「冬馬の棺桶へ戻る」


『嵐の夜に』




−しずく様 作『雨上がりの夜空に』に寄せて−


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夜。
旅先で嵐に遭うのは憂鬱なものである
それが例え居心地の良い宿の中で眠りにつく晩であっても

昼間はなんとか風の強い曇り空で持ちこたえた天気も 夜になって俄然嵐が吹きすさぶ
嵐は雷を伴い 中空を縦横無尽に暴れてまわる

城を改造して作ったというそのホテルの一室
城の一番高い場所にあるそのスイートは 残念ながら雷にも一番近い場所にあった

「いやーーーーっ!」

ベッドの近くに取られた小窓 切り取った絵のような風景が雷光に照らし出される
怖いモノ見たさに一瞬外を見るもその天空を切り裂く稲妻に怯えて 再びカルロの胸元になお一層顔を埋め 
頭からブランケットを被る
数秒もおかずに轟く雷のすさまじい音に 蘭世は思わず何度目かの叫び声を挙げて両の耳を手で塞ぐ

「ランゼ・・」

あまりの蘭世の怯えように 少し哀れに思ってしまう
それはもう真夜中のことで
一度優しく愛を交わした後 旅の疲れかとろん・・と眠りに入った蘭世だったのだが
ふと眠りが浅くなったとき 雷にたたき起こされてしまったらしい
雷の低い轟きと共に 側にいるカルロへ大急ぎですり寄って抱きついて それでも足りず
胸元へと顔を埋めて

カルロは両腕に蘭世をぎゅ・・と力を少しこめて抱え 華奢な手で押さえ塞いでいる耳の元で
少し大きめの声で 聞こえるように囁く
「ランゼ、大丈夫だ。私がついている」
その言葉に間髪入れずに 音と光は容赦なく窓から部屋へ侵入してくる
「だめなのぅ・・・いやーっ!」
そして蘭世はさらにこれでもかとブランケットの中へ埋もれていく
軽くため息をついて、カルロはポンポン、とあやすようにブランケットにくるまった蘭世の体を軽く叩いた

カルロはなんとなくそばの小窓に目をやる
雨が一層激しく降り小窓のガラスに打ちつける その雨は滝のようにガラスの表面を流れ外の景色を覆い隠していく

カルロの方はと言えば こんな嵐の日に敵対ファミリーと撃ち合いの戦いをしたことを想い出し
小窓を滝のように流れ落ちる水を眺めながら あのときは・・と感慨に耽っていた
(こちらも そしてあちらも雷のタイミングに合わせて発砲して互いに惑乱した・・
 なかなか難しい戦いだった)

ふと気づくと蘭世の背に置いた手からブランケット越しに 彼女が小刻みに震えていることが伝わってくる
(そんなに雷が苦手だったとは)
今になって蘭世の一面を新たに見いだし 軽い驚きを覚える

「ランゼ」

ふいに芽生えた悪戯心なのか
それとも自分がいれば大丈夫だというのにそれを信用せず頼らない苛立ちからなのか
はたまた 自分の知らないランゼなど無くしてしまいたいという征服心からなのか
どれもが当たりで どれもが違う

蘭世の体の下にあった腕を軽く引き上げ反対の手でブランケットを器用に引くと するりと
綺麗に彼女の体からそれは離れて 怯えた蘭世の青白い顔が雷光に照らし出される
その顔は あのときのなまめかしい表情を彷彿とさせて 
(雷神にも嫉妬する・・か)
「あっ・・っう」
突然のことで驚いた表情の蘭世を再びベッドへ沈め 雷の恐ろしさに震えている唇を唇で塞ぐ
こんなときにどうして?と抵抗を試み彼を押し戻そうとする蘭世の手はその場でカルロの手に捕らえられ
そのまま開いてシーツの上 小さな肩の両脇へ押しつけられる
「ん・・ぅ」
その体はブランケットにくるまれていたはずなのに おびえからなのか蘭世の唇は冷たくて
カルロは自分の熱を移さんとばかりに その上唇も 下唇も丁寧についばんでは唇で覆っていく
冷たい舌をも舌で捕らえ 包み込んで吸い上げては熱を移す
恐怖で乾いていた口内が 次第に潤んでくる
やがて桃色の唇の端から 滴が一筋こぼれ落ちた

だが 雷の鳴るたびに未だ蘭世は体をビクッと震わせ 眉をしどけなく寄せて 塞いだ唇の奥 
その触れ合う隙間から小さな叫び声を漏らす

雷が怖いか
・・この 私よりも?

それはおかしな征服欲
蘭世の感情を激しく揺り動かす者は この私だけでいい

唇を離すと 案の定蘭世から抗議の言葉 困ったような表情で
「こんなときに どうして? わたし 今そんな気分になれな・・」
その言葉には返事をせずに
「・・・あうン・・!」
雷轟く耳は 私が塞いでしまおう

さっきまで小さな手でふさがれていた蘭世の耳を 今度はカルロが唇で塞ぐ
「ゃああっ・・・やああんっ・・・はぅぅんっ・・・」
カルロの器用な舌先は 耳の奥へ続く道をやわやわと舐めてまわる
蘭世の喉は高い悲鳴を上げようとするが彼女は必死になってそれを喉で堪えている様子で
それを見てカルロは耳元で囁く 悪魔の言葉
「誰にも聞こえはしない・・・嵐の晩だ ランゼ。雷鳴が覆い隠してくれる」
その言葉と共にカルロは耳を先程よりも一層激しく責め立てる
弱いところのひとつひとつを捉えられ・・蘭世はたまらずあられもない声をあげはじめる

言われなくても もう 抑えられないのよ・・!

雨音そして雷にかき消されはするが それは部屋に響く悲鳴にも似た叫び声で
激しい刺激に逃れようともがき手をばたつかせるが カルロの力には抗いようもない

頭の芯まで痺れ やがて蘭世はくったりと腕を投げ出す
そんな蘭世に休む暇を与えず 耳から汗ばむ白い喉元へと唇を這わせ
荒い呼吸で上下する胸の隆起に手を添え柔らかな感触を味わおうと蠢かせ そして舌を這わせる
胸の蕾をついばんでは舌先で押し込んだり吸い上げたりして弄ぶ
「あ あ あ・・・」
うわずった声が 蘭世の喉から短く流れる
(ひょっとして ダーク 私の気を紛らわそうとしてくれているの?)
(前向きな考えの)それにふと思い当たった蘭世は 努めてカルロへと気をやり
細い両腕でカルロの金色の頭を抱きしめる
時折 やはり光と共に轟く雷鳴に身をすくませながら声を殺す

だがカルロの欲望はそんな清いものでは留まらない
(気遣いなど要らない・・・心から私へ傾いて来るまでは許さない)
かえって蘭世の”気遣い”に気づいてしまうと 少し不機嫌に眉根を寄せる
それでも きゅ・・と閉じられた小さな膝の間に するりと手を滑り込ませて
続いて内股をゆっくりと撫でる
その手は奥の花園へ 近づいてはまた遠ざかり
まるで内股の柔らかな感触を味わうだけなのだといわんばかりに
なかなか 核心へは触れてこない

くふん、くふんと蘭世の喉から声が漏れる
いつしか細い膝の力は抜けて 彼の手を迎え入れたい欲望と羞恥心とが戦って 
膝はわななき彼女は苦しげな表情を見せる
「あ・・あぁ・・・」
一層高く荒くなる呼吸にその悩ましい表情に 胸元へ唇を寄せたままスッ・・と視線を送ると
散々じらしていたその手が ついに奥の花びらに届く
人差し指と薬指でその襞を割り開くと中からとろりとした蜜があふれ出す

中指が柔らかく入り口を辿っていたかと思うと ぬるりとその奥へ侵入し
何度も 何度も進退を繰り返す
内側の襞をくまなく探り その動きはリズミカルで まるで楽器でも奏でるようで
早くなったり 緩やかになったりを繰り返す
「はぁぁ・・んんっん・・・ダー・・クゥ・・・」
そうして 時折奏でる高い和音を求めて 敏感な芽の上をするりと通り抜ける
「ああっ!」
そのたびに びくん、びくんと大きく弓なりになる細い身体
つぶさに観察するような表情だったカルロの視線も 蘭世の乱れ堕ちていく様子に引き込まれ
思わぬうちに熱を帯びて

もっと先へ もっと・・・

長く器用な指で 敏感な芽を そして内襞をなであげる
時にゆっくりと そして次第にピッチをあげて
まるで不思議な生き物に蹂躙されているような錯覚を起こし蘭世はうろたえる
「いやぁ・・・あああん・・だめぇ・・・!」
声音が一層甘い色を帯び ひときわ大きく荒い呼吸をして体中をわななかせて
蘭世に今夜2度目の高波が押し寄せた
「はぅん・・ふぅ・・ううん・・・」
依然として雷は鳴り響くのに 蘭世はもうそれに反応しない
(・・・)
カルロは閉じた口の端をわずかに上げてニッと笑う
放心し 体中の力が抜けきった蘭世の 両膝をすくい左右に広げる
「ああっ・・・やあっ!」
達して赤く熟れきったそれに唇を寄せ 舌をめり込ませる
蕩々と溢れる甘苦い蜜を舌にのせ 彼もまた悦びに浸る
舌で蜜の入り口を辿り 熟れた芽には歯を軽く立てて
「きゃああっ やああっ!」
再びの波なのか 先程の波の続きなのかは もう判らない

「も・・うおねがい・・やめ・・」
こんなに何度も達してしまった今 貫かれたら私・・壊れてしまいそう
いつしか息も絶え絶えに 思わず反射的にベッドから逃げ這い出そうと身体をよじって俯せになる

ならば、もう待つ意味はない
「許さない」
そう一言告げるとカルロは起きあがり 俯せに逃げる腰を捉え両腕に抱え込み 
足の間に割り込むと一気に蜜壺を突き上げる
「ひゃううっ・・!」
身体の奥深く届くそれに 蘭世は今まさに雷に打たれたよう
四肢は再び伸びきり震えをおこす
くちゅっ くちゅっ
二人の間に上がる水音も そして城中に響き渡るほどの蘭世の叫ぶ睦声も
雷鳴の嵐がすべてかき消して
「うっ・・うっ」
やがてカルロは蘭世の両脇に手を回すと上半身を抱き上げて 仰向けになった自らの上へ跨らせて
・・そそり立つその上へ彼女をあてがい・・潤んだそこへぬるりと侵入させ再び突き上げた
「いやあああっ・・・んんんっう・・・!」
稲光る毎に 蘭世の悶え仰け反る姿が光の中に浮かび上がる
体同士がぶつかり合うたびに躍る髪がなびいて うねうねと蛇のように舞う

いつも・・もうこれ以上はだめと思うのに いつでもこの人はさらにその向こうへと私を追い立てていく
(体を・・体を 雷が貫いていくようだわ・・!)

いつしか蘭世は雷鳴に 激しい雨音に身を任せて いつも以上に泣き叫び喘ぎ声を響かせて
理性は飛び ただ快楽に踊るゼンマイ仕掛けの玩具のよう

(・・・っ!)
蘭世の魅せる痴態と 繋いだそこの狂おしいほどの熱と刺激で 冷静であろうとする
カルロの意識もまた枷を外して
「ランゼ・・っ ランゼ」
ダーク、と互いの名を呼び合い ついに共に果てることが叶う


蘭世はカルロの上に崩れ落ちるようにして倒れ込む
それは 手折った花が野に伏せるのにも似て

二人の嵐が絶頂を越え終息するのを待ちかねていたかのように
否、もう雷はいらないとカルロが招き寄せておくのを止めたのか
雷鳴は みるみるうちに遠く離れて
激しかった雨音も それに付き従っていくのか音を次第にひそめていく
残る風は雨雲を吹き飛ばし そこには月さえも顔を見せて
先程の嵐はまるで幻影だったかのよう

頬を寄せる彼の胸も汗ばみ深い呼吸で上下し 耳を傾ければ
その鼓動も早くなっていることに気づき 蘭世は微かに にっこりと笑む
そのまま また眠りへと落ちていくのだ

雷光に代わり 部屋を照らすのは柔らかい月明かり
その淡く繊細な色に目を細め また彼も眠りにつく
その腕の中にしっかりと彼女を抱き留めて。



end


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あとがき


ああ今回はなんて(言葉が)はげしいの ?
それは誰のせいでもなく紛れもなく私の壊れた頭のせいです

前書きに −しずく様 作「雨上がりの夜空に」に寄せて−
と書かせていただいたのですが、実は、そういうことなのです。
・・ええと ご説明いたしますね。

しずく様宅に足繁く(でも実はコッソリ(^^;))通わせていただいている私。
地下にも勿論お邪魔するのですが、そこで「雨上がりの夜空に」のお話に
すっごく悶えてしまいまして。
で、脳内で爆発して ”これ カルロ×蘭世だったら ?”なんて
不埒なことを考えついてしまい 今回のものが出来上がったんです。

でも冷静に考えると、カプ違いの話というのは、互いに相容れないものがあって
それが地下になるとなおさら色濃く問題が出てくるように思うのです
だから、私のした事って 実は禁じ手なんでは・・と書いている途中から;
もう半分くらい書いたところで気づきまして(なんて鈍感な私・・・スミマセン);

それでも思い切ってしずく様に打診したところ、”諾”のお返事を
下さいまして・・ありがとうございます。
ですがさすがにカプ違いですから カル蘭専門の拙宅でupさせていただく
運びとなりました。
しずく様の海よりも空よりも広いお心にひたすら感謝いたします。

俊蘭もいけるわよーという貴女様は、是非しずく様地下サイトへ行って
『雨上がりの夜空に』ご覧になって下さいね。
>>しずく様サイト『JUST ANOTHER LIFE』表玄関へgo!
瑞々しくも艶々な睦事の表現にメロメロでございますvv

冬馬の棺桶へ 

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