識が遠くなってくる。恐るべし跡部マジック。何処か馬鹿みたいな事を考えながら私は意識を手放した…。



 起きるとそこは知らない部屋だった。辺りをきょろきょろと見回す。ココが何処なのか見当もつかない。
「起きたかよ。今日からお前はココで俺様と暮らせ。お前の荷物は全てココに運んだから、家に帰ってももぬけの空だ。」
「…。食事に何か入れたんですか?」
「粉の睡眠薬を少しな。」
 納得がいった。信用できない人間と一緒に居てあんなに眠い訳が無い。とりあえず、行く所が無くなってしまった。
正しくはある事にはあるが、まったく役に立たなくなった。
「仕事には遅れるなよ、俺様は先に行く。」
 そう言い残して社長は何処かに行った。恐らく会社へ。社長が完全に行ったのを確認してから言葉を吐き出す。
「何て事してくれやがるんだあの野郎…。」
 


後書き。
段々壊れてまいりました、ヒロインちゃん。少しづつ私に似てきます。作中のゲームとは何でしょう?
当たったら私に祝われます。多分。さて、このお話は5話ぐらいで終わらせる予定ですが、どうなるか私にもさっぱりです。計画性ゼロです。
では、secretary3でお会い致しましょう。グッバーイ…。

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