(0)シーツの海にて
蘭世の夢の中。
広い広いシーツの海。
カルロは天上界からこの海へ降りてきていた。
四角く切り取られている海には、上から霧のように
薄く透けたカーテンが引かれていた。
二人の影が霧に浮かび上がって静かに揺れている。
「んんっ・・・あぁっん」
蘭世の白く細い足のつま先。
水面をオールで漕ぐようにシーツにさざ波をたてていく。
夢の中とは言ってもそこは異空間のようでことさらにリアルだ。
胸の蕾をねっとりと愛撫され続け、蘭世は吐息をまき散らしていた。
そしてカルロの片手は花びらの周りをじらすように巡っている。
そこの中心はひくつき、愛の蜜をしたたり落としている。
(ダーク・・・もう・・もう・・・お願い・・・!)
心でそうつぶやくが、カルロは素知らぬ顔だ。
(聞こえているくせに・・・!いじわるっ)
悶える蘭世の心の声に、カルロはふっと笑みを漏らす。
「ランゼ。・・・まだだ」
「いっ、いやあ・・!ダークっ」
(もう限界・・・!)
首を左右に振ってさらに悶える。
黒髪がシーツの上に、砂浜へうち寄せたさざ波のようにひろがっていく。
カルロはその耳元に囁いた。
「欲しいのか」
それに反応して蘭世は急に赤くなる。
顔を思わず横へ背けた。
「いっ、いじわる!!」
それでもカルロは続ける。
「言葉で言ってみなさい」
「・・・やぁっ 恥ずかしいよぉ」
「素直になればいい。・・・ランゼの言葉が聞きたい」
「う・・・」
蘭世は顔を真っ赤にして、とまどっている。
そうしている間にも愛撫はとまらない。
悦楽の津波が岸辺ギリギリまで近づいているのがわかる。
でもこのままではこの身まで届かない。
蘭世は目を閉じ、カルロの腕をぎゅっと掴んだ。
「ダーク! き・・来て・・・お願い・・・!」
一つになる瞬間。
(あぁ 溶ける 溶けそう・・・!!)
そうしてついに蘭世は高い津波に飲み込まれる。
そして、何度も、何度も波にさらわれ続ける。
片足をマストのように掲げられ、再びそのまま責められる。
「あぁっんっ ・・そんなっ・・うんっん・・・!」
つながった場所から、ぴちゃぴちゃといやらしく水音が響いている。
(恥ずかしい・・・!!)
ますます突き上がってくる感覚に、意識が真っ赤に染まる。
風になぎ倒されるようにぱたんと、立てていた足をシーツの海へと戻し
俯せにさせる。それでもまだ一つになったままだ。
弱く蠢いてじらし、次の瞬間に強く突く。
何度も、何度も。
カルロも悦楽にひたりながらも自在に蘭世の快感を操っていく。
「ああんっ・・・もうっ・・・だめえぇっっ」
カルロによって狂い咲くことを教えられてきた蘭世。
今夜も、ますますその身体は甘い香りを振りまき乱れていく・・・。
つづく